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妹と異世界転移 ~引きこもりだった俺が妹を護るために大陸を統一するまで~  作者: おとしんくるす


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49 鉱山経営(後)

 鉱山を買収して一週間、ようやく初期のあわただしさ落ち着いてきて、みんなそれぞれの持ち場でがんばってくれている。



 現状、妹は炊事場の子達とふつうに会話ができるくらいに仲良くなり、一緒に食事作りに励んでいる。

 ちなみに俺が顔を出すとまだ脅える。男の姿がトラウマのようだ、かわいそうに……。



 ライナさんは近隣の村を回り、キヨウの実の購入を停止する代わりにそれで豚を飼ってもらい、豚肉を売ってもらえるように話をまとめてきてくれた。

 良好な関係を構築してくれているようで、他にも麦や野菜、肉やミルクなどを馬車いっぱいに買い付けてきてくれるが、4000人分にはとても足りそうになかった。


 4000人分の食料って、一人一日1キログラムだとしても4トンになる。

 近隣の村は三つあるそうだけど、年間を通して考えるとその生産量だけでは全然足りず、もっと広範囲から集めてこないといけない。購入代金以外に、輸送の手段や経費・人員の問題も発生するので頭が痛い。リステラさんに手紙で相談してみよう。



 リンネは毎日森に出かけ、食料から各種素材まで色々集めてきてくれる。

 この鉱山は王国北部を東西に走る大山脈の裾野にあるので、南に下ると平地と村がある他は、西・北・東が山と森なので、採取場所には困らないそうだ。とても助かっている。


 ただ、それでも4000人を養うにはあまりにも心許こころもとない。この前は体重100キロ以上もある巨大なイノシシを仕留めてきてくれたが、それでも4000人で分けると一人25グラム。可食部位はもっと少ない。

 ハナイチゴも採ってきてくれたが、小山のように見えた4000粒が、一人に一粒ずつしか行き渡らなかった。


 食料の他に糸の材料や建築用の材料、薬の素材なども集めてこないといけないので、目が回るような忙しさだ。

 一方で牧場産まれのエルフさん達から希望者を募り、30人くらいに輸送担当として一緒に森に入ってもらいつつ、少しずつ採取の知識を教えているらしい。

 早くモノになってくれるといいなぁ……。



 レナさんはエルフさん達の新しい服を作り、古い布でマスクを作ってくれているが、手作業での糸つむぎと布織りはとても手間がかかるので、布地少な目の服にしても三日に一着のペースが限界のようだ。


 4000人分を更新するには30年以上かかる計算になる。

 しかも月の半分はリステラ商会向けのカレサ布を作ってもらっているので、実質60年だ。

 エルフさん達は生きてるだろうけど、俺は生きてるかな……?


 まぁ、こちらも興味を示した牧場出身のエルフさん達を10人ほど教えているので、将来的には生産ペースが上がるだろう。現状は指導の手間が取られる分、むしろちょっと落ちてるけどね。



 セレスさんは病室の増築に続き、今は新しい住居の建設をやってくれている。

 以前は坑道の中で寝起きさせられてたみたいだからね……。


 本当は水を確保するべく、近くの沢からといで水を引く工事をやって欲しかったのだが、リンネに探してもらっても近くに沢が見つからなかったのだ。


 今までは井戸と雨水を溜めて使っていたようだが、井戸はとても深いので汲むのが大変だし、溜めた雨水はほこりが多い鉱山の環境もあってあまりきれいではない。

 ただ、これについては一つアテがあって今鉱山の資料を調べているので、そのうち改善できるかもしれない。


 セレスさんも牧場出身のエルフさん達を10人くらい教えているが、道具が足りないので指導がはかどらないそうだ。石加工ができる人の加入を強く要請された。問題山積だな……。



 問題といえば一番問題そうなのが薬師さんで、病室に収容した重症患者たちを診察し、看護し、薬を作り、昨日からは鉱山の運営資金のために十日熱の薬作りも再開したらしい。この一週間、寝ている所は見た事がない。


 ここに来る前にエイナさんに頼んで調合に使う器具を沢山買い込んでいたが、それを使って三つ同時進行で薬を作っている。

 すごく集中力を要するらしく、話かけると返事はしてくれるが、視線は器具から一切離さない。

 なんだか最近、またやつれはじめた気がする。


 看護については俺と香織が多少手伝っているが、診察や薬作りなどの専門知識が要る事はどうしようもない。

 何度か休みをとるよう勧めてみたが、自分がここのエルフ達を護るのだと硬い信念に燃えているようで、断固拒否されてしまった。


 多分だけど、最初の三日で重症患者として収容された865人の中から、2人の死者が出てしまったのが悪かったのだと思う。

 すでに瀕死の状態で、手の施しようがなかったのだから仕方がないとみんなで慰めたのだが、薬師さんは『私がついていたのに……』と自分を責め、ひどく落ち込んでいた。


 その反動が、自分の身を削るようなこの働きぶりなのだろう。気持ちはわからなくもないが、薬師さんが倒れちゃったら元も子もないと思うんだけどなぁ……。


 一度、『薬師さんは神様じゃないんですから、全ての人を救うなんて無理ですよ。だからどうのこうの……』と、どこかで聞いたような説得を試みてみたが、『神などという存在が本当にいるなら、どうしてここの惨状を放置したんだ! あれを見てもなにもしてくれない神なら、こっちから願い下げだ!』と言われてしまい、二の句が継げなくなった。


 200年以上生きてる頭のいい人相手に神学論争とか、マジ無理ですわ……。


 一応リンネにも頼んで説得を試みてみたが、それでも無理だったらしい。

 他の件はそれなりに順調で将来の展望もあるが、ある意味薬師さんの件が、現状一番どうしようもない気がする課題だった……。




大陸暦419年5月7日

現時点での大陸統一進捗度 0.1%(リンネの故郷の村を拠点化・現在無人)(パークレン鉱山所有・エルフの労働者3974人)

資産 所持金 5020万5400アストル(-2520万)

配下 リンネ(エルフの弓士) ライナ(冒険者) レナ(エルフの織物職人) セレス(エルフの木工職人) リステラ(雇われ店長)

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