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2日目:傘を借りた男の子とクラスメイト。

「おっ。今日は晴れたな。」


俺は昨日の雨が嘘のように太陽が煌めく青空を見上げた。

今日の降水確率は、10%。ま、降らないだろう。

でも、俺の鞄の中には折り畳み傘が1つ。

その折り畳み傘は、昨日女の子から借りたものだ。

同じ学校のはずだから、学校で返すために持っていく。

普段は、折り畳み傘なんて持っていかねーし。


「探しだしてやんぜっ。」


俺は手をぐっと握って、決意を改めて口にした。

まず、同じ学年なのかも分からねーけど。

クラスの奴らに聞けば、誰か一人くらい知ってるだろ。


「大和なら、知ってるかも……。」


大和って言うのは不知火大和って言って、俺の小学生の頃からの親友。

よく「何で知ってんだよ。」ってこと、知ってるし。

本人いわく「人が隠してることを知るって、おもしれーじゃん?」って、性格わりーこと言ってんからな。


「あー……。でも、アイツ学校来んのすっげー遅いからな。」


やっぱ、とりあえずはクラスの連中に聞くか。

そうとなれば、早く学校に行こー。

今日はいつもより、早めに出てきたしな♪



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


「はよー!」


俺は元気良く教室のドアを開けて挨拶した。

案の定、大和は来てない。


「おはよ。今日は、早いじゃん。」


「あ、本当だー。まだチャイム鳴ってねーよ?」


「槍降るんじゃね?」


クラスの連中が口々に、笑いながらそう言ってくる。


「いやいや、お前ら酷くね?俺だって、早く来るときくらいあるわ!」


いや、確かにほとんど毎日チャイム鳴ると同時に教室に入るくらい遅刻ギリギリだけども。

俺だって、やれば出来る子なんだぜ?

……まぁ、やらないだけで。


「えー……。でもお前日直の時だって朝に日誌取りに行けなくて、1週間ちょっとずっと日直やってたじゃん。」


「う"っ……。痛いところをついてきやがる。」


俺のクラスは先生の方針で、日直は朝のHRが始まる前に職員室に日誌を取りに行かなきゃいけない。

取りに行かなかった場合は、明日も日直を続行。

ってなわけで、いつも遅刻ギリギリの俺は1週間ちょっとずっと日直をやらされてた。


「あー、もう。んなことは、どーでもいいんだよっ。」


俺はクラスの奴らの反論に大きな声を出して遮って、盛大に話題転換をした。


「自分に都合悪くなったからって、話しそらすなよ。ま、良いけどさー。で?どうしたんだよ。」


なんだかんだ文句を言いながら、聞いてくれるクラスの奴らは相変わらずいい奴らだと思う。


「昨日、傘借りたんだけど。誰か分かんなくて、返せねーんだよね……。」


「傘?お前、昨日傘持ってきてなかったのかよ……。」


クラスの友達の山本に、若干呆れ気味に言われた。


「いや、だってさ。朝晴れてたじゃん?」


「でも、降水確率50%だろ?普通は持ってくんだろ。」


朝晴れてたら、平気だと思うじゃんか。

まぁ、確かに親には傘持ってけって言われた気もしなくもないけど……。

時間なくて、急いで出てきたからなぁ。


「まぁ、良いや。で?早く返してこいよ。」


そう言う山本に、俺は身を乗り出して大きな声をあげた。


「そうっ!返してきたいんだよ!」


「うっわ……。急にデカイ声出すなよ。」


「あ、わりぃ。でさ、女の子から返したいんだけど。誰か分かんなくてさー……。」


「はぁ?知らねー奴に借りたのかよ。」


うん。その疑問はもっともだよね。

普通は初対面の人とものの貸し借りなんてしねーよな。


「いや、でも貸してくれたから。」


「……クソッ。これだからイケメンはっ。」


山本は、急に舌打ちをして悪態をつきはじめた。

え、なんで?俺はただあったことをありのままに言っただけなんだけど……。


「つーか、手がかりとかねーの?」


山本は気を取り直したみたいだが、若干不機嫌にそう言った。

良かったー。協力してくれねーかと思ったわ。


「髪は肩ぐらいまでの暗めの茶髪で、身長は俺の肩くらいかなー。あ、茉莉って呼ばれてた。」


俺は昨日のことを思い出しながら言った。

それに山本が答える前に、近くにいた陸奥が話しかけてきた。


「茉莉花のこと?」


「え。陸奥、知り合い?」


それに陸奥は、頷いた。


「うん、そうだよー。その子、150㎝くらいで薄いピンクのカーディガン着てたでしょ?」


「あー、うん。そうだった。」


「じゃ、多分あってるよ。茉莉花は、隣のクラスだよ?7組だからさ。」


そう言って陸奥は、7組があるクラスの後ろを指差した。


「マジか。サンキュー。」


早速7組に行こうとした俺に、陸奥は呆れ顔で言った。


「いや、今から行くのは良いけどさ……。一時間目の数学の宿題終わってんの?今日まででしょ?今日出さなきゃ、居残りって言ってたけど。」


その陸奥の言葉に俺は嫌な汗が出てくるのを感じた。

山本もどこか顔色が優れない気がする。……同士よっ。


「……やべぇ。まだだわ。」


「俺もやってねぇ……。」


その俺たちの反応に陸奥は楽しそうに笑って、ノートを鞄から出してチラつかせた。


「ジュース奢ってくれるなら、見せてあげなくもないよー?」


……くっ。背に腹は代えられぬ。

俺は鞄から財布を出して、小銭を出した。


「150円で買おうじゃねーかっ。」


それに陸奥は笑って頷き、俺が差し出した150円を受け取った。


「まいどー♪山本はどうすんの?」


陸奥が今度は山本にそう聞くと、山本が悔しそうに財布を見た。


「クソッ……。俺は今金欠なんだよ。」


そう言って山本は、ノートを広げて自分で解き始めた。

150円もおしいってことか。

今から自力で解いて終わるのかな。

山本、特に頭良いってわけじゃねーし。

……ま、いっか。

傘は、昼休み返しに行こっと。

俺はそう決めて、宿題を写し始めた。



実話混ざってますw


いつも遅刻ギリギリとか遅刻してくる子が、早く来たときに「槍降るんじゃね?」的な会話をしたばっかりで。

あと、日直のシステムもそうです。

それで、実際に1週間ちょっとやった子がいました。






そして、150㎝は私の身長です……(´・ω・`)

どうやったら、身長って伸びるのかな。


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