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妹と異世界転移 ~引きこもりだった俺が妹を護るために大陸を統一するまで~  作者: おとしんくるす


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104 エルフの大移送

 満を持して、教会による亜人追放令が出されてから三日目。

 鉱山には早くも馬車で第一陣のエルフさん達が移送されてきた。

 セレスさん製作の大型馬車に満員で30人。それが一日で50台ほども到着する。


 一日で1500人の受け入れは結構な大騒動だったが、翌日からは数が飛躍的に増えていき、元気なエルフさん達には歩いて送られてくる人達もいて、十日も過ぎると一日5000人前後まで膨れ上がっていた。


 続々と到着するエルフさんを満載した馬車に、食料を運び込む馬車。

 反対に鉱山からの製品を積んで運び出す馬車で、鉱山の前は大混雑だ。そこに徒歩で到着するエルフさんもいるのだから、もう大変な騒ぎである。

 大きな神社に初詣に来たみたいな感覚だ。

 それを大きな混乱を起こす事なくさばいているニナは、もう完全にやり手商会長の貫禄である。


 常連の行商人や付近の村人の中から数人を選び、臨時雇いで馬車の誘導や整理をしてもらっているらしい。

 ニナが立派に育ってくれて、お父さん代理として嬉しい限りだ。



 一方鉱山の中も大騒ぎで、まずは薬師さんが一通り診察するのだが、5000人となると一人10秒でも14時間近くかかる。

 今の所送られてくるのは健康な人が多いが、これから先よその鉱山からのエルフさん達がくる事も考えると、どう考えても薬師さん一人で対応できる数ではない。


 おまけに移送されてくるエルフさんの数はまだ増え続けていて、一日7000~8000人。最大で1万人に達するかもしれないとの事。

 薬師さんはそれでも全力で対応しようとするだろうが、世の中できる事とできない事がある。


 代わりができる人もいないので、俺の仕事は薬師さんが倒れないように業務量を調整する事だ。


 鉱山の一角を一時収容区域にして、元気そうなエルフさんは一旦ここに収容する。

 診察が必要そうなエルフさんから優先して診察室に送り、その数を一日3000人に調整するのだ。


 一時収容所は建物もないので、鉱山の坑道を仮の住居にしてもらい。一人ずつに番号を振って、首輪のネジを管理する。


 こんな事薬師さんにバレたら、きっとすっごい怒られるだろう。

 今は診察室と病室に掛かりきりだけど、一段落ついたら絶対バレる。


 まぁその時は、素直に謝って怒られるしかないだろう。むしろ、それまで薬師さんが元気でいてくれる事が一番大切なのだ。

 俺が怒られるくらいで済むのなら安い物だ。



 一年の準備期間に病室は2万人分を用意したが、はたして足りるだろうか?

 薬は可能な限り作り貯めしてあるそうだが、いざとなったら一つのベッドに二人で寝てもらう事になるかもしれない。


 住む場所も、セレスさんを中心に木材加工班のみんなががんばってくれたが、用意できたのは30人収容の大部屋が7000室。21万人分だ。

 これを超えたら、申し訳ないけど坑道を仮住まいにしてもらうしかない。


 服は冬用の防寒着と毛布を中心に生産したので、裸同然のひどい服の人以外は、基本着てきた服のまま。

 毛布を敷いただけの床に転がって休んでもらう事になる。


 エルフの奴隷は元々そんな扱いをされていて、リンネは木の床に古い毛布一枚だったが、地面に直接だったり、毛布さえ与えられていなかったという人もいる。

 薬師さんなんかは、坑道の石の上で仲間と身を寄せ合って眠っていたそうだ。


 それを思えばあまり変わらないとも言えるが、どうも虐待しているみたいであまり気持ちよくない。

 それに、これからは暖かい季節だからまだいいが、冬はそうはいかないだろう。


 思い出すのは初めてこの世界に来た日。俺達に部屋と自分の分の毛布、食事を提供してしまったせいで、翌日リンネは『体調不良(弱)』になっていた。

 今思い出しても本当に申し訳ないし、一番あやうかった時を救ってもらった事には、感謝してもしきれない。

 なのでその大恩を返すためにも、リンネの望みに沿って、エルフさん達にはなるべくいい環境で過ごしてもらいたい。


 とはいえ、レナさんによると冬までに用意できる冬服と毛布の数は、服が3万着の毛布が14万枚の見込み。

 燃料は炊事用で精一杯。暖房に回せそうにはないので、一枚の毛布を二人や三人で羽織はおって寒さをしのいでもらう事になりそうだ。


 この点は一応薬師さんに確認を取っているが、『雨風をしのげて、栄養も十分ならなんとかなるだろう』との事だった。

 万全とはいかないが、なんとか耐えてほしい。


 その食料も、どれだけ確保できるかは今年の収穫次第という危うさをはらんでいる。

 場合によっては、リンネが言っていたドラゴン狩りに行かなければならないかもしれない。


 タイミング的に計画発動は今しかなかったとはいえ、ずいぶんと危うい事をしていると自分でも思う。

 唯一の救いはエルフさん達がみんな、仲間を助けるためにと、進んで労苦を買って出てくれる事だ。

 薬師さんみたいに、やりすぎじゃないかと思う事もあるけどね……。



 とはいえもう巨大な歯車は動き出していて、俺にも止められない。

 あとはなるべくいい結果に繋がるよう、全力を尽くすだけだ。


 今日も続々と到着するエルフさん達に対応しながら、俺はこの計画が破綻を迎えないようにと祈るのだった……。




大陸暦422年4月8日

現時点での大陸統一進捗度 1.3%(パークレン鉱山所有・エルフ3163人+新規到着3万2000人)(パークレン子爵領・エルフの村24ヶ所・住民2301人)

資産 所持金 88億5815万(+1億3190万)

配下 リンネ(エルフの弓士) ライナ(B級冒険者) レナ(エルフの織物職人) セレス(エルフの木工職人) リステラ(雇われ店長) ルクレア(エルフの薬師) ニナ(パークレン鉱山運営長)

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