第二十四話
更新が遅れて、すみませんでした。
「う~ん。久しぶりに良く寝たぁ~」
昨日は問題無く、一夜を平穏に過ごせた。三人とも寝過ごさず、見張り番が来たらちゃんと起きた。折角見張り番を決めたのに、攻撃やどころか、俺達に対しての明白な殺意すらない。まぁ、無い方が良いけど…
「レイさん、おはようございます」
「おはよう」
「ああ、イリアとイジスもおはよう。イリア、今何時だ?」
「十時ぐらいですね」
「あのおっさんとの約束まで、あと二時間弱残っているな……如何する?」
「そうでえすね。私は今後の方針について相談したいです」
「賛成。折角落ち着いた場所にいるから」
「ならそうしようか」
こうして、俺達は周りに警戒しつつ、今後の方針を相談し始めた。まぁ、一時間以上相談した結果は当初のそれとあんまり変わらない。先ずはこの村から出て、ここら辺のモンスターか野生動物を狩ることでの食事調達。その後は少し長い旅に出て、出来ればここからそれなりに近い二つの国――フロッテ王国かテバス王国に行く、と言う結論に出た。
――コンコン……
ノック音と共にドアを開いたのは昨日、俺達をこの部屋まで案内した老人だった。細い体に歳月が感じる白髪と皺が有る顔。昨日は暗くてはっきり見えないけど、この老人はそれなりの筋肉が有る方だ。そして彼の左薬指はシンプルなデザインの銀指環が嵌ってる。そんな彼はおぼんを片手で持ってきた。
「昨日約束した昼飯じゃ。今のこの村はこれぐらいしか出せぬ、大目に見てくれ」
「いいえ。わざわざ準備してくれてありがとう」
『!?』
『ん?どうした?』
『この老人のステータスが見えない』
『それ本当か?』
『はい。恐らくその指環の効果だろう……まぁ、それは良いとして、そのパンに毒は入ってないよ』
『…ありがとう』
今一番聞きたい情報を聞いた俺はイリアとの念話を切って、再び老人に向けて――
「いただきます!」
食感は普通の固いパンなんだけど、ちょっとしょっぱくて、香草の香りもする。固さ以外は文句無しのパンだった。今まで食べて来たパンの中で一番美味しい。
「気に入って貰えてよかった。そう言えば、まだ自己紹介してなかったの。儂の名はローラン、よろしくな。さて、食べながら話そうかの…この村の事を」
少し遅れた自己紹介を終えた老人ことローランは語り始めた。彼の話を要約すると、この村の名はメルシャー。人間大陸の南側にあるこの村は大陸内でもそれなりの軍事力を誇る二つの国、フロッテ王国とテバス王国の国境にある。その二か国の関係は元々良くない為、時折に小さな争いが起こる。それでもこの村への被害は無いに等しい。でも十数年前に発見された遺跡の中から貴重なアーティファクトが見つかった事をきっかけに、二か国の争いがエスカレートした。その遺跡の中には数え切れないほどの罠が設置されていた。故にこの村を拠点とし、調査をするのが一番効率が良い。その為、二か国の争いは段々戦争と化し、日々激しさを増した戦が数年間この地で繰り広げた。その結果が現況のメルシャーだ。
「ごちそうさま。美味かった――」
『レイ、人間の軍隊がこの村の近くまで来てる!』
「それ本当か!?」
「どうかした?」
驚きの余り、俺はつい念話では無く、口を出して叫んでしまった。
「ローランさん、何処かの軍隊がこの村の近くまで来てる」
「なんじゃと!?」
軍隊が来たとの情報に驚いたローランさんは慌てて窓の外を覗いた。俺もローランさんに続き、村の外周を観察した。そこには複数の人間がこっちに歩いて来ている。その中には旗らしき物を持った兵士も居た。
「あれは帝國の紋章……あのバカ!」
悪態を叫んだローランさんはすぐさま部屋から飛び出した。深刻な顔をしたローランさんにほっとける訳もいかず、俺もローランさんの後ろに付いて、部屋から出た。