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異世界無双ハーレム物語  作者: 時野ゼロ
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第二百八十九話

「は~い!お待た――」

「≪雷の激鎚(マルテイロ・フルミネ)≫!」


 先手必勝!突如何もない空間から出現した人型の顔面を問答無用に轟雷を纏った拳で殴った。その顔を見る必要もない。あんな奇妙な喋り方と登場の仕方、どう考えても帝側の人間じゃない!……確信はないけど。


『案ずるな、人型の生物ゴーレムだ』

『クレナイさんが言った顔と一致するよ、マスター!』

「てめぇ……!いきなり顔面を殴ってくるな!ナンパできなくなったらどうすんだ!?」

「な、ナンパ?」


 殴られて最初に心配したのがソレ!?……しかも殴られた箇所には少ししか凹んでいない。殴った感じだと、衝撃を吸収する素材の感じがしなかったから、今までの生物ゴーレムとは別格の硬さの素材でできているのか。こんな奴をよく楽々に斬れたもんだな、クレナイは。


「まぁ、それなら心配する必要はないじゃないか?元々ブサイクだし……」

「ああん!?この俺の顔がブサイクだと!?」

「違うのか?」

「……いや、合ってる」


 合っているのかい!?じゃあなんでキレたんだ!?はぁ、ダメだ。奴のペースに流されていく……


「なぁなぁ、せめてさっきの別嬪さんと共闘してくんない?そうしたら俺のやる気も上がるんだ」

「……なんで俺がわざわざ敵のやる気を上げなきゃいけないんだ?」

「えっ?……その方が楽しいから?」

「お前にとってはな。それに、俺が呼ぼうにも誰なのかが分からん」

「えええ?嘘だろ。ほらでっかい刀を持った、額から日本の角が生えた特徴的な女性だよ!」


 こいつ……やはりクレナイと戦った個体と記憶を共有している。


「う~ん。ごめん、やっぱり知らないや」

「そっか……」


 ガチで凹んだんだけど、こいつ。まぁ良い。……隙あり!


「≪昇炎の爆鎚クリセンテ・フィアンマタ≫!」

「っ!?」


 チッ!炎への耐性もあるのか。これでもそれなりに力を込めた攻撃なんだけどな……


『イリア、奴の魔力を辿れるか?』

『ん?出来なくもないけど……他の生物ゴーレムと同様に、大した効果は期待できないぞ?』

『大丈夫。俺の思った通りなら行けるはずだ』

『……分かった。やれるだけの事はやっておく。それが終わるまでの足止めをしっかりやれ。あと、殺すな』

『勿論だ』

「なに笑ってんだ、てめぇ!?」


 笑って……?あっそっか……俺はまた、無意識にこの状況をゲームの一環として捉えているのか。チッ、何時になったらこの癖が治るんだろう?前はこれのせいで危うくレヴィを――


『おい、下らないことに気を取られる場合か!』

「っ!ご、ごめん!」

「おう!分かれば良いっ!」


 あっ……俺はお前に謝った訳じゃないんだけど……まっ、わざわざそれを教える必要はないか。


「それで?おめぇの名前ぐらい教えてもいいんじゃねぇか?」

「聞いてどうする?俺を呪ってもするのか?」

「まさか。この俺がそんな芸当ができるとでも?俺はただ殺した相手の名を覚えていないだけだ」

「ふ~ん。こういう場合は聞いた本人が先に名乗るんじゃないかったっけ?」

「えっ!?そ、そうか……そうなのか……」


 なんだこいつ?ついさっきまでの態度はどこに消えた?


「それならよく聞くといい!この俺の名は――」

冥獄烈炎刃(ネクロス・ブルシアレ)!」

「ガァァァーー!」


 自慢げに語り出した生物ゴーレムの右腕を業火を纏った冥獄鬼(ネクロス・)の鎧骨(ガーディアン)の骨刃で切断した。すると人型の生物ゴーレムは悲鳴を上げながら後ずさりした。マモンの契約者と違って、ちゃんと痛覚があるようだ。


 やはり、打撃の効果はいまいちだけど、斬撃なら効果がある!斬撃といってもただ焼き切っただけなんだけど。惜しい。イリアがまだ奴の魔力を分析しているからまだ殺せない。折角の好機なのになぁ……


「てめぇ!喋っている途中に攻撃するな!」

「油断したお前が悪い」

「だとしても卑怯過ぎない!?」

「アホか!ここは戦場。あるのは生と死だけだ。卑怯な手で勝てるなら上等だ!」


 それを叫んで、再び奴の左腕を目掛けて骨刃を振り下ろす。が、奴が床を蹴って後ろに下がったことで軽々とそれを回避した。


「……なるほど。アンタはそういうタイプか」

「?」

「ふんっ!」

「っ!?」


 こいつ、いきなり速度が上がった!?クソ、攻撃速度が早い上に重い……!しかも両手両足で攻撃してくるから反撃の隙が殆ど無い!殺しは無しなんて手加減できる相手じゃないぞ。


『このままじゃ駄目だ。いったん距離を取らないと……』

『レイ、頑張って!あともうちょっと時間がかかりそうだ!』

『私が出ようか、マスター?』

『それは有り難いが、まだだ。レヴィの出番はイリアが奴の魔力を分析し終えたたら奴にとどめを刺す時だ』

『分かった――それを避けて、マスター!』


 ん?なんだ?いきなり目の前に黒い鉄の壁が……これ、奴の掌か?何のつもりだ?避けるってな――天井にあった焼けた跡ってまさか!?


「っ!?」


 慌てて頭を逸らして、間一髪で人型の生物ゴーレムの左掌から射出したレーザーらしき熱線を回避した。


「おお、よくそれを躱せたな」

「…………」

「そう睨むな。隠し札の一つや二つぐらい――ガハっ!?」

「っ!?」


 人型の生物ゴーレムの言葉の途中でセツが愛用した短剣がその心臓の部分から生えてきた。


「――死ね」


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