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異世界無双ハーレム物語  作者: 時野ゼロ
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第六十三話

 初依頼達成してから一か月弱が過ぎた。その間、俺は立て続けにレヴィを始めとするスパルタな訓練を受けた来た。毎日町から出る必要があるから、その辻褄を合わせる為に同じ薬草採集の依頼を毎日受けた。初回で大量な薬草を必要最低限な量で依頼完了の証明にしている。


 あのハイテンションの受付嬢や他の冒険者の先輩から「もっと幅広く、依頼を受けないと冒険者ランクが上げにくい」っと言う助言を多々貰っていたけど、当分の目標はランク上げと言うよりかは戦闘のセンスを磨けたい。だからあの人達の不審を招かない様、慎重に、かつ丁寧に適当な理由で断った。


 今日も、レヴィ達によるスパルタ訓練が繰り広げられている。場所はこの一か月間、変わらずの薬草取りに行った密林の近くの草原で行った。最初レヴィとの戦いで思いっきり派手な攻撃を使ったからここら辺が凄く警戒されていた。そのせいで魔法の試し撃ちも出来ず、出来るのは基礎的な体力の底上げと、素手や冥獄鬼(ネクロス・)の鎧骨(ガーディアン)レヴィを使った近接戦闘の訓練だけだ。実は魔力量を底上げしたいけど、イリアに訊いても具体的な方法が無い。この件については色んな説が存在するけど、どれも信憑性に欠けていた。イリア曰く、レベルを上げる事が一番手っ取り早くて、確実な方法らしい。


 そして現時刻は太陽の傾きから察するに、夕方の五時過ぎで、六時に迫って来る時間帯になっている。


「ふぅ~。今日はここまでにしようか、マスター?」

「はぁ、はぁ、はぁ……。そうしてくれて、ありがとうっ」


 訓練を始まってから俺達、夜の七、八時まで続けたことも多々有ったから今日のこの時間帯は大分早めの方なる。正直、俺はさっきまで冥獄鬼(ネクロス・)の鎧骨(ガーディアン)を使って、レヴィと戦っていてもうヘトヘトな状態だ。息荒く床に倒れ込んでいる俺と真逆に、レヴィはこれと言った疲労を見せなかった。これが、レベルと戦闘経験のさなのか?


 因みに、イリアとイジスには今日手出ししないという約束だから二人とも横で俺とレヴィの戦いを眺めていた。普段はレヴィ、イリア、イジスという順のローテーションで俺の訓練の師匠になってくれた。正直に言って、結構辛かった。一人の訓練の仕方を一日で何とか慣れるようになっていたが、次の日での仕方が変わって来るから慣れない方が良かったかもしれない。


「ほら、立てるか、マスター?」


 疲れ切った俺を支える為、レヴィが手を差し伸べてくれた。俺も何の躊躇もせず、迷いなく彼女を掴んで、立ち上がろうとする時――


「レイ、伏せてっ!」


――横からイリアの叫び声が響いた。その直後、俺の後ろ、つまりレヴィの目の前からバレーボール並みな火の玉が飛んで来た!


「ッ!?」


 俺は床に倒れて、レヴィに引っ張っていた態勢にいるから下手に動くとレヴィがバランスを崩し、火の玉に直撃する。かと言って、剣をしまってたレヴィが再度剣を取り出すには時間が足りない。ここは、俺が冥獄鬼(ネクロス・)の鎧骨(ガーディアン)でレヴィを守る!


 そう決まってた以上、俺はレヴィのバランスを崩さずに立ち上がて、冥獄鬼(ネクロス・)の鎧骨(ガーディアン)で体全体を纏った。


「≪リパルス・バリア≫!」


 ダメージ覚悟で歯を食いしばってたが、イジスがタイミング良く俺達の周り囲むよう、バリアを張った。イリアもバリアの中に入って、火の玉が飛んで来た方向を見詰めてた。


「イリアさん、これは遠距離からの狙撃ですか!?」

「分からない。でも約300メートル先に八人が居るのは確かだ」

「その他はいますか?」

「無い。少なくとも私達から半径一キロ以内はその八人しかない」

「その範囲外からの狙撃の可能性は?」

「無理ね。さっきのは初級な火魔法の≪ファイヤーボール≫。本来の射程は500メートル前後に過ぎない」

「……凄い。何で今の魔法が初級の≪ファイヤーボール≫だと分かるの?」


 これが、古の大戦を体験した者の実力……奇襲攻撃を受けても尚冷静にいれて、すぐさまに仲間を守れるバリアを展開するイジス。一方のイリアは凄まじいスピードで敵戦力と状況の把握、その攻撃の仕方と種類を分析する。しかもこの二人のコンビネーションに隙が無い。本当、良い仲間に巡られたよなぁ。


「ねぇ、マスター」

「ん?」

「何でさっき、私を庇ったの?」

「何でって……普通、仲間に攻撃されてたらその仲間を守るだろう?」

「その程度の攻撃じゃ私に傷付ける事すら出来ないと言うのに?」

「あっ……」

「もしヤバイ事になったら氷結魔法で自分を守れたよ?」

「………」

「ははは。その辺にしとけ。大切な人が傷付けされたくないから、自身を危険に晒しても構いなしにその人を助ける。それがレイの本質だ」


 何だ?いきなり褒められたけど………目の前でそんなこと言われたら照れるって。でも内容的に、自分の身の安全もろくに確認できない人にも聞こえるな。まっ、褒め言葉として受けてこう。この話を聞いたレヴィは気まずそうな顔で苦笑した。


「………変なマスターだね」

「手放さないって誓っただろう?なら俺もお前のマスターらしく、守ってみせるよ。俺だって、何時までも守られる側になれたくないから。お前たちの側に立って、ともに戦える様になりたいんだ」

「……マスター」

「はいはい、そこまでにしておけ。水を差す真似は悪いけど、もうちょっと緊張感を持って。何も目的かは知らないが、一応魔法を撃ってきたぞ!」

「ご、ごめん」

「コホン。でもイリアさん、撃ってきた魔法は最初の≪ファイヤーボール≫だけだった。こっちの様子を見ているの?」

「そうかも知れない。でも、さっきまであの八人に奇妙な動きをしていた。まるで争っているように」

「仲間割れ?」

「だと良いがな……」


 まずいな。このままだと硬直状態に成りかけて行く。多少危険だが、仕方ないか………


「なら、こっちから行こうか」

「レイさん!?」「マスター!?」

「こっちは魔法が一発飛んで来たんだ。どんな理由だろうと、その一発の返礼ぐらいはしなきゃね?」

「…………そうだな」

「イリアさんまで!?」

「レイは私達が付いている。でも今日の訓練で大分疲れてたから油断するなよ」

「おう!」

「任せて!」

「はぁ~。分かりました。でもレイさんには今日最後の訓練として、傷一つ負わず、という課題をかけますわ」


 傷一つも出来ないか………難しい課題を出したな、イジス。敵戦力も完全に把握できないのに、結構厳しいなぁ。でもまっ、魔法一発分。それは仲間に飛んで来た事実に変わりない。その返礼はきちんと返させてもらう。


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