第八話
「なぁイリア、お前の友人が封印された所への近道は無いの?」
「はい、残念ながら」
「はぁ~地道に歩くしかないのか」
イリアの頼みを受けて、俺達は今イリアの友人が封印された場所まで移動中。イリアの話によると、相当遠いらしい。でもそこには時空の歪みらしき現象が起こる。そのせいで次元の狭間と人界が繋がった。歪みが発生した原因は不明だけど、そのせいで時々人界から迷い込んだ人々ここに辿り着く事もたまにある。
因みに俺の空腹はキメラを食べたら何とかなった。最初は抵抗したけど、背に腹は代えられないのと、イリアも大丈夫だと言われたんで…鉄の楔で何とかその肉を食べやすいサイズに切った。火をおこす術が無かったから生で食べたけど、以外に悪くない。勿論美味いまでは言えないけど、そこまで不味くでは無かった。何か味のない、硬いグミを食べる感触に近い。
イリアが封印された場所とほぼ同じ長い道のりだけど、でも、今の俺は美少女と共にいるから話し相手が出来た。最初に比べれば全然辛くない。
「そうそう、お前に伝え忘れた事が有るの」
「伝え忘れた事?」
「うん。お前は私の力で蘇ったと話したよね。その時、お前は一部分だけど、私の力を引き継いだのよ」
「へぇ~それってどんな?」
「先ずは私のアイデンティティとも呼べる能力の一つ、≪看破の魔眼≫です。その能力については……自分の体を観察するように見て、確かめてください」
俺はイリアの言う通りに右手出して、観察した。直後、俺の目の前に一つのウィンドウが現れた。
「どうやら見えたようですね。お前が現在見えた物はお前の個人データ、通称ステータス」
「ここはゲームかよ!」と、ツッコミたいところではあるが、今は我慢しよう。因みに俺のステータスはこの様に――
名前:逆崎零
レベル:32
称号:死を超越する者
スキル:看破の魔眼、見切り[+先読み]、並列思考、縮地、豪脚、豪腕、夜目、気配感知、魔力感知、気配遮断、体術
魔法:強化魔法[+圧縮強化]
「何かスキルがいっぱいあるけど…」
「大体は私のスキルよ。戦闘系はキメラ戦で得たものだ。私に操られたとは言え、戦ったのはお前の体だから」
「なるほど。後この称号って何?」
「称号は何かの実績を成し遂げた後に貰えるモノ。まぁ、勲章みたいに。因みに、お前のそれは私が蘇らせた時で手に入れたよ」
「へぇ~な、イリアのステータスも見て良い?」
「良いけど……他言無用ですよ」
「分かった」
イリアの許可を得て、俺はイリアを観察するように見た。
「あ、あんまりジロジロ見ないで」
イリアは赤面でモジモジしながら手で胸と下半身の辺りの隠すそうな仕草をした。よくよく考えれば、女の子を観察する事自体、相当変態な行為だよね。
「わ、悪い。でも仕方ないだろう」
「はぁ~慣れたらそう観察しなくて済む、ただ『ステータスが見たい』と意識すれば見れます」
「何か、ごめん」
「それはもう良いから、私のステータスが見たいでしょう?ほら、早くして」
「じゃ、失礼します……つ、強っ!?」
「ふふふ、どうだ?私って凄いでしょう?」
イリアのステータスを見た俺の反応に、イリアは誇らしく、決して小さくない胸を張った。服の上では分からないけど、十中八九ちょうどいいサイズの美乳だと確信した!
「感服いたしました」
「そう固くならなくって良いの。今まで通りの方が好き」
そして、気になるイリアのステータスは――
名前:イリア
レベル:???
称号:???
スキル:禁書庫の目録、意識連結[+念話]、看破の魔眼、並列思考、気配感知、魔力感知、全方位探索[+マッピング]、魔力干渉[+魔法干渉]、思考加速
魔法:―
「さぁ、着いたよ。ここが私の親友、イジスが封印された場所だ」
イリアに色々と教えられたら、いつの間にかイリアが封印された場所に似た様な建物の前に着いた。