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異世界無双ハーレム物語  作者: 時野ゼロ
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第百八十九話

 うむ……本来こんな戦いの場で重要な敵キャラとのさりげない会話の中に何らかの重要な情報かヒントが隠されているのが定番。それを期待しながら謎の不死性を持つボーガン使いとの会話を始めたから約五分、それらしき情報どころか、件の不死性と関連した情報も一切聞き出させなかった。


 まぁ、当然と言えば当然だ。己の優位性を捨てる愚行をする程の馬鹿ではない。だとすればこの会話を続ける必要性は無いが、どうやら地下の方に向かったセツは予想以上に苦戦しているみたいで、イリアが彼女のサポートにそれなりのリソースを割いるから時間稼ぎの意味合いも込めて彼との会話を続けることになった。


「そろそろ時間稼ぎもお終いか?」

「うん?何のことだ?」

「とぼけるなよ。おめぇが何の企みもなく戦闘中に会話するバカか?」

「……馬鹿は流石に酷すぎないか?」

「大方あの狐の嬢ちゃんを待っているだろう?そんなにあの嬢ちゃんに賭ける価値はあるのか?」

「だから何のことだ?……まぁ、お前に隠しても意味は無いか。この際だ、はっきり言ってお前の不死性が面倒すぎる。だからその攻略法をお前の話の中から探っているんだ。分かったか?」

「へェー」


 全く信じていない~と言わんばかりの棒読みのリアクション。まぁ、こいつがこんな見えすいた嘘を信じる馬鹿ならこんな風に梃子摺る羽目にはならなかったな。


「そっちこそどうなんだ?俺にセツに賭ける価値の事を聞いて、お前は他人に対する信頼ってもんは無いのか?」

「信頼、ね……さぁね、そんな甘ったるい考えなんざ、とうの昔に捨てた」


 おや?ここにきて、まさかの収穫か……?


「なんだ?仲間にでも裏切られたか?」

「まっ、そんな感じだ」

「そんな奴が他人と一緒にこんな所まで冒険するとは思えないが?」

「ああ、あいつとは利害が一致するから共に行動しているだけ。信頼なんてしてねぇのさ」

「随分と薄情だな」

「お互い様だろ」

「一緒にするな!」


 クソ、上手く話題を逸らしたか。でもまっ、この調子じゃあ信頼に関したことでこいつを動揺させるのはちょっと無理がありな……さて、どうしよう?そろそろ話題が尽きそうだが……まだなのか、セツ?


「なぁ、まだあの嬢ちゃんを待つつもりか?」

「だから違うって言ったんだろう。はぁ……そういうお前はどうだ?もし仮に俺が本当にセツを待つ為にこの会話を続けているとして、お前がこれに付き合うメリットは無い筈だ」

「さぁ~?もしかしたら俺も誰かを待ったりして?」

「他人への信頼ゼロのお前が?はっ!嘘つけ」

「ありゃ、バレたか?」


 おおい、セツ!冗談抜きで話題は今のが最後だぞ!そもそもこいつの人間不信の話自体が全部嘘で、本当に仲間と合流して俺達を一網打尽しようと企んでいる可能性もまだ残っている。そういう意味でも、セツには無理のない範囲内で早く大蛇の心臓部分を破壊したい。


「なぁ、お前は――」


――!!!


「「っ!?」」


 ボーガン使いが何かを言おうとする瞬間、フェニックスと交戦中の筈の大蛇がいきなりこれまでにない程、派手に暴れ始まった。大蛇を中心に、昼の砂漠と比べならない程の灼熱の風が無差別に噴出した。風魔法で熱風を防ぎつつ大蛇の方に振り向くと、そこの砂が着火して、火の海と化した。


『フェル、フェニックスに何があったか?』

『違うみたいよォ~』

『?』

『すまない、思った以上に時間がかかった』

『イリア?セツのサポートはもういいのか?』

『セツの事は心配ないよ。無事心臓部分を破壊して、今は地下遺跡から戻ってくる途中だ。道中に特記するモンスターもないし、道も覚えているって言ったから問題ない筈だ』

『そっか。それなら心配ないな。さて……フェル?』

『なぁにィ~?』

『フェニックスに思う存分にやってていいぞって伝えて』

『オッケー!』


 何か妙にテンションが高いフェルのことは気になるけど、今は一旦無視して、全身の炎の勢いを上げたフェニックスを一瞥しつつ≪冥獄鬼の鎧骨ネクロス・ガーディアン≫を纏った拳を構え直した。


「おっ!?やっとやる気が出たか?」

「そんな戦闘狂なキャラだったか、お前?……まぁ、セツが見事に頼んだ仕事をやったらな。こっちも頑張らないといけないんだ」

「やっぱりあの嬢ちゃんを待っているじゃん」

「…………」

「シカトかよ」

「そりゃあ、これ以上話しても目ぼしい情報が得られそうにないし、お前も大人しく俺達を見逃す筈もないだろう?」

「ったりめぇだ。そこら辺の夜盗ならまだしも、大罪悪魔とその関係者なら論外だ」

「ですよねー。ところで、お前のその不死性の攻略法を教えてくれる?」

「する訳ねぇだろ!」


 まっ、だろうな。さて、そろそろ第三ラウンドを始めようか。その謎の不死性のせいで何度殺しても復活して、正直面倒で乗り気じゃないが、やるしかないな……時間的にもうすぐ朝を迎えてしまう。寝ずに戦い続けて溜まってきた疲弊が戦闘に影響を与える前に決着付けないと本気で危なくなる。


 はぁ……こういった持久戦はゲームをやっている時もあんまり好きじゃないし、今回に至っては攻略法の糸口すら見つからない。憂鬱になりそうだ……


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