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4日目:笑顔が素敵な先生と馬鹿な二人組。

「えーと、皇だよな。」


大和は自分の席に座ってケータイを弄りながら、後ろの席の俺の机に寄りかかって言った。


「そうそう。」


俺は頷いて、大和のケータイを覗きこもうとした。

そうすると、大和はケータイを俺に見えないようケータイの電源を切った。


「皇は、別に特に目立つ奴じゃねーよ。勉強は出来る方かな。」


「え、他に何かねーの?」


何かそのくらいのことなら、予測できたわ。

他になにかねーのかな。

そう思って大和に聞くと、大和はまた電源を入れてケータイを弄り始めた。


「あ、あったわ。」


大和はしばらケータイとにらめっこして、ピタリと動きを止めてそう言った。

俺は身を乗り出して、大和のその言葉に食い付いた。


「何、何?!」


それに大和は言いづらそうに頭をかいた。


「あー……。何言っても、あんま騒ぐなよ?」


「おう?」


俺はわけが分からずに首を傾げながら、肯定した。



「……皇、彼氏いるって噂あるぜ?」



「……は?」


俺は頭の整理が追い付かず、思わず間抜けな声を出してしまった。

気まずそうな大和の顔を見てだんだん頭の整理が出来てきて、俺は机を叩いて立ち上がった。


「はぁああぁ「煩い。」……え。」


思わず叫んだ俺に、そう忠告したのは大和ではなく……。

教壇で素敵な笑顔を浮かべている先生だった。

……やばっ。今授業中だったわ。

俺は顔をひきつらせて冷や汗をかきながら、前の席の大和を見た。

大和は俺は関係無いと言わんばかりに、教科書を開けてノートをとっていた。

裏切り者っ!

俺は大和に悪態をつきながらも、先生にから笑いしながら向かい合った。


「あはは……。すみません。」


それに先生は素敵な笑顔のまま答えた。


「授業を受けないのは、俺が知ったことではないがな……。次、授業妨害してみろ?次は無いからな?」


「は、はいっ!」


俺がそう言うと先生は満足したように頷いて、視線を俺からずらした。


「不知火、お前もだからな。」


その先生の一言に不知火は、冷や汗を流しながらこくりと頷いていた。

先生は俺たちにそう言うと、何事もなかったかのように授業を再開させた。

クラスの奴らは、こっちを見てニヤニヤ笑ってる。

くそっ。お前らも怒られろっ。


「白夜、お前が叫ぶからだぞ。言ったじゃねーかよ。騒ぐなよって。」


大和は後ろを向いて、小さな声で言ってきた。


「いや、仕方ねーじゃんか。つーか、詳しい話ねーの?」


「あ?詳しい話?……実際に7組行って見てこれば分かんじゃねーの?このあと返しに行くんだろ?丁度良いじゃん。」


「あー、それもそうだな。」


俺は頷くと、教科書とノートを開いて授業を受けようと支度し始めた。

さすがにあんだけ注意された後に、サボる気は出ないし。

そう思ってノートをとろうと黒板に目を向けると、大和は机につっぷしていた。

え、今から寝んの?怒られたばっかなのに?

いや、別に良いけど。……勇気あんな。

俺は気持ち良さそうに寝息を立てて寝始めた大和を視界にいれつつ、授業を受け始めた。



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


「……よし!7組に、行くぜっ。」


飯もさっさと食い終わって、俺は片手に折り畳み傘を持って立ち上がった。

大和はパンをくわえながら、手を振ってきた。

ふむ。健闘を祈るってか。


「おう。行ってくんぜ。」


俺は大和にぐっと親指を立てて、教室を出た。



さっそく俺は7組の前に来た。

うわー、皇ちゃんいるかな。

……大和から聞いた噂の彼氏君といんのかな?

つーか、今よく考えると昨日茉莉って呼んでた奴が彼氏なんじゃね?

呼んでた声は、完全に男の声だったし。

うわー、顔見とけば良かったわ。

俺はそんなことを考えながらも、7組の教室の扉に手をかけた。



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