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妹と異世界転移 ~引きこもりだった俺が妹を護るために大陸を統一するまで~  作者: おとしんくるす


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186 エンシェントドラゴンを配下にする条件

「エンシェントドラゴンさん。先に話した計画を実現するために、俺の配下になって手を貸してもらえませんか?」


 俺の問いに、エンシェントドラゴンの少女はじっと俺を見てしばしの間を空けた。



「……そうじゃな、おぬしにはこの身を生成してもらった恩がある。配下になってやるのは構わんが、協力には条件がある」


 あ、その二つは別枠なのね。

 命令を聞かない厄介な配下を持った魔王とか、ありそうな話ではあるよなぁ……。


「条件とはなんでしょうか?」


「そうじゃのう、まずは……」


 エンシェントドラゴンさんの目が急に鋭くなり、視線が俺かられて横の森へと動いていく。


「まず差し当たっては、向こうの茂みからワシを狙っておるエルフを下げさせて欲しいのぅ。少々不愉快であるので、このままでは喰い殺してしまいそうじゃ」


 ――いかに少女の外見とはいえ、さすがはエンシェントドラゴン。言う事が物騒この上ない。


「リンネ、こっちに出てきて!」


 俺の声に、左手方向の森から動揺した様子のリンネが姿を現す。


「エルフの娘、修行が足りんのではないか? あんなあからさまな殺気を発していては、小鳥の一羽も狩る事はできまい」


 少女の言葉にリンネは視線を下げ、俺の前までくると、『申し訳ございません』と言って頭を下げた。


「気にしないで。ライナさんと一緒に待っててくれる」


「……はい」


 長い耳をシュンと垂らし、リンネはうつむきがちに一歩後ろのライナさんの位置まで下がる。


「この子は以前にもドラゴンを狩った事があるので、その時の事を思い出して血がたぎったのでしょう。万一の時に備えさせていたのは俺の指示です。申し訳ありませんでした」


 狩りの達人であるリンネの事だから、いくら相手がエンシェントドラゴンでも早々気配を悟られたりはしないと思う。

 実際、途中まで少女は気付いているような素振そぶりを見せなかった。


 おそらくドラゴンの姿に戻った時に。前回ドラゴンを狩った時の記憶がよみがえったか、あるいは俺の身を案じてくれたかで殺気が漏れてしまったのだろう。


「ドラゴンを狩ったじゃと。エルフの娘がか?」


「はい。ちょっと特殊な道具を使いまして」


「なるほど、その道具でワシを狙っておった訳じゃな。だがワシはそこらのドラゴンよりも強いぞ。それでも倒せるか?」


 そこらのドラゴンって、あんな化物にそうそういられても困るけど……でも実際どうなのだろう?


「倒せるかどうかはあなたの耐久力次第でしょうね。普通のドラゴンは一撃でしたが」


 一応嘘は言っていない。リンネの捨て身の攻撃で、口の中に大砲の弾を撃ち込めたからの成果だけどね。


「ほう、一撃か。今のワシじゃと、この姿で300年生きたドラゴンほど。本来の姿ならその5倍くらいの耐久力があるぞ」


 ……以前狩ったドラゴンは鑑定し損ねたが、何歳だったのだろう?


「ええと、歳はちょっとわからないですね。大きさはあなたより少し小さいくらいだったと思います」


「そうか。まぁ、龍族の歳など他種族が見てもわからんか。体が育つ事はないから大きさでは判断できんし、しょうがあるまい」


「体が育つ事はないのに、歳を取ると強くなるのですか?」


「うむ。うろこの硬さなどは変わらんが、歳を取ると体内の魔石が育つからな。たくわえられる魔力量が増えて、吐く炎の威力が上がるし生命力も高くなる」


 なるほど。以前に狩ったドラゴンから秘薬が三つも作れたのって、もしかしてリンネが一撃で狩ったので、魔石に蓄えられていた魔力があまり消費されなかったおかげだったりするのだろうか?


 ……まぁそれはともかく、脱線してしまった話を元に戻そう。


「解説ありがとうございます。それで……協力して頂くに当たっての条件とはなんでしょうか?」


「おお、そうじゃったな。まずは定期的に食事と魔力を寄越よこす事。あとは……ワシのあるじとなるにふさわしい実力を見せてみよ」


 …………これはまた、けっこうな難題がきた気がする。


 食事については、多分肉を大量にだろうからなんとかなると思う。

 だが魔力はどうだろう? 提供するのは構わないが、もしも魔獣生成の時にそそぐ魔力と同じ枠だったら、量次第では魔王のレベルが上がってしまう。

 それは最大限避けたい事態だ。


 そして一番の問題は、実力を見せる事である。

 エンシェントドラゴンに一目置かれるような事って、なにかあるだろうか?


 戦闘力は完全に問題外。元の世界知識でも、気球で空を飛んで見せた所で向こうは普通に空を飛べるだろうし、火薬を爆発させて見せた所で、向こうが吐く炎のほうが強いと思う。

『実は地面は丸いんですよ』とか言った所で、『ふーん』だろうしね。


 ……あ、一つ可能性を思いついた。


「食事と魔力は提供しましょう。でも、魔力については状況次第で少量になってしまうかもしれません。そして実力についてですが、実は俺、勇者を配下にしているのですよ」


「ふーん勇者をな…………って、なんじゃと!?」


 お、いい反応だ。実際には香織は配下じゃないけどね。



 あまり妹を危険に晒すような事はしたくないが、もしエンシェントドラゴンさんを配下にできたら、必然的に香織とも顔を合わせる事になる。


 だったらその時に備えた話もしておければ、一石二鳥だ。


「よろしければ、これから勇者を紹介しますよ」


 俺はそう言って、エンシェントドラゴンさんの反応を見るのだった……。




大陸暦425年12月28日

現時点での大陸統一進捗度 36.2%(パークレン鉱山所有・旧マーカム王国領並びに旧イドラ帝国領の大森林地帯を領有・旧サイダル王国領の大湿地帯を領有・大陸の西半分を支配するパークレン王国に強い影響力・旧サイダル王国領東部に孤児こじ用の土地を確保)


解放されたエルフの総数 78万39人

内訳 鉱山に13万9562人 大森林のエルフの村4592ヶ所に53万1897人 リステラ商会で保護中の沼エルフ10万8580人(一部は順次大湿地帯に移住中) 保護した孤児2万2273人


資産 所持金 211億4913万


配下

リンネ(エルフの弓士)

ライナ(B級冒険者)

レナ(エルフの織物職人)

セレス(エルフの木工職人)

リステラ(雇われ商会長)

ルクレア(エルフの薬師)

ニナ(パークレン鉱山運営長)

エイナ(パークレン王国国王)

クトル(フェアリー)

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