第十三話
振り向くネクトフィリスに向けた、俺は彼をイリアが居る所から出来るだけ遠ざける為、俺は再び彼の足元へ走った。
『接続完了。レイ、意識連結が完了した』
『ありがとう。それで、イリアから見ると彼の弱点は?』
『レイが考えた通り、鎧の薄い関節部位。それと…その杭ね。胴体を守る部分の鎧に貫通するほどの固さが有るなら、私達の武器にもなれる。それ引き抜くことで同時にイジスを助ける』
『でもどうやって――』
『レイ、伏せろ!』
『ッ!?馬鹿な、俺はちゃんとあいつの攻撃範囲に入って――』
無いっと言いたかったが、俺はネクトフィリスに起きた変化を目撃して、言葉を失った。何故なら、ネクトフィリスの左腕からデカイ刃が生えた。
『こんな事アリなの!?』
『あの鎧もネクトフィリスの一部。それを操り、形態を変える事も可能だ。でも変える範囲に限界がある』
ネクトフィリスは左腕の刃を振った。床に落ちた鎖を拾い、刃が頭上に通った瞬間にその付け根の腕に引っ掛けた。その鎖を握った俺も当然宙に飛んだ。宙に飛んでいる俺が逃げれないと判断したネクトフィリスは右腕を同じく刃に変え、俺に目掛けて、振り下ろした。その瞬間!周りの時間の流れが再び遅くなった。イリアの≪思考加速≫で両腕両足に強化魔法を掛けて、ギリギリのところで鎖を辿って、左腕の上に載った。時間の流れは普段のスピードに戻って、振り下ろした刃は俺がさっきまで掴んだ鎖を両断した。心の中でイリアに感謝しつつ、俺はネクトフィリスの頭まで走った。
『へっ、自分の体を攻撃することが出来ないだろう!……ッ!?』
自身の体を自ら攻撃できないと確信した俺を攻撃する為、左腕の部分だけ、次々と骨の茨を生やした!
『ちッ』
≪先読み≫とイリアの≪思考加速≫の両スキルで駆使して、辛うじて串刺しの結末から逃れた。避けられない茨は何とか軽い掠り傷程度で収まった。
ようやく肩まで辿り着いた俺の補助する為、イリアは本日四回目の≪思考加速≫を発動した。遅くなった世界の中で、俺は足に強化魔法を掛けて、ネクトフィリスの頭に飛び込んだ!次に左手に圧縮強化、腕全般に強化魔法。思い切り、ネクトフィリスの顔面を殴った。
『攻撃が効かなくとも、攻撃を受けた時の衝撃はちゃんとオメェの鎧を通るんだよ!』
――ドン!
左腕を犠牲する覚悟で殴ったネクトフィリスはその衝撃で僅かにバランスを崩れた。
『よし、折れていない』
左腕の感覚を確認し折れていないと確認した後、俺は右手で隠し持っていたデカイ楔を投擲槍の如く、ネクトフィリスの右目に投げた。
述べれないエグイ音の共に、楔は見事に右目を貫いた!さらに追撃する為、ついさっきでやった技:空気を圧縮強化させ、盾になる。俺はこの技でネクトフィリスの追撃を凌いで、一命を取り留めた。でも今回は盾としてじゃ無く――
精製した空気の障壁を蹴って、ネクトフィリスの前に跳んだ。
――そう、こうやって空中で足場にもなれる。
「さっきのお返しだ!喰らえ!」
途中に回転を加え、右足を全力の強化魔法と圧縮強化の二重掛けの回し蹴りがネクトフィリスの顔面に直撃!三回もバランスを崩れたネクトフィリスは後ろに倒れた。この回し蹴りは今の俺が放たれる最強の攻撃、もしこれで倒れなかったら、ネクトフィリスを倒す術はもうない。
――ドォォォ―ン!
ネクトフィリスが倒れたことで、胸の杭が押し出された。その隙に、俺は檻と繋いだ鎖を断つ。檻をイジスさんが出れるまで歪んだ。手を檻の中まで伸ばして、イジスさんがまだ生きていることを確認した。そのままイジスさんを連れ出し、一旦イリアの元に戻った。