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異世界無双ハーレム物語  作者: 時野ゼロ
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第五十二話

 調査任務終了の決定が下された翌日、俺達はメルシャーから来た時と同じ形で荷物を馬車のの中に積み込んでいた。唯一の差は詰め込んだ荷物の大半がマナクリスタルであった事だけだ。ケーヌは最終確認の為、最後に馬車へ乗り込んだ。彼が馬車に入った直後、俺達はリルハート帝國に向かった。


 ケーヌからの情報だと、遺跡から帝國までは十日間掛かるら。一応人数分の食料は残っているけど、いざの時は現地調達するから食料の心配は無い。人生初の馬車、正直俺は結構楽しみしていた。でも、現実は残酷なものだ。


 最初の数時間はテンション高かったけど、その後は地獄であった。馬車に不慣れのせいか、それともこの馬車自体の床が固かったせいか……いずれにせよ、長時間の馬車旅で一番苦しい思いを残るのは尻の方であることを知った。かと言って、流石に馬車内に魔法を使うことは出来ない。この辛さをあと九日耐え続けなければならないのか!?


『何か、気を逸らせる事でもやったら?』

『おっ!良いね。でも何やればいいの?』

『それなら、マスターのスキルを確認すれば良いじゃないか?』

『レヴィ!?お前、念話も出来るのか?』

『……それは出来ないけど。イリアさんがマスターに繋げた』

『はい。レイが信用できると決めたから、ついさっき繋げた』

『なるほど……それはそうと、良い提案だよ、レヴィ』

『はい!攻撃系じゃないのスキルなら使った所でバレたとしても大した問題はないかと』

『そうと決まれば……』 


 俺は一度イリア達との念話を切って、スキル確認の大前提である≪看破の魔眼≫を発動し、自分の右手を見た。そこで、魔眼のお陰で浮かべた自分のステータス欄で新たに加わったスキルの方を注目した。


 ……増えたスキルはディメンション・アクセス、嫉妬の大罪(インヴィディア)、思考加速、超回復、武器製造、剣術、弓術と威圧の八つ、か。この中で能力を大体把握できたのはディメンション・アクセスを除いて、全部が名前的に分かる。嫉妬の大罪(インヴィディア)と思考加速はレヴィとイリアがそれぞれ持っていたスキルだから、その説明は聞いた。剣術と弓術、威圧の方はその名前でその能力を物語っていた。この場合、武器製作も分かるけど、実際に試さないと詳しくは分からないが、何らかの方法で武器を作れることは言わずも分かる。この超回復って言うスキルは正直、高速再生とどう変わるのか分からない。名前的にはそう大差ない筈。


『とすると、残りはやはりディメンション・アクセス……』

『このスキルの名前、あのディメンション・ウォーカーが使った能力に似てましたね?』

『確かに似てるな。でも、その時の俺はまだレヴィを手に入れたいないんだぞ?レヴィのスキル無しで他人のスキルを手に入れるのか?』

『ごく稀だけど、その実歴はある』

『ほ、本当か!?それじゃ、私のスキルは無駄じゃないか?』

『心配することは無いぞ、レヴィ。言ったろう?〝ごく稀に〟って。レイの場合はたまたまそれがあっただけ。そもそも、もし仮にレヴィのスキルが使う必要が無くなったとしても、レイは決してレヴィを見捨てないよ』

『そうですよ。レイさんはそんな事をしないと保証できます』

『やめてぇ!恥ずかしいよ~!』

『何よ?褒められているのに恥ずかしいのか?』

『そりゃ――』

『うふふ。ありがとう、イリアさん、イジスさん』

『……まぁ、良いか』

『ところでレイさん?ディメンション・アクセスは一体どんなスキルですか?』

『あっ……調べるのを忘れた』

『なら早く調べないか!』

『わ、分かった』


 う~ん。勢いで試すって言ったものの、一体どうやって試すの?万が一このスキルは加減の間違えた途端に、この一帯を消す能力だとしたら……えい!考えてもしょうがない!自分のスキルだ、自分で責任を持たずでどうする。集中しろ。なるべく小規模で、万が一暴発しても最小限のダメージで食い止める様、小さく……


『行くぞ、万が一の為はイジスの結界で皆を守れ』

『分かりました』

『んじゃ、≪ディメンション・アクセス≫発動!』


…………

……


『何だこれ?』


 格好良くスキルの発動宣言をして、何も起きなかった。と思いきや、目の前の空間に一つ小さな丸い穴が現れた。ん?ちょっと待て、これはどこかで……


『……レイ、ちょっとその小箱の中から小さい何かを持ってくれる?』

『ん?え~っと、この釘ならどう?』

『ん、ちょうど良いね。では、それをその穴に入れて』

『はっ!?』

『どうせそれは使い捨ての釘だ。一つ減った事で誰も気付かない』

『分かった、分かった。やるよ』


 イリアの指示通り、釘を謎の穴に近付けたけど、何も反応しなかった。触れないとダメかな?と信じて、俺はもっと釘を穴に近付き、それを触れた。すると、手に持ってた釘の感触が消え、その姿までが無くなった。


『これはどういう……』

『次は消えた釘を想像しながら、手を穴の周辺に置いて』

『う、うん。こうか?』


 俺は手を穴の下にかざし、消えた釘を考えた。その直後、何も無い空間から先程に消えた釘が俺の掌の上に現れた。


『やはり、この穴は異空間に繋がっている』

『異空間に!?』

『そう。さっきにの釘は消えたというより、異空間に行った方が正しい』

『でもイリアさん、何でそれが分かるの?』

『レヴィには見た事ないけど……この穴は以前、次元の狭間から脱出した時の時空の歪みと似てた』

『なるほど。道理で私に見覚えがあいりました』

『なぁ、イリア。これって詰り……』

『ええ。レイの記憶の中のアイテムボックスだ』

『よっしゃ!』


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