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妹と異世界転移 ~引きこもりだった俺が妹を護るために大陸を統一するまで~  作者: おとしんくるす


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45 鉱山買収計画

 翌日。冒険者ギルドのエリスさんに改めてお礼を言いに行ったり、久しぶりに妹と街へ買い物に行ったりしてのんびり過ごした夕食後。エイナさんが数枚の紙束を渡してきた。


 貴重な紙なので、細かい字でびっしり文字が書かれている。目を凝らして読むと、どうやらラドガン鉱山に関する資料らしい。昨日お願いしたばかりなのに早いな……ひょっとして、頼まれるのを見越して先に調べていたとか? ふつうにありそうな気がするのが怖い所だ。


 資料は商会のリステラさんにも協力してもらって調べたらしく、経営から財政状況まで、かなり多岐に渡るデータだった。

 重要そうな所を抜粋してみると、


・所有は王都の大手商会であるラドガン商会

・産出品は金だが、最近は減少傾向

・一日の利益800万アストルに対して経費が780万アストルほど

・これ以上産出が減ると赤字の危機

・鉱山の資産価値は表向き50億アストルだが、実際はもっと少ない


 という事だった。

 しかし赤字の危機とはいえ、一日20万アストルの黒字が出ているという事は年間に直すと7000万アストルを超える訳で、かなりの額だといえる。


 資産価値の大半は保有しているエルフの奴隷で、4000人×100万アストルで40億アストルと計上されているが、半数以上が病気なので、実際の価値としては30億くらいとの事。ちなみに20億は首輪の値段……。


 そして肝心の買収についてだが、この先の経営に不安があるせいか、先方は乗り気だったようだ。

 ただ、提示された金額が50億アストル。リステラさんによるとかなり吹っかけられた数字なので、交渉して叩けば37か38億までは下がるだろうとの事だった。

 ちなみに今の俺の手持ち資金は7700万アストルほどなので、足りないというレベルではない。


 でも『無理でした』ではあまりに薬師さんに対して申し訳ないので、値切ると同時に月割りローンでの支払いを打診してもらった所、三日後に返ってきた返事は、『一括払いで37億、ローンだと月5000万の8年払い、総額48億アストル。ただし信用できる保証人をつける事』というものだった。


 年間の金利が4%弱と考えると、かなりいい条件だ。交渉術Lv2のリステラさんが頑張ってくれたのだろう。ホント優秀。


 だが、それでも月に5000万だ。現状の収入をカサレ布の販売安定分月900万として、この家の家賃や生活費を引いて800万と仮定。うん、毎月4200万アストル足りないな。

 しかも、実際に買収した場合はエルフの待遇を改善する訳で、確実に赤字経営になるだろう。


 今はカレサ布の販売に初期ブーストがかかっている事と貯金を考え合わせても、持って三ヶ月だろう。三ヶ月て……。


 一応大きな収入源として、エルフを解放して首輪を外せば、一個45万アストルを回収できるとして、18億アストルになる。

 二年半くらいはこの方法でもたせる事ができるが、これはすぐには実行できないだろう。首輪だけ大量に売ったら怪しまれる。


 さて、どうしたものか……。

 今の所考えられる選択肢は三つ。



一 買収をあきらめる


二 どこかの貴族かお金持ちに出資を頼む


三 なにか新しい収入源を探す



 一は最後の手段として、二もできればやりたくない。そもそも出資者見つかるのかという話を別にしても。

 となると残るは三だが、収入を増やすといっても、そんな事が簡単にできたらみんなお金持ちになれる訳で……。


 リンネに高額で売れる採取品を探してもらったり、森の拠点でのカレサ布の生産を増やしたりとかが考えられるが、フランの花みたいな都合のいい採取品が早々あるとも思えない。次にフランの花が咲くのは秋以降だし。


 カレサ布の生産も、全力でやってもらったら今の倍。月1700万アストルになる計算だが、高級品は供給を増やすと値崩れを起こすものなので、これも危うい。


 となると残るは……やっぱりあれだよなぁ。

 俺は立ち上がり、リンネの部屋に向かう。

 用があるのは同居している薬師さんで、薬を人間に向けて販売するお願いをしてみるのだ。人間嫌いのあの人が許可してくれるかわからないけど……。


 リンネの部屋をノックし、中に入れてもらう。二人は仲良く昔話をしていたようで、薬師さんの機嫌は悪くなさそうだが、それでも俺を見る目は変わらず鋭い。

 部屋の半分は薬の調合器具や素材などが置かれて実験室みたいになっていた。


「あの薬師さん、実はご相談が……」


 話しはじめた途端、薬師さんの目がいっそう鋭くなる。ちょっとくじけそうだ。


「あのですね、実はお仲間を助けるべくあの鉱山を買収する計画を立てているのですが、資金が全然足りないのです。なので薬師さんに薬を作っていただいて、それを人間に売りたいのですが……」


 がんばって言った瞬間、薬師さんは目の色を変えて立ち上がり、早足で歩み寄ってきて俺の肩を掴む。

 うわ、怒られる……と覚悟した刹那、薬師さんの口から出たのは俺の想像と真逆の言葉だった。


「本当か!? やる! 全力でやるぞ! あそこに捕らわれている仲間を助けられるのなら、私はなんだってできる。命だって惜しくはない!」


 おおう、なんかすごい勢いだ。


「そ、それは助かります。では薬の種類や売り方について、エイナさんと話をしていただけますか?」


「わかった! おい、エイナ!」


 薬師さんはそう叫んで部屋を飛び出していく。知らない間に名前を呼び捨てにするほど仲良くなっていたらしい。



 エイナさんを交えて相談した結果、



・当面は十日熱の薬に限って販売する


・薬はエイナさんの発見として発表するけど、その方法はエイナさんに任せる


・販売はリステラさんの商会を通じて行う


・薬店として別の店舗を用意する


・値段は適時交渉とし、お金持ちからは多く、貧しい人からは可能な分だけいただく事にする



 という結論が出た。リステラさんにはエイナさんから話をしてくれるそうだ。


 薬師さんが完全に影に隠れる事になってしまうが、それでも良いのか訊いてみた所、『仲間を助けられるのならなんでも構わん。むしろ面倒事が減っていい』との事だった。


 エルフの薬として宣伝して、エルフの地位向上に繋げる案もあったのだが、現状難しいし教会に目をつけられて潰されるのがオチだと言われて却下になった。

 お金儲からない上に敵増えるとか、最悪すぎるからね。


 そんな訳で早速行動に移り、五日後には『十日熱の特効薬発見さる。王立医学研究所のドリス・ベンボルグ名誉顧問と、愛弟子で王立学校高等部の学生、エイナ・パークレンの共同研究』と大々的に発表された。



 ドリス・ベンボルグって誰だ……?




大陸暦419年3月16日

現時点での大陸統一進捗度 0.001%(リンネの故郷の村を拠点化・村人3人)

資産 所持金 7719万8400アストル

配下 リンネ(エルフの弓士) ライナ(冒険者) レナ(エルフの織物職人) セレス(エルフの木工職人) リステラ(雇われ店長)

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