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妹と異世界転移 ~引きこもりだった俺が妹を護るために大陸を統一するまで~  作者: おとしんくるす


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100 全てのエルフの解放に向けて 4『エルフに代わる労働力』

 解放されたエルフさん達の受け入れと、解放のための根回しはある程度進んだ。

 なので三つめの問題点である、エルフの奴隷がいなくなる穴を埋める方策にとりかかる。


 エルフの奴隷がいなくなる事で大幅に不便が生じたり生産性が落ちるようだと、教会の権威をもってしてもエルフ奴隷の追放は徹底されないだろう。

 そして需要が残れば当然供給源としての牧場も残る訳で、ここはとても重要な所だ。


 なにがなんでも、エルフ奴隷の価値を『必要ない』『売れない商品』にまで落とさなくてはいけない。

 それと同時に、エルフ奴隷の追放は人間にとっても利があるか、少なくとも損がないと認識されなければいけないのだ。


 俺の見立てでは、エルフ奴隷の仕事は領軍など一部を除けば基本的に単純労働の労働力なので、かなりの部分を道具と機械、使い方の工夫で代替だいたいできたり、軽減できたりするはずなのだ。


 ろくな物を与えられていないとはいえ、一応食事や服が必要で疲労もするエルフに比べれば、メンテナンスだけで休まず働く機械は利点が大きい。

 もちろん生身のエルフの方が便利な点もあるだろうが、そこをなんとか利点の大きさでカバーする。なんならエルフの評価をさらにおとしめてでも、エルフ奴隷全面追放の空気に持っていくのだ。



 領軍については不確定要素が大きいが、エイナさんいわく、『貴族というのは評判を大変気にするものなので、教会発の亜人追放令が広まって、大貴族がそれに同調する動きを見せれば、一斉に右に習えをするでしょう』との事。


 多分エイナさんの工作による協力も得なければいけないだろうが、なんとかなってほしいものだ……。



 想定される諸条件を満たすためには、まずは道具と機械の開発。それから量産と普及が必要になる。

 俺個人でやるには準備期間の一年は短すぎるけど、この分野にはファロス大公という逸材がいるので、ある意味一番安心できる。

 基本の知識と概念さえ提供すれば、開発とこの世界における最適化。量産と普及は自動でやってくれるだろう。


 権力も財力も影響力もこの国でトップクラスなので、上手い事協力を取り付ければ、教会が亜人追放令を出す後押しにもなってくれるはずだ。



 そんな目論見もくろみの元、前の世界の記憶を搾り出して、この世界でも再現できそうで、エルフ奴隷の代替になりそうな道具を片っ端から書き出していく。


 水車・風車・手押し車(一輪車や台車)・ラバの飼育・洗濯機・石鹸せっけん・ベルトコンベア・アルキメデススクリュー……。

 黒色火薬……はやめておこう。鉱山の採掘では役に立つだろうけど、他に転用されたら危なすぎる。

 文明が発展するのは結構だけど、俺や妹の危険が増えるのは断固お断りだ。



 リストに上がったうち、水車や風車は言わずもがなの動力源。身近な所では、鍛冶屋でふいご吹きをやらされていたセレスさんや、製粉所で粉引きをやらされていたレンネさん達の代わりになる。



 各種手押し車は輸送効率を上げてくれる。

 一応この世界にも類似品はあるけど、箱にタイヤが二つ付いた使いにくそうな物なので、地面がデコボコしている所では一輪車、石畳や木の板が張ってある所では台車が活躍するだろう。

 意外な事に、デコボコした所では二輪より一輪の方が安定性が高いのだ。元の世界でも広く普及していただけあって、かなり優れた設計らしい、一輪車。


 木製の簡易スロープをセットで使えば、馬車の荷台まで荷物を上げるのも容易になる。

 これも製粉所や、農場で働かされていたヒルセさんのようなケースで労働軽減効果がある。



 ラバは、オスのロバとメスの馬を交配させて産まれる一代限りの品種で、ロバと馬の良い所取りをしたような種だ。

 ロバより力があり、馬より大人しく扱いやすい。頑健で粗食に耐え、ひづめが固いので山道や荒地にも強い。繁殖能力がないのが欠点といえば欠点か。


 領軍や隊商、遠征する冒険者の荷物運びに向くはずだ。

 他の用途は……ちょっと考えない事にしよう。



 洗濯機と石鹸は、できれば水車を動力にした半自動のものがいい。手で洗濯をするのは重労働で時間もかかるので、昔は洗濯屋という商売もあったと聞く。

 各家庭に普及は無理でも、洗濯屋形式ならこの世界でもいけるだろう。

 身近な所では、出会った時のレナさんがやらされていた。リンネも宿屋でやらされていたと思う。



 ベルトコンベアは、いったん設置してしまえば担いで運ぶのはもちろん、手押し車よりも効率がいい。

 ベルトは丈夫な布で作れると思うので、レナさんと相談だ。


 これは製粉所はもちろん、複数台を組み合わせて鉱山に設置すれば、鉱石運びをやらされていた薬師さんの代わりになるだろう。

 動力は人力手回しになるだろうけど、それでも効率は段違いのはずだ。


 トロッコの方がいいのかもしれないが、この世界では鉄はかなりの貴重品なので、とてもレールを作るほどの供給量はない。


 布ベルトの技術を応用すれば、歯車とセットで自転車もどきが作れて、足踏み式のベルトコンベアもできるかもしれない。この場合のベルトは皮製の方がいいかな?

 その辺の改良はファロス大公に任せよう。一応案だけは付記しておく。



 なんとなく名前がかっこいいので覚えていたアルキメデススクリューは、円筒の中に螺旋らせんを入れ、それを回すと水を汲み上げる事ができる装置だ。

 鉱山の排水作業の他、ため池と風車動力を組み合わせて揚水ようすいすれば、川がない所でも水車を使う事ができるようになる……と思う。


 実用性は未知数だけど、風車はいつでも回るわけじゃないからね。

 蒸気機関はまだちょっと作れそうにないし。一応理論だけは書いておくけど。



 他にも細々(こまごま)とした道具やアイディアを書き連ね、いくつかはセレスさんに頼んで小型の模型を作ってもらう。手押し車なんかは実物だ。

 石鹸は薬師さんに材料の相談をして、試作してもらった。


 どれも単純作業の労働力を代替だいたいしてくれる物のはずだが、さすがにリンネがやらされていた宿屋の店員みたいなサービス業には対応できない。

 ベルトコンベアなどを回すのも、今までより少人数になるとはいえ人力が必要だ。


 なのでそこは、去年の内戦以来失業率高めなのを利用して、人間に埋めてもらうしかない。

 一応農村向けの道具やアイディアもいくつか書いておいたので、農村でも省力化が進んで人手が余れば、他方面の労働力として働いてもらう事ができるだろう。

 バランスを間違うと社会不安を発生させてしまいそうだが、それはまあその時だ。

 人間社会の問題は人間さんに対応してもらおう。統治者はそのためにいるのだ。



 俺は試作品と設計図、アイディア帖を持って王都へと向かう。


 まずはエイナさんにこれらを見せて、その上でファロス大公への仲介をお願いするのだ。

 俺の肩書きなんにしよう……。




大陸暦421年3月10日

現時点での大陸統一進捗度 1.2%(パークレン鉱山所有・エルフ3163人)(パークレン子爵領・エルフの村24ヶ所・住民2301人)

資産 所持金 34億4783万(+1億7211万 2月分鉱山収益)

配下 リンネ(エルフの弓士) ライナ(B級冒険者) レナ(エルフの織物職人) セレス(エルフの木工職人) リステラ(雇われ店長) ルクレア(エルフの薬師) ニナ(パークレン鉱山運営長)

100話到達できました。

読んで下さっている皆さん、ブクマや感想、評価を下さった皆さんありがとうございます。

話はまだ続きますので、よろしければこれからも読んでやってください。

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