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異世界無双ハーレム物語  作者: 時野ゼロ
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第三十九話

「着いたよ。ここがそのモンスターハウスだ」


 岐路で左の道を進んでから五分近く、俺達が歩いた廊下は段々広くに成り、何時の間にか洞窟とも呼べる空間に成った。空間内で照明となれる青白い松明は無く、漆黒の洞窟。洞窟の両端から薄く見えてるちらつく光。恐らくそれが出口だ。奈落のどん底から湧き出した、墨より濃い暗闇の中で俺とイジスはそれぞれイリアの手を掴んだままに進んだ。


 たとえ視力が奪われようとも、≪全方位探索≫を発動したイリアは普通の視界が見える物より遥かに多かった。そんなイリアに引っ張れて進む俺達は時折、地面に転がる不規則な石のせいで何度も転びかけた……


「ふふふ。何だか私達、デートしているみたいですね」

「なっ!?何を言っているんですか、イジス!?っていうか、何でレイも黙っているんだ!?」


 暗闇の中での突然に爆弾落としたイジス。彼女の発言に対して、最初に反応したのはイリアだった。正直俺も驚いて、声を出せなかった。しかし今の状況じゃ顔の表情も確認できない。


「いや、俺だって驚いたさ。でもよくよく考えてみれば…悪くないかも」

「そうですね!」

「もう!レイまでそんな事を言うのか!?」

「三人で一緒にデートするのも悪くないけど、たまにはイリアとイジス、と二人きりでデートに行きたいなぁ~」

「あら?イリアさんだけでは止まらず、私も狙うのですか?」

「それはほら…二人とも可愛いし、仲良くなりたいし。そして、その……好きだし」

「ななななな、何を言ってるんだ!?」

「痛い痛い痛い!ちょっとイリア、ギブ!」

「痛いですよ、イリアさん!」


 俺達の手を握ったままでテンパったイリアはつい手に力を入れた。元々はイリアをからかう為で爆弾を落とせたであろうイジスとその発言に乗った俺、二人の手はイリアの謎な握力で潰れそうになった。まさに自業自得と言うべきか。


――ギァァアアアアア!


「ッ!?」

「な、何!?」


 突如に鳴り響く叫び声は今までのほのぼのとした雰囲気を壊した。イリアは咄嗟に俺達の手を放して、三人とも臨戦態勢に入った。周囲に警戒しつつ、俺はイリアの脳内マップを確認した。軽く覗いた程度のつもりだったが、そこに表示されたモノを見てつい体中に戦慄が走った。


 何故ならそのマップに表示された、今まで何も無かった筈の洞窟から敵性生物を示す赤い点が凄まじい勢いで増えてった。その数は叫び声が鳴ったすぐ、約5秒間で百を超えた。そしていまもまだ増え続けている。


「何だよこの数は!?」

「……これが大罪ダンジョンですか」

「二人とも気を付けて。ここのモンスターは上位種族の者も混じっている上、数も多い。油断したらたとえ下級種族のモンスターに殺される可能性は十分にある」

「分かりました」

「それと、レイ。今回は敵の数が多い為、私達は実体化して戦う。お前のサポートすることが出来ないから注意して」

「了解」

「敵の情報は念話で伝える。ここのモンスターは封印された大罪悪魔から漏れた魔力が溜まって、その魔力から生み出された」

「つまりその溜まった魔力が尽きない限り、ここはモンスターを無限に生み出す訳か」

「そうだ。そしてこの数のモンスターを抜け、出口まで辿り着くのは不可能」

「でしたら、ここのモンスターを殲滅すれば良いですよ。新しく生み出されたのもね♪」

「…さらっと怖い事を言うね、イジス」

「話が簡単で良いんじゃないか?さぁ、存分に暴れて貰うか!?」





 あれから一時間弱が経て、俺達三人は休めずにモンスターを殺し続けた。下級モンスターのゴブリンやスライム、スケルトンとゾンビ。上級モンスターのオークとジェネラルゴブリン、死霊操鬼(ネクロマンシー)等レアなモンスターも無尽蔵に襲って来る。普段なら各モンスターの種族が異なるせいで対処は不可能に近いが、こっちには全てのモンスターの情報を完全に把握したイリア、そして全ての攻撃を弾ける最強の守備スキルを持ったイジスが居る。一見絶体絶命の状況下でも案外楽に対処した。


 そして彼女二人もサポートするだけじゃなく、時折攻撃に転じることもあった。例えばイリアは魔力干渉で魔法をしようとするモンスターの魔力を暴走し、件のモンスターを自滅する。一方のイジスは生成した盾をモンスターにぶつかるっと言う簡単な作業をするだけで攻撃に成る。何故なら、攻撃を弾けることが出来る盾は敵の体に触れることでその部分を弾けて、吹き飛ばすことも出来る。言わば、最強の防御は最強の攻撃にもなる。


冥獄烈刃ネクロス・スラッシャー!」


――グァァァァアアア!


「そいつが最後だ。レイ、お疲れ」


 残り一体のオークジェネラルを冥獄鬼の鎧骨ネクロス・ガーディアンのスキルで手首から骨の鎌を生成して、≪縮地≫と組み合わせた高速の斬撃。その威力はオークジェネラルの上半身を肩から腰まで綺麗に切り裂いた。


「どうですか、レイさん?ストレスを発散しましたか?」

「ああ、大分楽になった。冥獄鬼の鎧骨ネクロス・ガーディアンも使い慣れて来た」

「ならよかったです」

「そろそろ行くぞ。二日分の非常食ぐらいは確保した」

「ああ。ありがとう」

「イリアさん、このダンジョンはまた二日も掛かるのですか?」

「いや、私が探知できない範囲まだはそう遠くない。恐らくあと二時間ぐらいで辿り着くよ。問題はその先だけど……まぁ流石にそこまで広くないと思いますけど、念の為にね?」

「なるほど~」

「レイ、そこのコボルトを解体して」

「え~それはまた何の為?」

「だってモンスターの肉を運ぶための袋が無いから、それで作るの」

「いや、そもそも俺は動物を解体した経験が無いぞ。方法も知らないし」

「…仕方ない。私が一から教えるから、こっちに来て」

「は~い」

「あっ、私も見たいです!」


 こうやって、モンスターハウスの攻略が一段落した俺達は非常食はこび用の袋を作る為、もとい俺がモンスターを解体する作法を学ぶ為にとあるコボルトの死体に集まった。


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