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妹と異世界転移 ~引きこもりだった俺が妹を護るために大陸を統一するまで~  作者: おとしんくるす


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66 スラン農場

 さすがと言うかセシルさんの手際は大変早く。翌日中にはもう契約をまとめて調印まで済ませてきてくれた。


 なんでも、現金一括払いという事で予定より一割ほど値切ってくれたそうだ。

 バドスさんに払う予定だった金額から5800万アストルと、おつり2000万アストルが戻ってきた。

 おつりはともかく、値切った分は誤魔化しようもあっただろうに、正直で大変好感が持てる。


 農場にはバドスさんからの手紙を早馬で届けてもらい、俺達は街で護衛を四人雇って、馬車で農場へと向かう。

 セシルさんの馬車に積んできた羊毛は売れたようなので、代わりに食料を積んでもらう事にした。

 農場へ行くのに食糧を買い込むのも変な話だが、スラン農場は主に商品作物を作っているようなので、日常食べる物は街で買って持ち込むのだ。


 ちなみにこのあたりの治安は悪くないそうだが、護衛が多いのはこの先オオカミとかワイバーンとかが出るのだそうだ。


 ワイバーンはかなり見てみたかったが、B級冒険者四人で追い払うのがやっとだそうで、雇えたのがB級一人にC級三人、プラスC級のライナさんだけでは逃げるのが精一杯らしく、一転して出てこないよう祈る。安全第一だ。

 セシルさんのお供のうち男の人の方は、一応多少の武術をたしなんでいるそうだが、冒険者でいうとD級相当だそうで、ノーカウントだ。もちろん俺もノーカウント。


 もっとも、ワイバーンはそうめったに現れるものではないそうで、俺達は無事に農場に辿り着く事ができた。スラン農場は農場というより果樹園で、山の斜面に見渡す限り、整然と木が植えられている。

 農場の入り口で、顔が怖いおじいさんを筆頭に八人が俺達を待ち受けていた……。



 さっそく農場の食堂だと言う所で話し合いがはじまるが、最初はピリピリしていた雰囲気も、セシルさんが皆様を子爵家分家の元家臣として丁重に対応し、移住の支度金として2億アストルを積んで見せた所、一転大変穏やかな対応に変わり、農場産のワインや干しぶどうを沢山出してくれて、大歓待してくれた。

 バドスさん、あなた人望なかったみたいですよ……しょうがないけど。


 農場の従業員だという人達から色々話を聞いてみると、八人中三人が女の人で、夫婦が二組とその子供。おじいさん世代が一人だそうだ。

 他に小さい子供が二人いて、農場の人間は全部で10人らしい。

 王都まで商品を運ぶ行商担当の人もちょうど帰っているらしく、全員が揃っている事になる。


 お酒を飲みながら、おじいさん達が三人でワイバーンを撃退した武勇伝や、ワインの味自慢なんかを聞かされる。俺と妹とニナはぶどうジュースにしてもらったけどね。


 セシルさんは上手に会話を誘導し、必要な情報を聞き出していた。

 今この農場にいるエルフは103人で、半数は40年前にこの農場が開かれた時に集められた。

 残りは農場の拡大に伴って、順次買い集められたそうだ。王都へ商品を運んだ帰りに、奴隷市場で買った奴隷を連れて来たりしていたらしい。


 鉱山と違って消耗はほとんどなく、この10年の間に死んだのはワイバーンの襲撃に巻き込まれた一人だけらしい。これならリンネの村の人も生きていそうだ。

 探すのは俺達だけになってからだけどね。


 他に、ワインやオリーブの栽培、搾り機の操作なんかはエルフに仕込んであるので、任せておけば良いそうだ。ワインの醸造は少しコツがあるそうで、セシルさんのお供の女の人が教わりに行っている。


 この農場は元々、子爵家の三男だったバドスさんの父親の為に開かれたらしい。だが好意的な意味での『為に』ではなく、兄より優秀だった弟を遠ざけるために、なるべく遠方を選んで開かれたのだそうだ。


 なので当初はこの地を離れる事を許されず、バドスさんは父親が死んで初めて、トレッドへ移り住む事を許されたのだそうだ。

 それでも子爵領ではないあたり、根が深そうだ。

『坊ちゃんがここを嫌うのも無理はない』と、おじいさんが少し寂しそうな表情で言っているのが印象的だった……。


 どうりで周囲に村一つない辺鄙へんぴな場所にポツンとあるなと思ったら、流刑地みたいなものだったんだな。ちょっとだけバドスさんに同情する。



 そんなこんなで酒宴は遅くまで続き、翌日から農場の人達は荷物まとめはじめて、二日目の朝にはトレッドへ向けて旅立っていった。

 一度バドスさんに会い、多分もう必要ないと言われるので、もらった資金を元にどこかで新生活を始めるのだそうだ。


 お金を届けに行くだけでほとんど繋がりのない主従関係だったので、みんなの表情はわりとスッキリしている。後腐れなく買収が済んだようだ。



 名実共に俺達の所有となった農場は『リステラ農場』と改名され、俺達は早速各種の確認に取りかかる……。




大陸暦419年9月19日

現時点での大陸統一進捗度 0.11%(リンネの故郷の村を拠点化・現在無人)(パークレン鉱山所有・エルフ3974人)(リステラ農場所有・エルフ103人)

資産 所持金 3億57万(+7650万)

配下 リンネ(エルフの弓士) ライナ(冒険者) レナ(エルフの織物職人) セレス(エルフの木工職人) リステラ(雇われ店長) ルクレア(エルフの薬師) ニナ(解放奴隷)

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