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異世界無双ハーレム物語  作者: 時野ゼロ
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第五十九話

 薬草を探し始めてからやく三時間以上が過ぎた。四人でイリアのスキルの補助を受けて、密林の中で薬草を採取した結果……目の前に同じ薬草が高さ約50センチの小さな山が出来た。


「これは流石に取り過ぎた」

「ここら辺の生態に影響は出ないか心配だよ」

「それは心配ないぞ、レヴィ。私の計算ではこのぐらいなら大丈夫の範囲内だ」

「そっか。なら、実験の第二段階に移ろうか」

「マスター、具体的に何をするの?」

「先ずはこの山の薬草から数本、別々の状態になってもらう。三本は水で濡らして、もう三本は火で燃やして、最後の三本は氷で包める。その九本はその後≪ディメンション・アクセス≫に入れるだけ」

「それでその九本の状態の変化を見るのね!」

「そう言うこと」


 俺の意図を理解できた事はレヴィにとってはよっぽど嬉しかっただろう。俺に自ら理解した分の答えが図星して、満足げに満面の笑みを見せながらニコニコし続けた。くっ!何だよこの可愛い大罪悪魔は!?つい頭を撫でたいに成るんじゃないか!


「レヴィの頭を撫で続けて構わないが、この大量の薬草は如何するつもり?実験用に入れた九本と混ざりたくない。もし≪ディメンション・アクセス≫の中は普通に時間が流れていたら如何する?このままだと精々一日しか持たないぞ」

「………………」

「レイ、お前まさか……考えてなかった?」

「……ごめん」

「き、きっと大丈夫ですよ?元気を出して、ね?」

「うう~ありがとう、イジスゥ~!」


 自分のやりたい事がやっとやれて、ついついテンションが上がったせいで一番重要な事を忘れていく……本来ならレヴィの頭を撫でて、ドヤ顔をする場面に残酷な事実が告げられた。まさかこんなミスを犯すなんて……うう、恥ずかしい!穴が有れば入りたい。っとメンタルが超クリティカルダメージを受けて、四つん這い状態に陥った。そんな俺を苦笑を混じっているものの、それでも何とか俺を励ましたいイジスが居た。


 天使だ!イジスは天使だぁ!俺の前に天使が居ったぞ!どうか、どうか俺の壊れかけた心を癒してください!ああ、その手で頭を撫でられた!さっき俺がレヴィにやったのとほぼ変わらないけど、この行為は本当に癒さるよなぁ。何故ゲームやアニメの中のヒロインが主人公に頭を撫でられることが好きなのか、その疑問はこの一瞬で解けた。これは癖に成るわぁ~


 あっ、そう言えばイリアとイジスは元々天使だったか……ま、いいや。イジスが元々天使だろうと、なかろうと。今の俺にとってのイジスはまるで開けられたパンドラの箱の中に隠された最後の希望に見えてきた。


「と、兎も角。先ずは実験結果を待とう。この小山の処分はあの後で決めよう?一日は持つってイリアも言ってたし」

「それは一番妥当だね、マスター」

「待っている間にこの付近の動物を狩って、昼飯の準備をしませんか?」

「そうしよう。もうすっかり昼ぐらいになったし」

「ここから500メートル先の川にそれなりの魚が泳いでいる。そこなら魚の数匹ぐらいは簡単に取れる筈」

「んじゃ、その川に行くか」


 イリアに案内されて、密林の中で歩く事やく20分。俺達は迷うことなく、目的の川まで辿り着いた。


 その川に流れる水は一切の汚れは無く、川の底まで透き通っている。元の世界じゃこのような、汚染されていない川を見る機会なんてそうはいない。その流れも早過ぎず、激流にもなっていない。その流れを眺めるだけここらが安らかになれる。そんな透明に近い水の中に結構な数の魚が泳いでいる事は目視できた。俺達が近付いていた事も驚かず、ただ悠々と泳いでいる。


「……悪いが。数匹、狩らせてもらう」


 心の中に狩られる魚に謝罪しつつ、≪先読み≫のスキルを発動した。数匹の魚の動きを先読みし、ピンポイントに風魔法で岸まで打ち上げた。薬草の件からの反省を生かして、今回は四人いるから少し余裕を持って六匹を打ち上げた。


「ね、マスター。こいつ等は如何料理するの?」

「何か急に悪役っぽい言い方だな。まぁ~串焼きかなぁ。だって俺は料理できないし」

「それでいい。どうせ私達の中に料理が出来る人はいない」

「え?お前ら三人とも料理できないのか?」

「……はい」「同然だ」「私はその、封印されたから……」


 どうやらこの三人は本当に料理できないな……イジスとレヴィは恥ずかしそうな仕草で肯定したが、何故はイリアだけがその事実に誇りを持っていた。


「そ、そっか。なら俺は薬草が溜まっていた所に戻って、実験の成果が良ければそのままそいつらを≪ディメンション・アクセス≫に入れる。その間に、魚を串焼きできる木の枝と薪に成れる木材を集めといて」

「私がやろう。私のスキルならそれらを見付けやすい」

「あっ、私手伝いますっ!」

「なら私はここで待つよ。マスターが迷ったら契約で私の位置を把握しようね」

「いや、俺は確かに方向音痴だけど。この距離で迷うことは無いよ?多分」

「念のためにですよ、マスター」

「まぁ、それは……って、ちょっと待って!何で俺が方向音痴であることが分かった?」

「え?リルハート帝國に来る途中、マスターが寝ていた間にイリアさんが教えた。次元の狭間に同じ所をぐるぐる回っていたって」

「うう……今日の俺の精神に何か恨みでもあったか……」


 二度も俺のメンタルがクリティカルダメージを受けた。俺の心が砕ける音は果たして幻聴なのか……はぁ~仕方ない。今は羞恥心より、イリア達との昼飯を楽しむべきか。そう、美少女三人と一緒に食事を取る機会なんて今までなかった!この事態だけでも俺を四つん這い状態から立ち直れる!


 そんな夢なシチュエーションを精神の支えと化し、俺は何とか採集した薬草が小山まで積んでいた場所まで戻れた。


「よし。≪ディメンション・アクセス≫の中の奴は…………良かった、やはり時間が止まっている様だ」


 俺は少しの不安を抱えて、異次元に収納された九本の薬草を取り出した。濡れら三本は濡れたままで、燃えている三本はいれるまでと同じ所に火が燃えていた。入れる前と同じく、火の勢いが劣っていないし、他の薬草に燃え移ってもいない。最後は氷に包まれた薬草も言われずとも、火源の傍に居ることも関わらず、溶ける素振りが全くない。


 残りの薬草も≪ディメンション・アクセス≫に入れて、レヴィが待っている場所まで戻ろうとする瞬間、イリアから念話が来た。


『そっちの実験はどうだ?私達はもう串刺し用の枝と薪を集めたぞ』

『早っ!?二人でやっていることはそれなりに早くなると思ったけど、これは流石に早すぎるだろう!?』

『私のスキルでその位置を掴めたから、それを取りに行くだけだから』

『……便利すぎるだろう、お前のスキルは。ま、良いか。こっちの実験も成功だ。推測通り、≪ディメンション・アクセス≫内の時間は止まっている』

『そう、なら良かった』

『ありがとう~今戻るからちょっと待ってな』

『うん。待っている』


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