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異世界無双ハーレム物語  作者: 時野ゼロ
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一周年記念SS  四人のデート

 この小説を書き始めてからもう一年が経ちました……この一年間に読んでいただいた皆のお陰でここまで書けた。本当に心の中は皆さんへの感謝がいっぱいです。今日は一周年と言う事で、前に約束したデートシーンをここでお披露目します。


 すこし長文に成りましたが、どうかご了承下さい。

 宿屋の食堂で提供された夕食を堪能し終えた俺は一旦宿屋付近の人気が少ない路地裏まで足を運んだ。周りにこっとの事を見ている、またはこっちに起こる事を気付かれるリスクが無いっと確認した後、イリア達に念話で呼び掛けた。イリア達もその呼び掛けに応じて、俺の前で姿を現した。


「悪い、待たせた?」

「ううん。マスターが気にしなくっていいよ」


 人前でいきなり姿を現す訳がいかないから、イリア達は費用や俺の魔力、彼女達自身の正体等の事を配慮した結果が『私達は出来る限りレイ以外の前に実体かしない方が得策』っと成っていた。一応これからはデートする予定なので、夕食はあんまり食べないにした。それでもその宿に泊まっている客が多いせいで、彼女達にかれこれ十分近く待たせた羽目になった。念のために謝っていたけど、レヴィを筆頭にイリア、イジスも許してくれた。


 よ、良かった~記念するべき人生初デートで相手の機嫌を損する発言や行動を極力避けたい。彼女達には記憶に残される様なデートとしたい!……っと言いたいが、人生初めてのデートでしかもそれは右も左も知らない異世界で行われている何て……ハードルを上げ過ぎないか?


 そもそも俺は数年間、誰にも喋れる事も無く、だた単にゲームやアニメ漬けの日々を送っていた引きニートだぜ?女性への耐性が元々無いに等しい俺がこんな自然体で三人の美少女と会話できる事自体はもはや奇跡とも呼べる事態だ。そう言えば、何で俺はイリア達と自然に接することが出来るんだろう?以前の俺なら絶対、一定以上の距離を置居た筈……何故かイリア達にはそうする気が全くない、寧ろもっと彼女達の事を知りたい、彼女達ともっと近くで歩みたい……


「マスター?」

「あ、いや……ちょっと考え事をした」

「ふ~ん。まっ、良いか。それでこれから如何するの?マスターは初めてこの町に来たよね?」

「そ、そうだけど……?」

「そんなマスターに私達三人を上手くエスコート出来るかなぁ~?」

「うぐっ」


 俺の反応を楽しむかのよう、ニヤニヤしながら発したレヴィの言葉に思わず咽た。こ、こいつ……まさか契約を交わした大罪悪魔はイリアみたいに、俺のの考えた事が分かるのか?流石に俺は考え事を顔には出す程、読みやすい人だったか?いや、寧ろそうじゃないっと思いたい。とは言え、レヴィに今の俺が一番悩む事態をこうも簡単に言い当てたんだ。だとすると……イリアは勿論のこと、イジスも多分俺の心境を察した筈。


 うぅ……初めてのデートで彼女達を上手くエスコートし、良い思い出を起こしたかったのに……


「まぁまぁ、落ち込まないで。マスターが初デートで張り切って、私達の失った時間を補う為に良い思い出を残そうと、上手くエスコート出来るか不安を感じる事は皆知ってますよ」


 俺のリアクションを十分堪能したレヴィはここで盛大な爆弾発言を落とした。その言葉の意味を理解した俺はフリーズ状態に堕ちた。そして数秒後――


「皆知っているのかよ!?」


――俺はやっと現実に戻った。


「うん。だって、イリアさんが教えたんだもん」

「イリアが?何時?」

「レイさんが部屋の代金を払う時ですよ」

「………」

「マジか……」


 皆が俺の悩みを知る術をあっさりバラした。その術の中心たるイリアも隠し事がバラされた故、伏せた顔が僅かに紅潮しつつもそれを否定しなかった。って言うか、そういう内緒話は言わない方が良いじゃないか?


「まぁまぁ、過ぎた事は気にしない!今から三人の美少女とデートするでしょ?」


 その言葉を言った途端、レヴィは満面の笑顔を浮かべ、俺の右腕を抱きついた。服越しに感じるレヴィの体温と押し付けられた胸の柔らかさは物凄い勢いで俺の理性を削る。それらを極力無視しようとも、今度は鼻腔をくすぐる良い匂いがレヴィの存在を強調した。かと言って、今ここで彼女を突き放す行為はあまりにも無情過ぎて、出来ない。


 俺にはこの魅惑過ぎる状況下で理性を保つ自信が無い!だからこの雰囲気を打破しようと、残された理性でレヴィの発言にツッコミを入れた。


「自分の事を美少女って言うか、普通?」

「あら?私達、美少女じゃないの?」


 俺の助け船のツッコミを上目遣い、且つ嘲笑気味に交えた反論を受けた。くっ、ド正論すぎる……でもこのやり取りのお陰で失いかけた理性を取り戻せた。


「……違いない」

「二人だけでイチャイチャしないで下さい。私達だってレイさんのデート相手ですからね」

「わ、私は別にレイとデート……」


 俺がレヴィに小声で賛同の言葉を述べた。俺達のやり取りを見守ってたイジスの声が路地裏の奥から聞こえた。イジスの指摘に咄嗟の反論を口にするイリアだが、その声は段々聞こえなくなった。どうやらイリアも満更嫌じゃないみたいだ。今更だけど、引きニートの俺が美少女三人とデートするなんて……まっ、良いか。


「ほら、ボーっとしない!早くデートを楽しもう!」

「そうですわ。今夜はまだ長いとは言え、時間は有限です」

「……早くしましょう」

「分かった。分かったから服を引っ張るな」





 路地裏から出た俺達は初めてこの町に来た時、馬車で通った商人区の大通りを目指した。そこはこの町において、唯一その構造を知っていると言っても過言じゃない場所。何せ、俺達は馬車で通った時に見ていたから、何となく思えていた。大通りに並ぶ屋台や店の数も豊富の事だし、先ずはそこに行くって決めた。一応宿屋から大通りまでの道は思えていたから迷わずに辿り着いた。


「うわー!夜でも賑やかだね!」


 大通りに着いた俺達の先頭に歩くレヴィが町の賑やかさを見た興奮を隠さず、元気に小走りで近くの店まで走った。俺達も苦笑をしながらレヴィの後ろに付いた。


「ね、おじさん。これは何?」


 レヴィが向かう先の店から焼き肉に似た食欲をくすぐる美味しそうな香りが漂ってくる。その屋台の店主のおっさんに元気な挨拶を交わした。店主の声もまた、夜の大通りの賑やかさにも劣れを取ることはなかった。


「おっ!嬢ちゃん、お目が高い。これはね、ランページブルというモンスターの肉を串焼きにした物さ。どうだい?嬢ちゃんも試してみる?」

「ねぇ、マスター……」

「勿論良いよ」


 店主の誘いを受け、レヴィが期待に満ち溢れた上目遣いで俺を見詰める。うぅ……最初から彼女達の頼みを断るつもりは無いので、俺はすぐに返事を出した。だけど、レヴィの上目遣いの破壊力は凄すぎた……


 内心でレヴィの上目遣いのダメージを感心しつつ、ポケットから予め入れた銀貨数枚をレヴィに渡した。


「イリアとイジスの分も頼んだぞ」

「任せて、マスター!」


 燦々とした太陽のような笑みで店主に銀貨を渡した。数百年前は人間に忌み嫌われているレヴィは人間に対するトラウマの有無が心配だったけど、こうして他の人間と会話出来る所を見て、それは無用な心配である事を悟った。何だか子供が初めての買い物を見守る親の気分だな……体験した事は無いけど。


「マスター、ただいまぁ~!」

「おお、お帰り」


 店から少し離れた場所から彼女を見守る俺達の所にレヴィが小走りで戻った。その胸には紙袋らしき物が抱えている。帰ったレヴィは先ず串焼き肉のお釣りを渡した。そして彼女は紙袋の中身を見せた。


 あれ?この串焼き肉ってそんなに安かったか?ぱッと見、袋の中の串は約十本ぐらいあるのにも関わらず、お釣りの方が多すぎる気がする。その事をレヴィに訊ねると……


「それは店主のおじさんが二本奢ったよ」

「あのおっさんが?」

「うん。それより、これを試した方が良いよ、マスター。凄く美味しいぞ」

「そうですわ、レイさん!これは是非試してみてください」

「そ、そうか?ならいただこう」


 レヴィとイジスに強く勧められ、俺も袋から一本の串焼き肉を取り出し、食べ始めた。


 ……ッ!これは美味しい。噛んだ瞬間に肉汁が溢れ出して、薄めに肉の表面をコーティングするソースも肉自体の旨みを引き立てた。あの二人が勧められた理由も分かる。因みに、イリアは声に出せなかったが、明らかに喜んでいた。


「次は何処へ行くつもりですか?」

「う~ん、一応この商人区を回るつもりだけど?」

「じゃ、早速行こうか」

「え、まだ食べ終わってないぞ?」


 まだ串焼き肉を食べていたイジスとレヴィが食べ歩きデートに誘われた。イリアとイジスは食事を取る必要は無いと宣言したが、どうやら彼女達はもう美味しい物の虜に成ったみたいだ。


「そんなの、町を歩きながら食べれるだろう?」

「……分かったよ」


 俺がイジス達の誘いに疑問を持った時、イリアが彼女達のフォローを入れた。おや、どうやらイリアがデートを楽しめたい気持ちを隠す気が無くなった。その証拠に、イリアが「――だって、レイとのデートをもっと楽しめたい……」っと言ったのを聞き逃さないかった。イリアもイジス、レヴィは数百振りに人間の街にやって来た、三人のテンションも上がっている。まっ、元からはそのつもりだ。





 こうして、俺達のデートは夜遅くまで続いた。デート始まってからもう六時間弱が経っていた。これまでの事を要約すると、俺達は商人区で食べ歩きとウィンドウショッピングを交えたデートをした。美味しそうな食べ物を買って、それを食べながら屋台や店に出品する商品を見た。それを繰り返して、気付かない内に商人区の半分ぐらい歩いた。そして俺達のデートは満腹感と共に、終盤へ近づいた。


「ちょっと行きたい場所が有るんだけど……付き合ってくれる?」


 イリア達が満足した事を確認した俺は彼女達にそれを訊いた。彼女達から二つ返事を受けて、俺達は商人区の中心から離れた。俺達の現位置から徒歩30分でその場所に着いた。その場所はさっきまでの賑やかさが嘘のように、不思議なぐらい俺達以外の足音も、人々が談笑する声も聞こえない。


「ここって……」

「そう。この町に入る時に通った巨壁だ」


 イリアの質問に答え、目の前に聳え立つ巨壁を見上げた。その名の通り、地上からはてっぺんが見えないぐらいの高さを誇る壁、まさに巨壁だ。


「皆はちょっと実体化を解いてくれる?」

「え?良いけど、まさか――!?」

「そう、俺が行きたい場所はこの巨壁の上だ」

「レイさん、正気ですか!?」

「ああ、勿論だ。デート開始直後からここに来たかった」

「この上に何があるの?」

「まっ、それは着いた時のお楽しみって事で」


 俺の行き先を知った彼女達はイリアから始め、イジスとレヴィが各々の疑問を訊ねてきた。彼女達に秘密を明かすのはまだ早い、もうちょっと彼女達の期待を膨らもうっと、敢えて質問の答えを言わなかった。内心で疑問を抱えつつも俺の言う通りに実体化、擬人化を解いてくれた。


 イリア達の姿が消えた所が他人に見られていない事を確認した後、俺はいつもの風の足場を作り、それらを蹴る事で巨壁を登った。目測1キロメートル以上の巨壁を登りきるまで五分掛かった。地上に巡回する兵士や民衆の目への警戒は工夫しないといけないが、その巨壁の上は流石に誰も居なかった。それに、俺が求めていたアレも予想通り、そこに居た。


『出た時は目を瞑ってね』


 イリア達が実体化、擬人化する前に念を押した。一応目を閉じなくでも良いんだけど、その方がサプライズ感が出せるから……


 俺が言い終えた直後、イリア達は良い通りに目を瞑ったまま実体化・擬人化のスキルを発動した。彼女達が巨壁の上から落ちない様に気を付けながら、ある方向に向く様、三人を横一列に並べた。さぁ、いよいよサプライズへのカウントダウンだ!


『俺は今から五からゼロまでカウントダウンするので、ゼロを言ったら目を開けてね』

『はい』

『了解です』

『マスターからのサプライズか……楽しみ!』

『さぁ、行くよ?……五っ!……四っ!……三っ!……二っ!……一っ!』

『『『…………』』』

『――ゼロっ!』


 カウントがどんどん進んでいる中、三人の期待が着々と高まってきた。その証拠に、彼女達は明らかに落ち着きが無くなり、もじもじし始めた。彼女達の反応を見て、俺の悪戯心がくすぐられ、ゼロを言うまでの間が少し開いてしまった。


「「「……ッ!」」」


 巨壁の上から町の方向を眺めると、無数のオレンジ色と銀色の明かりが大地と大空を覆っている光景が広がっていた。大地を覆うオレンジ色の明かりは店と屋台などの明かり。一方、銀色の明かりは夜空に飾られた無数の星。ここの空気は前の世界の空気と違って、大して汚染されていなかった。そのお陰でこんな綺麗な夜空を崇める事が出来た。


 マナクリスタルを使った照明はまるで夜空の星々と張り合うかの如く、時折蝋燭の日みたいにゆるりゆらりと揺れ動く。対する星々はただ淡々と銀色の光を発していた。まさに人工物と自然の美しさが噛み合っているからこそ作り出せる絶景。


「……綺麗」


 誰しもこの景色に見惚れた時、その言葉はレヴィの口から零した。それを聞き逃さなかった俺はついレヴィの手を握った。レヴィの手を握ったまま、俺は小さく、けど皆に聞こえる様に呟いた。


「ああ、まだこの世界に来て間もないだけど……この世界はとっても良い世界だって事を信じたい。今俺達が見ているこの景色みたいに、きっとこの世界にはまだまだ素晴らしい所が沢山存在する。だから、一緒にそれらの景色を見ないか?」

「「「はい!」」」



 実はもっと書きたかった……でもデート経験が皆無な私にとって、これが私の限界です。もっと見たい方には申し訳ありません。 (´;ω;`)


 これからも応援よろしくお願いします。

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