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もたれかかる君  作者: 戯言丸
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名探偵Ⅱ

「名ゼリフ頂きましたーパチパチ」


「まあ、現状は知的探究心に動かされる愚者といったところが妥当だけどね」

そういうと、渡辺はさも格好つけるような格好をして決め台詞を吐いた。しかし、その意味は正に的を射ている。その知的探求心は犬をも殺すことは言うまでもない。


「で、その他に情報は?」


「ワックスがけの情報は生徒に行き届いてるはずだよ。まず、部活動も含め生徒はいないと思うけど。彼女が走っていたのが二つ目のキーポイントかな。まずワックスがけで滑りやすく危ないと分かっていたのに走っていたことから察するに彼女は相当動揺していたに違いない、犯人は証拠を現場に置き忘れた可能性もあるね。まずは現場検証が必要だ」

「二階の理科室から見てみるか」


「その必要はないと思うよ。なぜなら鍵は僕が持っている。実は、先生に頼まれて西野と一緒に鍵を閉めて周り終わったところなんだ。まだ僕達以外の生徒も見ていない」


「手間が省けるな、すると相当現場は限られてくるんじゃないか?」


「まあね、窓は防犯のために鍵はほぼ閉まっているから現場といえば廊下、トイレ、屋上しかないね」


「とりあえず犯人を逃がさないように西野をここに置かないか?逃走ルートはここを必ず通らないといけないし」


「そうだね…頼んだよ西野」


「わかったわよ、ナベちゃん早く戻ってきてね!」


そういうと二人は階段を昇ってトイレを捜索していく。

流石に女子便所に入るのは気が引けるがいたしかたない。


社会に出れば抹殺されるべきこの事案を遂行する役を決めるには。流石に公平に決めるべきである。そんな、公平さを期すにはじゃんけんしかない。

そう結論付けられた勝負で変態になるのは始に決定した


「きゃー、へんたいが女子便所にきたー」

トーンを下げて茶化す酉島。


口角を上げて額から汗を流し苦笑いをする渡辺は愛想良く返す。

「楽しそうだねアッキー」


「新たな事件に立ち会えたもんで」


「その事件は迷宮入りになると嬉しいね」


「二人だけの必要?…///」


「照れるなよっ!…」


「ああもう!こんなんじゃ僕の自我がもたない!誰かいませんかぁあー!」


もの音一つしない。


まあ、誰もいないと思う。なぜなら全てのトイレのドアがかすかに開いている。流石に鍵を閉めないハレンチな乙女や犯人はいないだろう。

…と、すると現場はあそこだ。


「誰もいないみたいだねアッキー。隠れているのかな?」


「それはないんじゃないか」


「そうか…なら次は廊下行ってみる?」


「それも必要ないな」


「え、なぜ?」


「この学校の構造を思いだしてみろ。必ず降りる場合はこの階段を下りなければいけないし階段からの見晴らしもいいときている。それに教室は全て鍵がかかっているんだ」


現状を説明する酉島。あっと驚かされた渡辺は口に手を当てながら考えにふける。

学年全体でも成績優秀ではない酉島の頭の回転がこういうときに高速回転しているのには頭が下がった。


「あ、そうか。それに廊下は全て行き止まりだったね。ということは屋上しかないよねアッキー」


「屋上しかないわな」


二人はそう納得してトイレから出て階段を昇り始める。

その最中、渡辺が言った。

「実は、僕さこの事件についてもう解答が出たよアッキー」


「さすが、名探偵パチパチ」


「茶化さないで聞いてよ。もしかしたら僕の憶測でしかないんだけどもしかしたらアッキーも解答が出てるんじゃないかな?」




「まあな、しかし俺は記憶力が悪いからな。早めに推理してくれないと忘れちまうぞ」

「あはは、そういえば昔からアッキーは人の顔を覚えるのが下手だったよね。うちの生徒会長の顔とか覚えてる?」


「あー…」




「嘘でしょ?本当に?…」


「下半身は出てきた」


「あちゃーこれは、重症だよアッキー…」


呆れかえるその場の空気を尻目に二人が最後の一段を昇る。



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