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異世界無双ハーレム物語  作者: 時野ゼロ
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第八十一話

 百人未満の冒険者と五百体のモンスターとの戦いが始まった途端、俺、レヴィ、そしてセツは戦場の各地に散った。幾らこっちには大罪悪魔のレヴィが居るとしても、数百体のモンスターと戦う時に周りの人々を守る事は不可能に近い。しかも俺達には広範囲の攻撃魔法が使えないハンデ付き。


 モンスターの大群が一つの方向から迫っていると言っても、そいつはまるで扇形の形で進軍して、その横幅は巨壁の上から見ても余裕で500メートルを超えた。故に俺達はそれぞれ右側、中央と左側に向かった。かと言って、万が一の時にお互いのカバーに入れるよう考慮した結果、俺達は遠くに離れなかった。精々百メートルぐらい離れた距離で、他の冒険者達に交えて、モンスターの迎撃へ向かった。因みに、俺は左側で、セツとレヴィはそれぞれ中央と右側から向かっていた。


 今回の依頼の目標は出来るだけ迅速にモンスター達を殲滅する事。だから先頭を率いる冒険者達がモンスターと接触した途端、戦いが始まった。彼らが交戦した事をイリアから確認した俺は冥獄鬼(ネクロス・)の鎧骨(ガーディアン)を発動した。レヴィは自身の剣モードで戦うらしいから俺が使える武器は冥獄鬼(ネクロス・)の鎧骨(ガーディアン)だけ。本来は怪しまれない為、人目の前で使わない様気を付けていたけど、この状況下では仕方ない。もっとも、こんなに混雑した状況で見付かったとしても気にする余裕が無いし。


 っと、そんな事を考えている内に、先頭に戦った冒険者達が討ち漏れたモンスター達は町へ駆けた。


――チッ


 先峰の冒険者があまりにも早く突破されたことに対しちょっとイラついて、思わず舌打ちした。だけど冷静に考えて、その数じゃ仕方ないか。理想は先鋒の皆が広範囲の攻撃魔法を放ち、モンスターの数を削る考えだった。何せ彼らは自分の魔法に巻き込まれる仲間が無いから安心に魔法を撃てると思ったけど、やはり発動までのタイムラグが有るせいかな?


 ともあれ、今は前の事を気にする事より、討ち漏れたモンスターの掃除が優先だ。漏れたモンスターの数は十数体いるが、今のところ俺の前に現れたモンスターは獣みたいな体型の三体。その内の二体は豹みたいなもので、もう一体は猿に酷似した。


 豹形の二体はお互い左右から鋭利な牙を構えながら跳び掛かって来た。残りの猿は身を地面に接触する程下がって、超低い態勢で爪を薙ぎ払えの構えに入った。


 ほぼ同時に繰り広げた三方向からの攻撃を凌げるため、俺は右腕の鎌を猿の頭ごと地面に貫いた。猿のモンスターはその一撃で即死した、残りは左右の豹!ならば……!手に纏う冥獄鬼(ネクロス・)の鎧骨(ガーディアン)を解除する事で地面に深く刺した鎌を消した。まだ残っている攻撃の慣性を利用し、素早く逆立ちした。そのまま解除した冥獄鬼(ネクロス・)の鎧骨(ガーディアン)を再発動した。しかし今回は腕では無く、両足を対象にして発動した。そしたら見慣れた骨の鎧が膝の下から足まで纏った。足に鎧が纏った事を確認して、強化魔法を掛けた。逆立ちの状態でぐるりっと一回転した。その一回転で俺の踵は見事に二体の豹の頭に直撃し、粉砕した。


「…………」


 逆立ちから体勢を戻した俺は盛大に飛び散った豹のモンスターの遺骸を見て、あまりのグロシーンにドン引きした。あれ?俺の脚力ってそんなに高かったのか?猿の方は分かるけど、まさか蹴りの一つで粉砕するなんて……確かにこの三体のスピードはかなり速かったから、もしかしてスピード重視する為に進化して、防御を捨てたのか?いや、そもそも俺がスキルを使わず、肉眼で追いつけるスピードだし……


『あのぉ、レイさんはこのモンスター達をどの水準で――?』

『ええっと、ディメンション・ウォーカー』

『……はい?』

『も、勿論ディメンション・ウォーカーより弱いと分かったよ!?でも……』


 俺の答えを聞いたイジスの声が一段落ちた。まさか俺、気付かない内に彼女を機嫌の斜めた?でも戦いが始まる前は大丈夫だったし……戦い方が及第点に及ばなかったのか!?


『あのね……ディメンション・ウォーカーとこの程度のモンスターはまるで王と道端の石ころの差よ』


 耐え切れなかったのか、イリアが呆れた声調で指摘した。嘘っ、そこまでの差が有ったの!?つまり……俺の水準が高過ぎたか。ちょっとショックかも……


『何ぼさっとしてる!次波来るよ!』


 ショックを受け、軽く凹んだ俺を現実に連れ戻したのはイリアの怒鳴り声だった。いきなり過ぎて頭が付いて行けなく、咄嗟に≪気配感知≫使った。って、十体以上のモンスターが俺の方に来ているんですけど!?他の冒険者は一体何をやっている!?


「ああ、もう!考えるのは後だ、まずはこいつ等を片付けらないと……!」





【第三者視点】レヴィ側


 レイが愚痴を漏らした頃と同時に、レヴィも押し押せて来るモンスターと交戦する。一撃一撃がオーバーキルのレイと違って、レヴィは糸を針の孔に通すような正確さでモンスター達を一撃で屠った。


 襲って来るモンスターの種族や体型が異なる事も関わらず、一太刀で急所を切り裂いた。多方向の攻撃も、多種多様な攻撃の仕方も彼女に傷一つを負わせる事が出来なかった。無数のモンスターに囲まれたと思った次の瞬間、気付けばそのモンスター達は既に命を失い、地に倒れた。血溜まり


 踊るかの如く敵の攻撃を避け、瞬く間にその敵を屠る。彼女が立っている場所は血溜まりが出来て、彼女自身も少なからず返り血を浴びた。その光景を目撃した冒険者は彼女の美貌に心を奪われ、同時に彼女に対する恐怖も刻まれた。やがてレヴィはこの事件の後、冒険者の間には『謎の殺戮人形』と呼ばれていた。





【第三者視点】セツ側


(流石はレヴィ様……私も負けれません!)


 っと、レヴィの戦いを見たセツは静かに心の中で誓った。自分の鍛えた師匠の名を汚さない様に、仲間の期待を裏切らない為にも、セツは両手の短剣を強く握り締めた。


「――ゴブリン!」


 レヴィとレイの所同様、セツが居る中央部分にも大量なモンスターの襲撃を受けた。迫って来る十数体のモンスターの中に、セツが狙いを定めたのは四匹のゴブリンだった。


 ゴブリンは集団戦に慣れたモンスター。お互いの連携で敵を撹乱し、彼らにとって有利な状況を作る。だからセツはゴブリン達が連携を取る前に、自慢のスピードで彼らを掻き乱し、隙を見せたゴブリンの喉笛を確実に斬る!


 仲間の一人が殺されて、パニックになったゴブリン達はセツにとって敵ではない。フォーメーションが崩れた今、セツは残りのゴブリンの首を次々と斬り裂いた。断末魔も上げる暇も無く、地に倒れたゴブリンの死を確認したセツは次のターゲットを求めて、討ち漏らしたモンスターが集中する前線に駆けた。


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