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妹と異世界転移 ~引きこもりだった俺が妹を護るために大陸を統一するまで~  作者: おとしんくるす


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131 マーカム王国の終焉(しゅうえん)

 妹のマッサージが効いたのかどうか、体の痛みは少し楽になった気がする。


 純粋な技術としては医術を修めた薬師さんの方が上なのだろうが、意外と侮れないな。

 昔はなにをやらせても不器用だったのに、成長したものだ。俺も頑張らないと……。


 決意を胸に、周囲が明るくなるのを待って俺達は行動を再開する。



 まずは朝食作りなのだが、俺達はドラゴンの肉がまだ効いているので必要ない。

 ドラゴンを狩った事は一応秘密にしているので、朝食は自分達で作りますと言い置いて俺は水浴びに行く。


 護衛のライナさんと、いつも俺にくっついている妹がついてくるのは自然な事なので、多分違和感なく抜けられただろう。

 歩きながら相談をし、この先は妹が調理を担当し、なんとか上手い事ごまかしてみる事になった。

 エイナさん辺りには感付かれるかもしれないけどね……。


 ともあれ、俺が戻った頃には朝食も大体終わっていて、すぐに出発となる。




 ……大公領へと向かう道中、各地に派遣されている大公家の情報収集隊からの情報が、エイナさんの元に届けられてくる。

 ほとんどがよくない物だが、中でも王都方面からの伝令が持ってくる情報は、日を追うごとに厳しさを増していく。


 主な情報をまとめると


『俺達が王都を離れて間もなく、7月9日の夕刻に王都はイドラ帝国軍騎兵隊の急襲を受け、包囲された』


『軍の主力がサイダル王国軍との戦いのために南方に出向いているので、わずかな兵士しかいない王都は街壁の門を閉ざし、篭城を選択した模様』


『街壁外に取り残された人達はイドラ帝国軍に襲われ、多数が殺された他、捕らえられて奴隷にされた人もいる』


 今のマーカム王国にはエルフの奴隷がいないので、その代わりとして使われているらしい。

 ……エリスさんや冒険者ギルドの人達は無事だろうか?


 悪い報告は各方面からさらに続く。


『街壁外の街は帝国軍の略奪を受け、さらに帝国軍に利用されないようにと街壁上から王国軍によって放たれた火矢で炎上して、廃墟になってしまった』


『包囲から4日目の7月13日には歩兵主体の帝国軍本隊も到着し、攻城戦が開始された』


(王都南部方面より)『7月20日、「イドラ帝国参戦・王都包囲」の情報が伝わって大きく動揺していた王国軍本隊は、サイダル王国軍との戦いに大敗して壊滅。指揮を執っていた元軍務大臣である宰相は戦死、生き残った者達は散り散りになって敗走中』



 そんな情報を。マーカム王国が崩壊していく情報を聞きながら、旅を急ぐ。

 俺達がファロス大公領の領都トレッドに到着したのは、7月25日の事だった。


 奇しくも同じ日。7月25日に王都が陥落し、帝国軍に捕らえられた国王が処刑されたという情報が早馬でトレッドに届いたのは、それから7日後の8月2日の事だった。


 一部自領にこもって抵抗を続けている領主がいるものの、大半の貴族は助命と引き換えに降伏し、サイダル王国の急襲を受けてからわずか一ヶ月あまりで、あっけなくマーカム王国は滅亡してしまった。


 旧マーカム王国は大きく二つに分割され、北寄りにある王都を含む北部一帯はイドラ帝国に。

 東部から南部、中央部の大半はサイダル王国の支配下に置かれる事になる。


 西部はまだ独立を保っているが、小貴族が多い地域であり、軍の主力はすでに出征させている事もあって、まともな抵抗はできないだろうとの事だ。

 イドラ帝国軍とサイダル王国軍がそれぞれ我が物にしようと狙っているが、おそらくは速度に勝るイドラ帝国の騎兵隊によって制圧されるだろうというのが、エイナさんの見解である。



 俺達の元には大公が各地に放っている密偵の他、リステラ商会の情報網からも情報が流れてくるが、そのどれもが崩壊したマーカム王国の惨状を告げるものばかりである。


 イドラ帝国の騎兵隊は早い時期から王都攻略を歩兵部隊に任せ、広範囲の制圧に取りかかっているらしいが、その手段は極めて乱暴であるとの事。

 あちこちで略奪や見せしめのための処刑が行われ、捕虜になった元王国兵達は奴隷にされてイドラ帝国に連行されているらしい。


 王都も例外ではなく、略奪を受け、奴隷狩りも行われているらしい。

 その報告を読むリステラさんはとても辛そうである。


 王都の資産と従業員、その家族は大半をファロス大公領へ避難させたそうだが、連絡員として残っている人はいるし、あちこちの街や村に支部もある。

 なにより生まれ育った王都には、知り合いも多いはずだ。

 言葉にこそしないが、表情は暗く険しい。



 一方で、南部を中心とするサイダル王国の占領下では、内戦で追い出された旧バルナ公爵派の貴族たちを利用しつつ、比較的穏健な方法で支配と属国化が進められているらしい。


 それでも、抵抗する勢力が潰されて大勢が殺された。内戦後に領主となった新貴族と繋がりが深かった人達が捕らえられて処刑されたなど、血生臭い話には事欠かない。


 引き裂かれ、むさぼり食われていくマーカム王国。


 その中で南西部。旧王国領の十分の一ほどが、ファロス大公とその影響下にある貴族達によって維持されている。


 俺達はここを拠点に、二つの大国を打ち破って旧王国領の回復を目指すのだ。


 そのタイムリミットは、鉱山の食料が尽きる今年中。

 あと130日ほどしかないのである……。




大陸暦423年8月20日

現時点での大陸統一進捗度 2.2%(パークレン鉱山所有・エルフ31万2127人→25万人を森に避難中)(パークレン子爵領・エルフの村967ヶ所・住民13万2318人)

※鉱山とパークレン子爵領(大森林)の状況は不明なので、当面更新なし


旧マーカム王国回復割合 8%(南西部・ファロス大公領とその周辺貴族領)


資産 所持金 615億4841万(-417万)


配下 

リンネ(エルフの弓士)

ライナ(B級冒険者)

レナ(エルフの織物職人)

セレス(エルフの木工職人)

リステラ(雇われ商会長)

ルクレア(エルフの薬師)

ニナ(パークレン鉱山運営長)

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