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異世界無双ハーレム物語  作者: 時野ゼロ
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第七十五話

 ギルド内に気絶寸前の男の胸元を片足で踏みながらレヴィを彼の首元に構えた。俺は胸の痛みに耐え切れず、呻き声を漏らしている男を無視し、周りを囲むこいつを手下達を睨んだ。全く、こいつらは本当に俺を怒らせる方法を知っている。一週間も経っていないのに、もう俺を二回も怒らせるなんて……


 俺は周りの者を見渡す振りをして、こっそり後側に立っているセツの事をチラ見した。良かった、こいつらの注意が全部俺に向いている。これで何者が混乱に交えて、セツにちょっかいを出す確率も減った。しかし、こいつらの眼差し……完全に俺への警戒と恐怖で占められているな。よし、ここで脅かすか……


「さて、次は何処を切り落とされたい?」


 俺は出来るだけ低い声で倒れたリーダーの男に話し掛けた。しかも周りの手下達に聞こえるように少し音量を上げて。でも件のリーダーの目は既に戦意を失って、先程の勢いは完全に恐怖に支配されている。


「ひっ!?」


 こりゃ……もう俺が言ったことは聞こえないな。でもま、この場に居る他の者に聞こえるなら同じ効果は見えるだろう。それでも俺はここで見逃す訳にはいかない、もっと……もっとこいつらの精神に恐怖を刻む必要が有った。


「何だ?答えないのか?なら選択肢を与えよう……そうだな、もう一本の腕か?足か?指か?それとも……その腐った脳みそが積み込まれた頭か?さぁ、選べ」

「………」

「……何だ、もう気を失ったのか?こんな人がリーダーに成ったら、そりゃ組織の格も下がる訳だ。さぁて、次は誰が斬られたい?」


 恐怖と失血に責められ、ついに気を失ったリーダーの男から離れて、俺はその男の手下達を睨みながらその言葉を発した。当然、俺の質問に答える者はいなかった。あいつらは刃向かう事より、もう逃げる事すら出来ないパニック状態に陥った。


 もう脅威が去ったと確認した俺は再度セツの方を見た。彼女は俺の視線に気付き、俺をじっと見詰めた。どうやら何かを考えている様で、セツは視線を僅かに下げた。


 ……あれから暫くすると(言うて一分も経っていないけど)、セツは再び俺の方を見て、僅かに頷いた。彼女のその行動を見て、俺も同じく頷いた。これぞ、お互いの思考を読み取れる二人同士のコミュニケーション……っと言いたい所だけど、実はイリアの念話を通じて、普通に念話で会話をしていた。でも周りの者は長年一緒に生活した二人同士のやり取りにしか見えない筈!これで更に俺とセツは何かしら親密な関係を持っていると立証出来るし、俺を警戒して、セツに手を出し輩も減る。俺とセツ、お互いにとってウィンウィンの状態を作れ出せる。因みに、その時の会話は――


『ちょっと良いか、セツ?お前に訊きたい事が有って……』

『何?』

『実は……こいつらの処分をお前に決めたいんだ』

『私に?』

『ああ、何せお前が今回の事件の最大の被害者だから』

『……少し考えさせて』

『……分かった』


 …

 ……

 ………


『あの……』

『おっ、決まったか?』

『……私はご主人様の決断に従う』

『ちょっと待て、今何を――』

『私は貴方の奴隷です、なら主人の決定に従います』


――っとだけ言って、向うから念話を切断した。イリア曰く、イリアの≪念話≫スキルは相手が念話を繋ぎたくない場合は無理矢理繋ごうとしても出来ないらしい。だから今回、セツが念話の接続を拒否したから、俺の方は何も出来ない。そしてそこからお互いに頷い合う状態に至った。最初はこの演技を打ち合わせるつもりだけど……いきなり念話を切ったからどうしようっと悩んでたけど、まっ結果オーライと言う事で!


 一度気持ちを切り替えて、今回は視線をセツから手下達に向けた。


「兎に角、もう二度と俺達の前で姿を現すな。次会ったら、全員簡単に死ねると思うな」

「「「「「………」」」」」

「良いな?」

「「「「「はい!畏まりましたぁ!」」」」」

「ならさっさと失せろ!目障りだ」

「「「「「はい!」」」」」

「ああ、ちょっと待った。先ずはお前らのリーダーとその腕を持ち帰れ、あと返り血で汚れた床等を綺麗にしてから失せろ」

「「「「「畏まりました!」」」」」


 さっきまでは俺の話に全く返事が無かったと言うのに、今となっては元気よく返事してくれた。あっ、もしかしてあれかな?大きなストレスから解放された人間は時々普段の自分にも信じられない程の高いテンションを出すあれなのか!?……まぁ、冗談はこの辺にしといて、本当元気になったもんだな。これだけの恐怖を嫌でも脳内に刻んだ、暫くの間は心配なさそうだ。


 しっかし、流石は数十人の力と言うべきか。無意識になったリーダーの男と彼の斬り飛ばされた腕、飛び散る血痕をも含んむ全部の形跡が十分未満で跡形なく消えた。寧ろ普段より綺麗になってないか?


 ともあれ、彼らがギルドから離れてた直後、外で集まっている冒険者及び作業員達も着々とギルドに入ってた。ふぅ~、これで一件落着だな。


 平常運転に戻りつつあるギルドの見て、俺は思わず胸を撫で下ろした。流石に一ヶ月に近い月日が経つと冒険者ギルド(ここ)への執着も湧くな。さて、これで心置きなく依頼を受けて、その場で訓練出来る。しかも今日からはセツも訓練に加わる事だし、正直結構期待している。一体どんなステータスを持つか、何のスキルを使って追手から逃げ延びれるか、この世界に対する知識はどれぐらいなのか……ん~実に待ち遠しい!


 自分の中に膨らむワクワクする気持ちを抑えきれず、俺はセツの手を引っ張って、いつものカウンターまで行き、いつも通りに依頼受けるつもりだったけど――


「……レイ君?先程の人達は一体誰なのか、そしてその獣人族の女の子の事もまだ説明していないよね?」

「……」


 やばい。先程の武装集団から劣らない気迫を見せる受付嬢。そうだった。完全にこいつとの約束を忘れてた!普段はハイテンションで話し掛ける人だけど、今回は俺でさえ鳥肌が立つ程の気迫を見せる。これは……当分依頼を受けられるのは一、二時間後に成るな……


 クソぉ~あんな期待してたのにぃ~。はぁ、仕方ないな。これもまた、避けて通れる道では無さそうだ。


 因みに、俺が覚悟を決めている際、セツは頭を傾げながら不思議そうに俺を見詰めた。まっ、セツの為だと考えて良いか……


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