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異世界無双ハーレム物語  作者: 時野ゼロ
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第三十七話

 青白い火で照らされた石の階段を下り、俺達三人はある部屋に入った。そこは全て石で出来ていた四角い部屋。四角の壁際にはそれぞれ青白い火を灯した松明。そして俺達の真っ正面には何か鉄っぽい扉が有る。謎の部屋に入って来て、最初に声を出したのは調査隊の女の子だった。


「この部屋は一体……」

「分からない。レイ君、周りにモンスターの気配は?」


 ん?ちょっと待てよ。ケーヌがさりげなく聞き覚えの無い単語を発した。モンスター?ファンタシー小説やゲームに出てくる、ゴブリンやスライム、スケルトンみたいな?


『はい、その認識は正しい。レイの例えのゴブリンとスライムは魔族、スケルトンやゾンビみたいに、死した屍が活動する種族は総合的に死霊族と呼ばれている。その他に、ドラゴンは竜族と呼ばれているが、モンスターとして扱っていない。この法則に従い、悪魔族から妖精族、亜人種等高い知能と独自の意識で行動できる種族、または固体はモンスターとして認識されてない』


 へえ~そうなんだ……ところでイリア――


『付近にモンスターの気配は無いよ』


――ああ、そうですか。相変わらず仕事が早いな。


「そうですね、今は無いな」

「そうか。ケーヌ君、如何する?僕的にはこの部屋を調査したい!特にその扉を!良いよねっ?」

「ん~どうせい(それ)を調べないと先に進めないし、良いんじゃない」

「ありがとう、ケーヌ君!」


 元気いっぱいで扉の方へ駆けつけた女性に対して、ケーヌは苦笑しながら彼女を見送った。直後、ケーヌは再び俺に話し掛けた。


「と言う訳で、レイ君には申し訳ないだけど俺達が扉の魔法陣を調べる最中、周りの警戒を頼んでいい?」

「ああ。元々その為に来ただから」

「そっか」


 それだけを言い残して、彼は扉の方へ歩いた。ふむ、俺はここであの二人の解析を待つのも良いんだけど、あの二人の会話に聞き耳を立てて、魔法陣の解析の進捗を把握しようとした。『なにこれ?見た事のない文字が書かれている』『古代文明の文字でしょうか?何せよ、俺には分からない』等々の会話がちょくちょく聞こえる。どうやら、まだまだ時間が掛かりそうだ。


『イリアさん大丈夫?具合でも悪いの?』


 っと、他愛も無い事を考える途中にイジスの声が聞こえた。それは、少し不安を感じられる口調であった。その言葉から察すると、どうやらイリアの調子は少し悪いみたい。


『……レイ、あの二人を止めて』

『へ?どうして?』

『あの魔法陣…間違いない。聖教の最高位の封印術式だ』

『聖教のッ!?それじゃ――』

『ええ、この先にある物は……十中八九、大罪悪魔の一人』

『でもあいつら、「この先は危険です、諦めましょう」って言われて、大人しく諦めると思う?』

『そうですね。では、イリアさんのスキルで――』

『出来ないよ。それを維持する為に、他のスキルを発動する際にタイムラグが発生する。ここは大罪悪魔を封印する為の大罪ダンジョン。ほんの一瞬のタイムラグは致命傷に成りかねない』

『そんな。それではその人達はどうすれば良いの?』

『……少し強引だが、方法はある』


 イリアとイジスに作戦を伝え、二人の了承を得た俺は即座にその作戦を実行した。先ずは慣例の、イリアのスキルで調査隊の二人を魔法陣に夢中にし、俺の気配を消す。その後、気配を消された俺は≪圧縮強化≫と≪魔力操作≫で周りの酸素を二人の頭ら辺で集め、そこの空気を固めた。まぁ、簡単に言えば空気という名の容器に閉じ込められた酸素タンク。その状態の二人を暫く放置する。


『本当にこれであの二人を気絶できるのか?』

『ああ、あの二人の頭を囲むのは純度が100%に近い酸素。そんな高純度の酸素を吸い続けば〝酸素中毒〟っという状態に落ちる』

『あの…レイさん?そもそも酸素は何ですか?』


 ん?イジスは酸素を知らないのか?一応元天使のイジスなら知っていると思ったが。これは彼女がこの部類の知識が足りないのか、それともこの世界は科学の発展が少ないのか?何にせよ、イジスにどうやって説明するか……


『イジス、この世界の空気は様々な成分で構成させている』

『本当ですか!?』

『はい。その中の酸素と呼ばれた成分は生き物、つまり人間や動物等が生きる為に不可欠の一つ』

『それでしたら、何で中毒になるの?』

『何事も多くなり過ぎたら悪影響が出るだろう?例えば、普通は少量で効く薬が一気に大量を食べたらどうなる?』

『それは勿論体が壊します!』

『それと同じ原理さ』


――ドサ!

 おっと、イジスに酸素を説明する最中に後ろ側から何かが落ちた音をした。音が鳴った方へ振り向くと、案の定床に倒れたのは調査隊の二人だった。二人は本当に気絶されたかを調べる為、イリアは≪看破の魔眼≫を発動した。


『両名、気絶した』

『レイさん、凄い…』


 二人が気絶すした事を確認したイリアの言葉を聞いて、イジスは小声で称賛の言葉を発した。あまりの出来事を目撃したイジスの語彙力はやや低い。


 そんなイジスに酸素の特徴を説明しながら、俺は調査隊の二人が熱心に調べてた扉に歩いた。扉の前に着き、俺は底に刻められた魔方陣を指で優しく触った。確かに、何かの文字が魔法陣の周りを囲むように刻まれた。


「ここは私に任せて」

「うお!?イリアお前、何時実体化した?」

「ついさっきだ。それより、下がった方が良いぞ」

「ああ、分った」


 俺が気絶した二人を扉から離れた入り口付近まで運んだことを確認したイリアは右手をかざした。間もなく、扉の魔法陣は薄く光り出した。それと伴う様に、この部屋全体が振動し始めた。すると――


ゴゴゴ…

――件の扉はまるで蜃気楼のように、跡形も無く消えてった。無事、扉を開いたイリアは満足げに、俺の方へ振り向いた。


「さ、進めましょう」


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