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異世界無双ハーレム物語  作者: 時野ゼロ
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第三十五話

 翌朝、俺はウィルさんとの約束通り、再びリルハート軍の野営地までに足を運んだ。

 

 その野営地の入り口っぽい所には二台の馬車が準備されていた。どうやら、荷物を馬車の中に積む作業の最中らしい。馬車を見たのは何せ初めてなので、興味を惹かれていないのは嘘になる。しかし、今はウィルさんが待っているテントの中に入るのは最優先。なので、俺は自身の好奇心を抑えつつ、目標のテントに目指した。


「随分と早いな、貴殿は」

「おはようございます、ウィルさん。それにジェラールも」

「おう」「貴殿も」

「それにしても、外の馬車に何を?」

「必要品だよ。お前が問題の遺跡に行くための」

「二台も?」

「貴殿はここから遺跡まで、どのぐらいの時間が掛かるのか分かる?」

「……八時間ぐらい?」

「一日だ」

「は!?」


 一日だと!?そんなに遠かったの?確か、イリアのマップから見ると、俺が次元の狭間から出た所とメルシャーまでの距離の二、三倍だけ……ああ、そっか。荷物が積んだ馬車の移動速度はそう早くないか。俺みたいに、ほぼ全力疾走する程、急いでいる訳でもないし。


「そう言う事だ。そして、もう一台の方は殆ど遺跡調査の機材が積んでいる」

「ちょ、待った。俺にはそんな機材の操作は一切分かんねェよ!」

「誰もお前に操作を任せるっと言ってない。無論、我々のチームの中には遺跡調査を専門とする小隊がいる。元々は実在しないから、急いで集まった小隊だ。少人数であるが、考古学及び魔導研究に長けた者の集まり、彼らの実力派は保証する」

「へぇ~んじゃ、戦闘の方は?まさかお前は遺跡までの道のりに危険が無いと言い切れるのか?俺一人じゃ大人数を守り切れる自信は無いぞ」

「それなら心配無用だ。私達は立場上、貴殿と同行することが出来ない。けれど、私達が信用する部下の兵士数名を遺跡調査に同行する。一応貴殿も護衛と言う名目で調査に同行する様に話を付けた」

「そりゃどうも。それにしても、信用する兵士、ね?そいつらはジェラールと同じ、強いの?」

「まさか。でも心配するな、ここら辺じゃそれ程の強敵は出ない。それはそうと、何故お前は俺の事を呼び捨で呼んだのにい、ウィルのとこが〝さん〟付けなんだ?」

「ん~何となく?」

「……」

「失礼します!」


 ざっと遺跡調査の概要を説明終えた頃、テントの外から一人の叫び声が聞こえた。その者はウィルさんの許可を得て、テントの中に入って来た。こいつは兵士……じゃないな。鎧も着ず、腰回りに幾つかの茶色いポーチが結んでいる。服装はネービーのTシャツに濃い緑色のベスト、そしてそうな長ズボン。≪看破の魔眼≫で覗いても、ステータスや装備品はあんまり戦闘系の物とは無縁すぎる。調査隊の一人か?


「馬車の準備が整えました、ウィル様」

「うむ、ご苦労」


 その者に短く答えたウィルさんは再び俺に話し掛けた。


「そうだ、貴殿にも紹介しよう。この者は貴殿と同行する調査隊のまとめ役のケーヌだ。そしてケーヌよ、こいつは遺跡調査に同行する……」

「レイだ。よろしく」

「こちらこそよろしくね。君が護衛の一人として遺跡調査に参加するって言う若者かい?若者と聞いてたが、随分と若いな。年幾つ?」

「十七だけど?」

「本当に若いな。エルフみたいに、寿命が長い種族だと思ったが……まっ、俺的には実力が有れば、年なんて関係ない」

「…ありがとう、と言うべきか?」

「はは。こっちはもう終わったけど、君の準備は?」

「ああ、俺も良いよ」

「それじゃ、出発しようか?」


 それから、俺はケーヌから始めた六人の調査員と五人の護衛が馬車の中に入った。必要品bの馬車には護衛四人、残りは遺跡調査用の機材が積んでいる馬車の中だ。機材と言っても、数はそんなに多くないから、八人が入っても全然窮屈を感じなかった。何故もう一つの馬車にはたった護衛四人だけと言うと、必要品の大部分は食料だから、経験ある護衛に野獣から守るように配置した。ちなみに、俺は機材が有る方の馬車に乗っている。


 メンバー各自の別れの挨拶が済ませた後、ようやく遺跡への旅が始まった。一応俺はローランさんの部屋の前に〝行ってきます〟的な感じの手紙を置いたから、急に消えた事に関しては心配しないだろう。もしこの遺跡はイリアの言う通り、大罪ダンジョンだったら結構苦戦になる……最悪の場合は命を落とすかも知れない。もう多分ローランさんに会えないから、最後に会えなかったのは寂しいだけど、今は遺跡調査の件に専念したい。





 時は夕方、俺達調査隊がメルシャーから旅立った日の翌日、ついに俺達は遺跡を目視出来る所まで着いた。これは…遺跡と言うよりは廃墟に近い。見た目は完全に、RPGのゲームに出てくる教会とそっくり。でもこれは相当な年月を経で廃墟化されて、ボロボロな状態になった今はゲームの中の神々しさを感じない。寧ろ不気味だ。


 ここまで来た道は平穏、とは言えないだけど、出発から数時間に狼の群れに襲われた事件を除いたら、まぁ平穏かな?怪我人は二、三人いたけど、掠り傷程度だけなので、旅を続行した。それから色々と前の世界じゃ体験できなかった、テントを組み立てる作業を体験できた事は嬉しい。最初はやや苦戦になったけど、イリアの指示で何とか完成した。


 まぁ、こんな雑談は置いといて、俺達は一先ずまとめ役のケーヌの指示を聞くために馬車から降りた。


「皆、目的の遺跡に着いたけど、時間はもう遅いから調査の方は明日からにしたい。異存はないか?」


 ケーヌの質問を答えるべく、ある者は機嫌よく賛成し、ある者は無言で頷く。どうやらケーヌの提案に反対する者はいなかった。確かに、照明が悪い所で調査を進むのは得策ではない。緊急時に視界が悪いから対応出来なかったという事態を防げるなら防げたい。故に、俺達は遺跡の前でテントを張って、明日の為、大人しく眠りに着いた。


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