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異世界無双ハーレム物語  作者: 時野ゼロ
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第四十話

更新が遅くなってすみません……(´;ω;`)

 モンスターハウスの攻略が終えて、俺は即席に作った非常食一杯の革袋を背負いながら、ダンジョンの最深部まで進めた。レベルが上がったせいか、二日分の非常食(モンスターの肉)を背負っても疲れない。そして約五時間を経て、順調にダンジョンを攻略する俺達が初めて壁に当たった。


「本当にここであってる?」

「その筈なんだけど……」

「でもここはどう見ても行き止まり、ですよね?」


 そう。それは文字通りにして、物理的に、壁に当たった。イリアの情報だと……この先はある広い空間が有って、そこがこの大罪ダンジョンの最奥。つまり俺達にとってのゴールでもある。しかしそこはこのダンジョンに入った以来、初めてイリアの情報が現実と誤差が生まれた。


「確かにおかしいですね。私が知った限り、イリアさんのスキルが妨害されることが稀にあるとしても……これ程の誤差が出る筈が有りません!」

「そうさ。イリアはもっと自分を信じるべきじゃないか?お前は今まで間違った情報を伝えた事が有るのか?」

「それは、無いんだけど。でもっ……さっきまでの道で何かしらの毒を受けた可能性もっ!」


 確かに、ここまでテンパるイリアは初めて見た。自分のスキルに絶対的な信頼を持ち、ダンジョン攻略の〝目〟として務めたイリアにとって、スキルが誤差を生まれた事のショックよりも好意を感じた仲間に任された仕事を完璧にこなせなかった事に対して責任感を感じるのだろう。


 ……いきなりこの状況に飛ばしたら訳が分からない。したがって、モンスターハウスから出た後の出来事を要約に説明する。



 要約で説明すると言っても、そこまでに語られる事はあんまり無い、かな?ようは、モンスターハウスから出た俺達一行は予めイリアのスキルで探知できない領域に入った。ここの魔力の濃度は外部(・・)からの探知スキルや魔法を妨害する機能を持ってる。普通のスキルならここを発見することすらできない。


 魔力濃度の妨害機能は外部からのスキルに対して、そのアドバンテージを発揮する。つまりその中に入ったイリアのスキルは完璧では無かったけど、ある程度までは使える。そしてこの領域内に設置された罠の数はこの外の何十倍も多かった。しかもそれら一つ一つは五、六人のチームを余裕で全滅できる凶悪な罠ばかり。


 数々の罠の中から幾つかを例えるのなら…石のタイルを踏み間違えると無数の毒矢がほぼ全方位の壁の割れ目から射出、部屋に入った途端に尖った石柱付の天井が落ちたり、前兆も無く壁または天井付近から強酸が凄い勢いで溢れ出す、溶岩や見た目は完全触れたら即死の毒が溜まっていた落とし穴、広い部屋に数種類の毒ガスがその中を凄いスピードで蔓延する、等々……ここの壁や床は破壊不能か!?とツッコミたい自分を極力押せた。





 それらを回避、または乗り越えて、今に至ったって訳。


「いや、それは心配ないと思う。看破の魔眼から何の異常も見え無かった」

「……本当?」

「ああ。状態異常は何も見当たらない」

「でしたらこの壁は偽物ですか?」

「そうなるな。一度、壊してみようか」


 今までの罠で壊された壁や床は無かった。ならダンジョンの壁や床は壊されない仕組みになっていると判断した方がよさそう。ならその仮説を利用して、この壁が壊れるのならイリアの情報が正しい。出来なかったら、ただ単に魔力の無駄使いに成る。ここは魔力の出し惜しみ以前に、イリアの情報の正しいを証明し、彼女の自信を取り戻すのが先決だ。


 そうと決まっれば、俺は≪冥獄鬼の鎧骨ネクロス・ガーディアン≫のスキルで右腕全体を包む様な骨のガントレットを生成した。その上に≪圧縮強化≫でガントレットと腕自体を強化した。そして弓を引くかの如く、骨のガントレットを纏った右腕を後ろ側に引いた。


冥獄轟拳ネクロス・ゼルブレヘン


 静かに技の名前を呟いたと同時に、構えだ右腕の攻撃を放った。派手な動きは無い、ただの正拳突き。だけどその拳に秘められた力はレベル上げのせいで上昇した身体能力を≪圧縮強化≫で底上げした。たったその一撃。目の前に塞がる壁は次第に亀裂が生まれた。数え切れないほどの亀裂はやがて壁の各隅まで走った。次の瞬間、その壁は砕け散った。


「偽りの、壁?」

「多分そうだろう。じゃないと壊せないから」

「ほら、私の言った通りでしょう?イリアの情報は間違がったいません」

「……ありがとうイジス、レイ」


 目尻に浮かぶ涙を拭き、上目使いで感謝の言葉を述べたイリアの顔を見て、少しドキッた事は内緒だ。


 イリアの自身も取り戻したことだし、気を改めて、砕けた壁の向こうの空間を見詰めた。イリアのマップからするに、そこはここ以外に繋がる道が無い空間。その中はモンスターハウスと同様、漆黒に包まれている。しかしこの空間は一つだけ、モンスターハウスと違ったところが有る。それは、一つ薄く光る長細い何かが宙吊り状態にいる。それは余りにも神々しくて、つい畏敬を感じた。


「ここが、大罪ダンジョンの最奥」

「入ってみますか?」

「そうだね。ほら、行くよ」


 俺がその何かを見ている最中にイジスが声を掛けた。そして彼女の横に並ぶのはさっきまで落ち込んだ顔が一切見当たらないイリアであった。二人とも期待が溢れた表情で砕けた壁際で俺を待っている。


 そうさ。俺には頼りがいのある仲間がいるじゃないか。何を恐れる必要がある?未知に対しての不安で危うく引き返そうと思った自分が愚かに感じるよ。そんな自分に対して笑みを零し、二人の元に行き、三人で暗闇の中に踏み込んだ。


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