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妹と異世界転移 ~引きこもりだった俺が妹を護るために大陸を統一するまで~  作者: おとしんくるす


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178 配下の魔獣

 スルクトさんの髪を手に乗せて、魔獣生成を発動させる。


 スライムの時のように強い光が発生し、視界が戻ると手の平の上に一匹の妖精がいた。


 大きさは20センチくらいだろうか。背中に羽が生えていて、エルフのように長い耳。スルクトさんを思い起こさせる緑色の髪……そして全裸。


「うわっ! ちょ、香織! 服、服!」


 慌てて視線を逸らしながら叫び、妹がふだん裁縫さいほうに使っているカレサ布の切れ端を取ってくれる。

 が、その前にフェアリーが予想外の行動に出た。


「ま、魔王様! お逃げください!」


 そう叫んで両手をいっぱいに広げ、俺と香織の間に立ちふさがったのだ。小さな体で、必死に……。




「……どう、おちついた?」


「は、はい……」


 フェアリーを生成してしばらく。香織は勇者だけど敵じゃないと言い聞かせ、カレサ布の端切はぎれを羽織はおらせて妹が用意してくれた温かいハチミツ水を飲ませてやると、ようやく大人しくなって机に着陸した。さっきまでは宙に浮かんでいたのである。


 一騒動あったものの、どうやら言葉は通じるようだし知能もかなり高そうだ。

 落ち着いた所で話を聞く。


「えっと……俺が魔王だってのはわかるんだよね?」


「はい。私を生み出してくださった存在なのですから、もちろんです」


「香織が勇者だってのもわかるの?」


「……はい。身にまとう気配から」


「そっか。でも香織は俺の妹で仲間だから、さっきも言ったけど安心してくれていいよ」


「は、はい……」


 弱々しくそう返事はするものの、さっきから香織のほうをチラチラ見て完全におびえている。

 香織は気を使って距離をとり、部屋の端にいてくれてるけど、やっぱり魔獣と勇者は天敵なんだろうね。


 だがこんなに脅えているのに、さっきは俺を護ろうと勇者に立ち向かってくれたのだ。すごくいい子の予感がする。


「いくつか話を聞いてもいいかな?」


「はい、私にわかる事であれば」


「うん。じゃあ、さっきスライムを召喚してみたんだけど、いきなり俺に襲い掛かってきたんだ。なんでかわかる?」


「スライムは知能の低い魔獣ですから……近くにいた存在に本能的に襲い掛かったのでしょう」


「俺が魔王として未熟だからって事はない?」


「それはないと思います。名を与えて正式に配下とすれば、多少は命令を聞くようになったかと」


 名を与えて配下に……なんか聞いた事ある話だな。


「って事は、キミにも名前をつけたほうがいい?」


「――は、はい! 頂けるならこの上なく光栄に存じます!」


 おおう、なんか急に元気になったな。しかし名前か……。



「う~ん……『クトル』なんてどうかな? キミを生み出す時に使った素材を提供してくれた人から3文字もらって並べ替えたんだけど」


「『クトル』ですか。はい、とてもすばらしい名だと思います。ありがとうございます魔王様!」


 なにやら感激した様子で頭を下げられてしまった。


 大きさは全然違うけど、同じ緑の髪に長い耳という姿はスルクトさんに重なって見える。この名前をつけたのは、多分俺の未練みれんなのだろう。

 スルクトさんが生き返ったわけでもないのにね……。


 また気分が沈みかけたので、慌てて頭を振って考えを切り替える。せっかく妹が立ち直らせてくれたのだ。

 そうだ、鑑定してみよう。


 クトル 魔獣フェアリー 0歳 スキル:風属性魔法Lv0 状態:感激 地位:高倉洋一配下


 おお、ちゃんと俺の配下になっている。


「ねぇ、なんか力が強くなったような気がしたりする?」


「力……はあまり感じませんが、体が軽くなった感じがします。今なら以前の倍の速さで飛べそうです!」


 なるほど、特殊スキルの『魔王の加護(配下の魔獣の能力向上)』はちゃんと発動しているらしい。

 なんか嬉しそうに部屋の中を飛び回っている。



 ……スルクトさんは最後に表情が穏やかになるのを見ただけで、喜ぶ所も笑う所も見る事はできなかった。


 その代わりというわけではないが、よく似た外見でスルクトさんの体の一部を引き継いでいるクトルがはしゃいでいる姿は、俺の心に少しだけ安らぎを与えてくれるのだった……。




大陸暦425年11月27日

現時点での大陸統一進捗度 36.2%(パークレン鉱山所有・旧マーカム王国領並びに旧イドラ帝国領の大森林地帯を領有・旧サイダル王国領の大湿地帯を領有・大陸の西半分を支配するパークレン王国に強い影響力・旧サイダル王国領東部に孤児こじ用の土地を確保)


解放されたエルフの総数 77万5140人

内訳 鉱山に13万9562人 大森林のエルフの村4592ヶ所に53万1897人 リステラ商会で保護中の沼エルフ10万3681人(一部は順次大湿地帯に移住中) 保護した孤児2万1053人


資産 所持金 211億6209万


配下

リンネ(エルフの弓士)

ライナ(B級冒険者)

レナ(エルフの織物職人)

セレス(エルフの木工職人)

リステラ(雇われ商会長)

ルクレア(エルフの薬師)

ニナ(パークレン鉱山運営長)

エイナ(パークレン王国国王)

クトル(フェアリー)

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