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異世界無双ハーレム物語  作者: 時野ゼロ
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第四十九話

 永遠に続くかのような、長い廊下を走り抜けてやっと大罪ダンジョンの入り口付近まで戻った。途中から入り口前の部屋で二人の気配ありと、イリアの報告が有った。恐らくケーヌと女性調査隊員だろう。この情報を聞いた瞬間、あの二人が残った目的を色々と推測した。考えられる最も可能性が高い理由としては俺を捕まり、帝國まで連行する為だ。急に現れて、調査隊に参加した挙句、その隊員二人も気絶した。幸い、あの二人は自身を気絶した犯人は、俺だって事はまだ知らないみたいだ。念のため、俺は複数の言訳を考えた。


 さぁ、長い廊下も終わり、部屋の中に踏み入れた。どんな反応を示すか!?


「レイ君、無事だったか!?」

「うぶっ!?」

「もう!心配させくれて、新人君のくせに生意気!」


 部屋の中に踏み入れた途端に大きな声で叫んでたケーヌは勢いよく俺をタックルした。一瞬、ケーヌからの攻撃だと勘違いて、思わず右手で握ったレヴィ(剣モード)で斬りかかるところだった。女性調査員の声でギリギリ手を止めた。


「危ないだろうが、レイ君!いきなり剣を出して!」

「悪い、モンスターからの攻撃だと思った」

「酷っ!?私はモンスターに似ているって言うの!?」

「い、いや。そうは言ってない。ただ色々と出来事が重ねたせいで……」

「そう言えば新人君、今まで何処に行ったの!?」

「そうだよ!私達は凄っく心配したんだから」

「分かった、分かった。順番に説明するから一旦落ち着け」


 急接近して来る二人の肩を掴めて、興奮(?)した二人を俺から引き離せた。状況を説明すると言っても本当の事を話すつもりはない。俺が二人に話すのは事前イリア達と相談した、偽りの話。


 それを簡単に言うと……二人は謎の魔力を感じたと同時に倒れた。その魔法を仕掛けた犯人を捜す為、俺は単独で追撃した。扉の奥へ進むと、一匹のオークマジシャンに出くわした。彼との戦いは相当な時間が過ぎて、方向感覚も失いったせいで迷った。だからここに戻るまでの時間が長かった。


 しかし、この話も完全なる嘘でもない。実際に、俺はモンスターハウスでオークマジシャンと戦った。そして、その話の中の犯人は俺自身だけどね。何故俺はその魔法に効果は無いと言う点は説明し辛いから敢えて「知らない」っと答えた。


「なるほど。でもね、レイ君。こんな時は敵を追うよりも、味方の安全を確報した方が適切だ。どんな敵が待ち構えるか分からない場合は尚更だ」

「すみませんでした」

「まぁ、まぁ。新人君もちゃんと反省しているみたいだし、これぐらいで良いだろう?」

「アマンダさんがそう言うのなら……」

「へぇ~アマンダって言うんだ?」

「うん?あっ、そっか。僕、まだ自行紹介していないか……そうよ、僕はアマンダ、アマンダ・ライソン。気軽にアマンダって呼んで良いよ」

「えっと……よろしく、アマンダ…さん」

「いいよ、さん付けなんてしなくとも。ところで新人君、君が背負っている物はオークマジシャンの戦利品かい?」

「まぁ、そんなところ。ほら、早く地上に戻ろう。きっと調査隊の皆も心配だし」

「そうだった!僕達、新人君を待つことで頭いっぱいになって、まだ他の連中と連絡するの忘れた!なぁ、ケーヌ君。僕達は何日気を失った?」

「……実は私も知らないんだ。レイ君は?」

「俺の方は戦闘に夢中で、帰る時も迷ったから……ごめん」

「なにぃ!?」

「兎に角、早く戻ろう!」

「了解」「はい!」


 ケーヌの命令でアマンダは血相を変えて、外に繋がる階段を駆け上がった。アマンダが大急ぎで駆け上がったせいで、俺とケーヌは彼女の後ろに付く羽目になった。それにしても、この二人の以外のミスで何とかレヴィの事を誤魔化せた。でも、この二人が示した驚きは果たして本物なのか?それとも演技だろうか?


『イリア、この先に待ち構えている敵はあるか?』

『一人のいない』

『……つまり、本当に連絡とるの忘れたか?』

『そうとしか考えられません』

『兎に角、くれぐれも油断しないで』

『勿論だ』


 イリアとイジスとの念話を終えた頃、俺達は地上に辿り着いた。大罪ダンジョンに入る時と真逆に、今の空は黒く染まり、無数に点滅する星々にかざされた夜空だった。


「すっかり夜に成ったな~」

「皆は!?」

「取りあえず馬車に戻ろう!」

「そうしよう」


 出て時は夜深くの時間帯である事に気付いた二人は焦りを増した。ケーヌ指示で一先ず合流地点たる馬車に戻っと。場所的にもそう遠くないからあまり時間を掛けずに馬車まで着くことが出来た。そこに、薄く見える一つの人影が馬車の中から降りた。


「あれ、ケーヌ隊長じゃないですか?随分と早かったね」

「留守番役の者か。他の皆は?」

「え?まだ帰ってないよ」

「ねぇ、貴方。僕達が調査を始めてから、どれぐらいの時間が経った?」

「う~ん……半日ぐらい?」

『半日……だと!?』

「そうか。ならよかった」

「そうですね。半日なら特に連絡を取らなくても不思議ではない」

「どうかしました?」


 留守番役がくれた答えを聞いて、イリアは酷く驚いた。そりゃ無理もない。あれ程の時間が流れたと感じて、他人からはたった一日未満の時間が過ぎてたと聞いたらね。でも、これは大罪ダンジョン内の時間の流れは外のと違うのか……ダメだ。疲れで脳があんまり働かない。


 イリアと異なり、留守番役がくれた答えを聞いて、ほっとした表情をしめすアマンダとケーヌ。その二人の反応に違和感を感じた彼は不思議そうな表情で俺達を問いかけた。


「いや、ちょっと意識を失って……」

「意識を!?君たち、大丈夫ですか!?」

「あはは……」

「まぁ、一応は大丈夫だ」

「それは良かった。三人とも中に入って休むと良い。私が見張るから」

「ありがとう、助かる。ほら、アマンダさんもレイ君も中に入って休めな」

「俺は大丈夫――」

「これは隊長命令だ。特にレイ君、君は敵と戦って、疲労とダメージが溜まっている筈だ。今晩ぐらいはゆっくり休ませろ」

「分かった。では言葉に甘えて……」


 こうして、俺達は疲れと眠気に負けて、馬車の中で爆睡した。勿論、レヴィ(剣モード)を握ったままで。


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