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異世界無双ハーレム物語  作者: 時野ゼロ
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第四十八話

 ディメンション・ウォーカーとの接戦の部屋から出て、かれこれ十二時間以上ある生き続けた。不思議にも、魔力枯渇の疲労感以外の疲労や疲れを感じなかった。レベルが上がった効果か、それとも大罪悪魔(レヴィ)と契約を交わした恩恵か?それ以外の空腹感も水分の補給も思ったよりも必要なかった。今の俺に一番感じる事といえば、無数の罠を躱した途端に溜まって行くストレスだけだ。


『またモンスターハウスで発散しようか?』

「モンスターハウスって、前の時のアレか?いや、それはまだまだ遠いぞ?」

『それはそうでもないけど……』

「ん?それはどういうって、えっ!?」

『どうやらレヴィ様と契約したレイさんの身体能力が格段に上がったから、降りる時よりもスピードが上がったです』

「そんなに差が有るか?前はモンスターハウスからディメンション・ウォーカーへの落とし穴まで一日以上掛かっただぞ?」

『間違ってないわ、ここは私達がこの大罪ダンジョンに初めて入ったモンスターハウス。私がコボルトの革で袋を作った場所だ』


 マジか……二倍以上の速度で戻ったと言うのに、全く気付いていないなんて。確かに来る時と同じルートを辿るだから、どんな罠が待ち構えるぐらいは覚えたせいで慎重に動く必要は無いとはいえ……どんだけ凄いんだ、大罪悪魔との契約の恩恵は?


「ふふふっ!私達大罪悪魔と契約した者の基層能力を底上げするから、それをレベルの高さやスキルの補助で更に強くさせる。因みに現在、マスターは元々の基層能力の六倍ぐらい上がったかな?普通の人間なら三倍から四倍まで上げたら、その体が耐え切れず壊れるからね。マスター場合は多分そのネクトフィリスさんのお陰で六倍まで耐えた」

「なるほどね~それなら早くなる訳だ」

『ほら、ボーっとしないで下さい。モンスターハウスのモンスターが次々に湧いて来ますよ』

「分かっているよ。ディメンション・ウォーカーと戦ったから、こいつらに脅威を感じないな」

『それでも油断は禁物わよ』

「勿論だ。さぁって、折角だからレヴィを試しに使ってみるか?」

「はい、マスター!思い存分使ってください!」


 レヴィの掛け声で背負っている革袋を床に置き、逆手で握っていたレヴィ(剣の状態)を構えた。剣術のスキルを持たず、剣に関する訓練も受けた事も無いド素人が魔法を使わず、剣だけで戦うなら何処まで行けるか試すか!


…………

……


――結果だけを言うか……俺の圧勝だった。例え特殊な訓練を受けず、暗闇で目が良く見えないとしても、レベル上げの効果は圧倒的だった。僅かに見えるシルエットが止まっているように見えた。気配感知もいつもより数段鋭くなって、この程度の敵ならどれだけ小さい動きでも捉えることが出来た。


「どうですか、私を使った感じは?」

「うん!違和感一つも無かった。切れ味も最高だ」

「例え長く封印されたとしても、だけに大罪悪魔の名を貰っていないからね~それにしても、随分と結構な数のスキルを貰ったね」

「そうか?特に変わった感じはないけど」

「私の嫉妬の大罪(インヴィディア)は既に所有するスキルや魔法を再度習得できないから。このスキル新たに取得した物なら私が分かるよ」

「へぇ~因みにどれだけ得た?」

「ん~とね、十三個かな?」

「十三っ!?こいつら、どんだけ強いんだよ!?」

「まま、あとでマスター自身が確認すれば良いじゃない?今は一先ず戻ろう?」

「わ、分かったよ」





『レイ、お疲れ様。もうすぐで入り口に着くわよ』

「やっとか。長かったな~」


 モンスターハウスを速やかに攻略した俺達(実際に走っているのは俺だけだけど)は来た道を辿った。走り続けて約二、三時間が経過し、イリアがそんな報告をして来た。うん~まだこのスピードに慣れないな。降りる時はあんなに時間を使ったと言うのに……でもまっ、このダンジョンにもう用無しだし、良いっか。


「おめでとう、マスター!」

「ありがとう。あ~そうだ。地上に戻ったら他の人がいる場合は出来るだけ喋らないでくれる?もし喋る剣を持っている噂が出回ったら色々面倒な事に成るから」

「勿論分かったいます」

「ごめんね」

「良いって。私はマスターの傍に居られるならそれでいい」


 レヴィには悪いけど、彼女は人前に剣の状態で喋らせるのは避けたい。今後の行き先によって、彼女を人の姿で行動したい。もっと彼女やイリア、イジスと共に世界を楽しめたい。レヴィもそれが分かってくれて助かった。…………何だ?急に違和感が――


「なあ、もしかして俺、何か忘れてない?」

「マスターが?知らないですね」

『あっ!調査隊の二人を気絶した』

「……調査隊?ああっ!ケーヌ達か!?」


――そうだった!ケーヌ達の調査隊の事を完全に忘れた!やばいな、あれから何の日が経った!?


『二日から三日ぐらい』


 ここでイリアから驚くべき数字を出した!あの時は確かちゃんと酸素タンクを解除したよね!?まだ気絶したなら良いんだけど……もし他の隊員に報告、または発見されたら……


「ああ、もう!スピードを上げるぞ!」

『心配しないで。最悪私がその二人の記憶を操作する』

『怖い事を言わないで下さい、イリアさん!』

「ごめん、マスター。これは私にどうしようもない」

「気にすんな、これは俺のミスだ。この際は思考加速と並列思考をフル活用で言い訳を考えないと!」


 緊張と焦りを抱えて、俺は二つのスキルをフル活用し、この一連の事件に相応しい言い訳を考えながら、ダンジョンの入り口まで急いだ。


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