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妹と異世界転移 ~引きこもりだった俺が妹を護るために大陸を統一するまで~  作者: おとしんくるす


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51 初月の収支と経営改善

 月が改まって大陸暦419年の6月。鉱山運営一ヶ月の収支を計算する事になった。


 まず収入は、金2550グラムを算出して1億200万アストル。当初の半減見込みより酷い58%減だ。


 そして支出は、一日平均420万アストルで、1億2600万アストル。


 今月の赤字は、2400万アストルだ。


 これに加えて、月初めには鉱山のローン5000万アストルと、国と地元貴族に1800万アストルを納めなくてはいけない。


 十日熱の薬を卸している薬店からの収入3500万と、カレサ布の販売益が三着分で3100万、エイナさんから薬師さんへの研究費横流し寄付が400万で、合計7000万アストルの別収入を混ぜて相殺すると、2200万アストルの赤字で済む計算だ。

 でもカレサ布の販売益はこれからどんどん落ちていって、最終的には王都の家の維持費を引いて月800万になる見込みなので、実際の赤字額は4500万相当。大変な額だ。


 所持金は、産出した金の三分の二は売却し、残りはまだ手元にあるので、2160万アストルと金3400万アストル相当(端数略)。

 このペースだとあと二ヶ月は乗り切れるが、8月中には経営破綻する計算になる。


 一応みんなにも報告したが、そろって暗い表情を浮かべていた。

 特に薬師さんは表情を曇らせ、一言『わかった』と言っただけで、思いつめた表情で薬の調合を続けていた。この鉱山がまた元の商会の手に戻る事でも想像したのだろうか?


 一時期回復しつつあった薬師さんの体調だが、最近また咳き込む事が増えてきたし、やつれてきてもいるのでかなり心配だ。

 休むよう言っても聞いてくれないし、今の報告でさらに追い詰めてしまった気もする。

 ここはやっぱり、俺が収支の改善をがんばるしかないよなぁ……。



 そんな訳で、以前王都のリステラさんに手紙で求めたアドバイスの返事も来たし、色々改善を試みてみる事にする。


 最大の支出源である金の精錬に関しては、納入してもらっている薬品やまきの値引き交渉をしてみたが、不調に終わった。

 ほぼ固定された相場があるようで、この方面は望み薄だ。


 となると次はエルフのみんなの食事だが、減らすと言うと薬師さんに殺されるので、効率的な調達を考えてみる。


 現状はライナさんが馬車で近隣の村々を回って買い付けているが、量が多すぎるので王都で冒険者を雇って手伝ってもらっている状況だ。


 薬師さんと妹とで相談して決めた食事の量は、一日朝夕の二食で、一食あたり麦200グラム、肉50グラム、野菜果物200グラム、塩3グラム。朝食には追加でミルク100ミリリットルかチーズ20グラムをつけるという事になっている。


 妹の説明によると、『前の世界で言うと2000キロカロリーくらい。消費カロリーは体の大きさに比例して、エルフさん達は身長170センチくらいの人が多いから、普通の日常生活を送るには十分な量。でも肉体労働をする人や、低栄養状態を回復させるには足りない量』との事だった。詳しいなオマエ、栄養士でも目指してたのか?


 薬師さん的にもやや不足に映ったようで、肉を一食100グラムにしたかったみたいだが、お肉は高いので我慢してもらった。

 その代わり、鉱石運びとかの重労働をしている人にはリンネ達が採ってきてくれた採取品を中心に、適時割増をする事にする。必要な措置であって差別じゃないからね。


 これらの購入に必要な経費は多少の変動もあるが、全部購入すると一日分麦400グラムが80アストル、肉100グラムが200アストル、野菜果物400グラムが50アストル、塩6グラムが12アストル、ミルクかチーズが50アストルで、合計392アストル。

 当初計画の300アストルを上回っているが、リンネ達の採取品で補って、なんとか一人300アストル、4000人で120万アストルに抑えている状況だ。


 ちなみに総重量は約四トン。もう気が遠くなるね。


 おまけにこの量を近隣の村だけで調達し続けるのは不可能なので、これからはもっと遠方まで買い付けに行く必要が出てくるとの事で、人手と輸送手段でまた経費が増える予定だ。


 その辺の事情を手紙でリステラさんに相談していたのだが、返信によると


『農村というものはおおむね過剰人口を抱えているもので、農繁期のうはんき以外は人手が余っています。なので相場より少し高い値段での買取を確約しさえすれば、買い集めて回らなくても自分達で食料を集めて売りに来るようになるはずです。鉱山の前で市場でも開けばなお良いでしょう』


 との事だった。

 さすが専門家という事で早速実行してみた所、それまでライナさんが築いていた信頼関係のおかげかすぐに人が集まるようになり、毎日午後には鉱山前で市場が開かれるようになった。


 場所としては山中で最悪に近いのだが、食料全て相場より少し高くお買い上げなので、毎日近くの村から食料を山盛り背負った村人達が大勢集まってくる。

 そして食料を売ったお金で、市場で買い物をしていくのだ。


 市場では近隣の村人同士での売買の他にも、この辺りは山地で塩が貴重なので、俺達が王都から買い付けている塩を売ったり、同じく王都から仕入れた雑貨類。リンネ達が採取してきた素材や、セレスさん達製作の木工品、薬師さん調合の傷薬やなんかも売って、少しでも経費の回収に努めている。


 薬はこれ以上の生産無理じゃないかと言ったのだが、市場の話を聞きつけた薬師さんは問題ないと言って作ってしまうので、経営が苦しい立場上売らない訳にはいかない。

 鉱山より先に薬師さんが潰れてしまうんじゃないかと心配になる。



 市場の噂は次第に広まり、本職の行商人も来るようになったり、村人の中には馬車を買って少し離れた村や街とを結ぶ行商人モドキをはじめる人も出てきたりで、思いの外順調だった。


 食糧は冬に備えて多目に買って備蓄しておかなくてはいけないし、輸送の手間がいらないのは大助かりだ。

 おまけに市場に出す商品のおかげで、出費の半分ほどは回収できている。


 さすがリステラさんのアドバイスだが、リステラさんの手紙には追伸があって、


『買い付けの手間がなくなったら、ライナ様を連絡役として王都に送ってください。エイナがお姉様成分の欠乏で精神を病みそうです』


 と書いてあった。

 ……なんか容易に光景が想像できてしまったので、ライナさんには王都との連絡役をお願いする事にした。これも今までは冒険者を雇っていたので、さらなる経費節約になる。


 10日で一サイクルとして、鉱山からは採掘された金と薬師さん製作の薬、カレサ布などを積んで二日かけて王都へ向かい、五日間滞在して、買い付けた物資と共に二日かけて鉱山に戻ってくる。鉱山で一日過ごしてまた王都へという日程だ。

 王都での滞在が長いのは、当然エイナさんへの配慮である。二人には色々お世話になっているからね。



 そうして経営の改善を図ってみた所、一日の支出を平均360万アストルまで圧縮する事ができた。月に直すと1800万アストル。まだ一日20万の赤字だけど、かなり楽になった。


 ライナさん運行の定期便のおかげで王都との連絡も安定するようになったし、市場で売る物を増やして行商人に多く来てもらえるようになれば、最終的に黒字は無理でも、赤字をなくすくらいまではいけるかもしれない。


 あとは税金分と、ローンの返済だ……。




大陸暦419年6月10日

現時点での大陸統一進捗度 0.1%(リンネの故郷の村を拠点化・現在無人)(パークレン鉱山所有・エルフの労働者3974人)

資産 所持金 5220万(+3059万)※金の在庫全売却・今回から万以下の桁省略

配下 リンネ(エルフの弓士) ライナ(冒険者) レナ(エルフの織物職人) セレス(エルフの木工職人) リステラ(雇われ店長)

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