短編シリーズ第一話 高槻悠の休日~彼女たちとのデート:北條院桃花編~
チチチチ……
今日は晴天、とても清々しい朝の出来事からはじまった。
「んん――」
ふと目が覚める俺は体を静かに起こして大きくアクビをしたと同時に隣になにかがいるようなそんな気がして恐る恐る掛け布団を引き剥がしてみると――
「げ……やっぱり」
そこには静かに寝息をたてる美少女がそこにいた。
北條院桃花、同じ桜ケ嶺高校中等部に通う中学三年生だ。
凛花とは性格が真逆と言うか積極的かつ大胆な性格で出会ってからと言うものなぜかまとわりついてくる困った妹だ。
「あ、おはようございます」
「あぁ、おはよう」
爽やかな笑顔で答える俺――
「――っとでも言うと思ったか! でてけ!」
「やん♪」
そう言って首根っこをつまんで外に放り出す。
「まったく、桃花はなにを考えてんだ」
玄関のドアを閉めて着替えを始める。
ピンポーン――
不意にベルが鳴り響いた、俺はまたかと思い放置するが――
ピンポンピンポンピンポン
「だぁー! うるせぇ!」
頭にきた俺はズカズカと玄関に向いドアを勢いよく開けるとなにか鈍い音がする
「うるせぇ! いったい朝っぱらから――ってあれ?」
ふと下に視線を向けるとうずくまったメイド姿をした女性がいた。
「ちっ千棘……?」
「おはようごじゃいます……悠……さま」
「あっあぁ、だっ大丈夫か?」
「なんとか生きてますが……」
この頭を手でさすっているメイド姿の人は俺のメイドを勝手にやっている三条千棘、元々高槻家で正規メイドとして雇われ俺専属として働いてくれていたが高槻家解体の際に放免、その後桜ケ嶺市にまでやってきて俺の従者として勝手にメイドとして住み込んでしまうと言う困った人だ。
「悠様の方こそいかがされたのですか?」
「あ、いや桃花のやつが来ててな――」
「桃花様なら……」
ふと見ると桃花は千棘の後ろに隠れている……つーか、尻が隠れてねぇ。
「頭隠して尻隠さずとはこのことだな」
ため息を一つつくと二人を部屋まで通す、千棘は手に持っている袋をキッチンのテーブルに置き朝食の準備に入る。
さすがメイドと言うか手際が良い。
「……で? 桃花はなぜここに?」
「なんでって、お兄ちゃんの寝顔が見たくなっちゃってつい――てへぺろ」
(うぜー、殴りてぇー)
拳を握り締めるが殴るのはダメだとグっと堪える俺。
「今日は凛花は? 一緒じゃないのか?」
「お姉ちゃん? お姉ちゃんなら今日はなんか西園寺家と小清水家のお茶会があるからとか言って今朝から留守だよ」
「そうか……
あ、すまないな」
俺は千棘から出されたお茶をズズッと飲む。
「うん、美味いな。」
「ふふ、ありがとうございます」
千棘は俺が褒めると嬉しそうにニッコリと微笑んだ。
「まぁ、あいつも忙しいんだろ。
桃花は今日はなにもないのか?」
「うん、なぁんにもないよ?
だから遊びに来たのに、お兄ちゃん相手にしてくれないんだもん」
「でしたら、遊びに出かけられてはいかがです?」
「あ、それいいかも! デートしようよ!」
千棘が提案すると桃花はその提案に乗りぐいぐいと俺の裾を引っ張り催促をする。
「わかった! わかったから服の裾を引っ張るのはやめろ」
「わぁい! やったやった!
お兄ちゃんとデートだぁ!」
嬉しそうにバンザイしながら小躍りする桃花。
「それで、どこに行くんだよ。
市内なんてもうどこも見たことあるような場所ばっかりだぞ」
「ふふーん、お兄ちゃんはまだまだわかってないなぁー」
「なっなにがだよ?」
「まぁまぁ、いいからいいから早く支度してね♪
はっ! いっけない! 桃もちょっと準備してくるね!」
「準備ってなんの?」
「悠様、女の子にはいろいろあるものなのです」
千棘は片目を閉じて人差し指を口元にあてる。
「ふぅん、まぁいいや」
「じゃあ、今は九時半過ぎだから十時半。
一時間後に桜ケ嶺駅前の時計塔で待ち合わせね!」
そう言って桃花は急ぐような足取りで俺の家をあとにした。
「――しゃあねぇ、俺も準備してくるわ」
俺は出かけるために外出用の衣服に着替えることにし、自室へと戻っていった。
一時間後――
朝はさすがに少し冷える初夏の五月、俺は約束の十時に桜ケ嶺駅前の時計台である女の子を待っていた。
「遅い……」
俺が着いてから早十分は過ぎていた、いまだに彼女が来る気配がまったくないのはどういう了見だ。
っとそこへ――
「ごめーん! 待ったぁ?」
そう言いながらパタパタと走りながらやってくる女の子まさしく北條院桃花だ。
「遅いって、何分待ったとおも……って――」
彼女はピンクを基調としたTシャツにショートデニムパンツ、そしてまだ寒さがある季節のためにアウターには白いチャック部分にフリフリのついたパーカーを着用していた。
「どう……かな?」
もじもじとしながらチラチラと俺の方を見る。
「う、うん。
いいんじゃないか? 可愛いと……思う」
「へへ、ありがと♪
それじゃあ早速行こうよ!」
そう言って俺の腕にしがみついてくる。
「ちょっ、近い近い!
あまりくっつくなって」
「えー、わたしは全然平気だよ?……それともわたしじゃデートの相手にもならない?」
目に涙を浮かべて見せる桃花。
(くっ、俺が涙に弱いこと知ってるくせに……だんだん扱いが慣れてきてやがる……)
「わかった、わかったから泣くなって」
「ふふん、じゃあ最近できたデートスポット行こ!」
そう言って桃花は腕を引っ張りながら俺を目的地へと向かわせた。
◇
「とうちゃーっく!」
「ここは?」
「ふふ、ここは新しくオープンした超大型デパート『ガーデンモール』だよ!
県内にいくつか店舗があるんだけどその中でもいっちばん規模が大きいデパートなの!
中は見てからのお楽しみ! ささ、いこいこ♪」
桃花は楽しそうに俺の腕を引っ張って中へと入っていく。
「はぁー……なんだこれ」
俺は驚いていた、外観は大きいデパートで店同士がみっちり詰めて入っているようなイメージがあったがそのイメージは大きく崩れ去る。
店の中だというのにその中心には大きな庭がありその周囲を様々な店舗がひしめいて入っているような感覚はなくどの店も余裕を持った距離感で店を展開していたからだ。
「すごいな、これは……」
まさ壮観とはこのことなのかもしれない、俺は少しだけだが楽しくなりそうな気がしていた。
「でしょ? わたし好きな人とここにくるのが夢だったの!」
「え……?」
思わず彼女の笑顔を見てドキっとする。
「どれから見よっかなぁ……悩んじゃうなぁ」
キョロキョロと周りを見渡す桃花、俺はその行動に少しばかりだが「可愛い」と思ってしまう。
「じゃあ、あれ見よう!」
そう言って彼女は指を指す、俺はその方向を見ると――
「ファッション……つまり服――か、いいんじゃないか?」
定番だなとは思っていたがこの子らしいというか……
そこで彼女は店に入るとにこやかに店員の人が丁寧に声をかけてくる。
「いらっしゃいませ、どのような服をお探しですか?
もしよろしければコーディネートさせていただきますが?」
「あ、大丈夫です。
彼が選んでくれるので」
桃花はそう言うとあらゆる服を持ってきては試着室へと持ち込んでいく。
「これなんてどうかなー?」
「これとかー」
「これがいいかも!」
っと言った具合で次々と試着しては俺に見せる。
「あっああ、いいんじゃないか……?」
「むぅ、お兄ちゃん本当にちゃんと見てる?」
「見てるって……」
「ほんとに~?」
ジッとジト目で見つめてくる桃花。
(実際なんでも似合うんだよな……桃花は)
「ほっほんとだって、これなんて似合うと思うぞ! うん!」
そう言って俺も適当に見繕って桃花に手渡すと――
「お兄ちゃん……こういうの好きなんだ……」
今度はなぜか恥ずかしながらも試着室のカーテンを開ける桃花、実際俺も無我夢中で手にとった服だったから内容を覚えていない。
「え……?」
俺は桃花をまっすぐ見るとそこには――
「こんな大胆な服……ちょっと恥ずかしい……」
胸元が大きく開き、スカート部分もやたらと短い。
もうすぐで下着が見えるほどだった、俺は慌てて周囲の目から隠そうとして桃花を試着室に戻らせようとした途端だった。
「ちょっ……お兄――ひゃん!」
「うわっ! ちょっ!」
勢いあまって二人で試着室に倒れこむようなかたちで入ってしまう。
「いっつつ――
大丈夫……か?」
手に柔らかい感触が伝わる。
「…………」
「…………」
お互いがぱちくりと目を合わせるっと思いきや――
「すっすまん! これは事故でけっして」
「いいよ……」
「……は?」
「お兄ちゃんになら触られてもわたしは――」
「ななななに言ってんだ桃花!」
「わたし自分で言うのもなんだけどお姉ちゃんよりもサイズ大きいんだよ?」
「そんなこと誰も聞いてねぇよ! いいから着替えてくれ!」
「でもほら、わたしの胸すごくドキドキしてる」
そう言っておもむろに俺の手を胸に持っていく、確かに鼓動がつたわってく――
「ってなにしてんだ! 俺はもうでるから――って」
カーテンを開けた瞬間だった、俺の目の前には姉でもある凛花がいた。
相手は気づかなかったのかこっちには振り向かずに何やら楽しそうに誰かと話している。
(誰と話してるんだ? 林檎か? それとも優か?)
そう言えば今日はお茶会があるってこいつは言ってたなとふと思い出す。
「どうしたの? お兄ちゃん?」
「あ、いやなんでもないよ? はは……ははは」
背中に嫌な汗が流れてくるのを感じる、外へ出てもまずいしかと言ってここに二人でいるのもまずい……
「あれ? お姉ちゃん!」
そう言ってカーテンから顔だけを出した状態で外にいる凛花に話しかける桃花……
(おいいいい! もうちょっと空気読めよ!)
っと心の中で叫ぶも彼女には届かない……
「おい、どうすんだよこの状況!」
「あら? 桃花じゃない?
どうしたの?」
「お姉ちゃんこそお茶会があったんじゃないの?」
「それが突然中止になっちゃって、時間空いてしまったから悠の家に行ったんだけれど千棘さんが言うには買い物に行ったとかで留守だったし仕方なくこのメンバーで買い物にきたってわけなのよ」
「仕方なくって随分な言いようだな、凛花くんは」
「ひどいですよぅ、凛花ちゃん」
どうやら俺の予感は見事に的中したようだ。
「これもそれも全部悠のせいだわ! 帰ってきたらただじゃおかないわ」
(こぇーよ、つーか桃花もいい加減に空気読めよ!)
「ははは、お兄ちゃんも大変だなぁ~」
「笑い事じゃないわよ、まったく。
それよりも桃花は一人なの?」
「う……うん、まぁね」
「だったら、あたくし様たちと一緒に回らない?」
(やばい……ものすごくピンチだ……)
「それはダメッ!」
つい力んでしまったのか手で押さえていたスカートがスルリと落ち、俺の目の前には桃花の下着がその姿を現す。
「ぁ――」
(ぶふ! ちょっと待てって――)
その拍子に思わず壁を蹴ってしまう、ガタっと音が鳴ったことによりそれに反応する凛花。
「中に誰かいるの?」
「え? あはは、そんなわけないじゃない。
おかしなお姉ちゃん♪」
「ほんとうにぃ?」
「ほんとほんと!」
「じゃあ、中を見せなさい」
「……それは……」
「見せなさい」
「だから……えっとぉ、ほら……わたしちょっと着替え中だし……」
「い・い・か・ら!」
「うぅ……」
(マズイ! マズイマズイマズイマズイ!)
俺は中で下着を満喫――もとい魅せられ……じゃなかった見せられながらも必死で思考を巡らす。
「! そうだ」
俺はポケットから携帯を取り出し凛花にメールを送る、すると――
ピピピ――
凛花の携帯が鳴りはじめる。
「誰かしら……って悠からだわ」
(助かった――)
俺はホッと胸を撫で下ろした。
「桃花、あたくし様たちはこれから帰るからアナタも遅くならないようにね」
「え、もう帰るのかい?」
「凛花ちゃんもう少しゆっくりしようよぉ」
駄々をこねはじめる二人を制止させながらも凛花たちはこの場から離れていった。
「ふぅ……」
桃花も安心したようで試着室に戻る。
「助かった……のか?」
「なんとかね……お兄ちゃんが機転きかせてくれなかったらただじゃ済まなかったかも」
「あぁ、我ながらなかなか」
俺たちはクスクスと笑いながらも外へと出たが――
「お客様、二人で試着室に入ると言うのは――」
店員のお姉さんがこめかみに血管を浮かせながらも笑顔で出迎えた。
「えっ、えーっと……これには……」
「今度お見かけしたら入店禁止にしますからね!!!」
「はい! ごめんなさああああい!!」
俺たちは逃げるように店をあとにした――
◇
「はぁ、はぁはぁ……」
息を切らしながらもなんとか店を出て噴水の近くで息を整える。
「大丈夫……か?」
「うっうん、なんとか」
「俺ちょっと飲み物買ってくるからお前はここで待ってな」
そう言うと俺は近くにある売店に向かいジュースを買ってくる。
「ほら、飲めよ」
「え? わたし頼んでないよ?」
「喉渇いてたんだろ?」
「う……うん」
そう言ってジュースの入れ物に刺されてあるストローにそっと口をつける。
「でも、どうして飲み物を欲しがってるってわかったの?」
「そりゃお前は喉渇いてたら決まってここ……掻くだろ?」
そう言って俺は喉を人差し指で掻いてみせる。
「ふふ……ははは」
「なっなんだよ」
「うぅん、なんか嬉しくって」
「嬉しいってなにが?」
「お兄ちゃんってなんだかんだ言ってわたしのことを見てくれてるんだなって思って」
「あ? そりゃ見てるさ。
毎日顔を合わせてるしな、それくらい見てないわけがないだろう?」
「もぉ、そう言うことじゃなくってぇ」
呆れた顔で腰をあげて立ち上がる桃花。
「まぁ、いいや。
まだまだ見たいものがあるし早く行こ? お兄ちゃん♪」
「なんだそりゃ……まぁ、いっか」
俺と桃花はこうして他の店に回ったり映画やおもちゃ売り場などこのガーデンモールの中を余すところなく見て回った。
「あー、楽しかった♪」
「俺は……さすがに疲れた」
腕と背中を思いっきり伸ばす俺はチラッと桃花を見る。
(さすがは女の子だな、こう言うことになると子供みたいにはしゃぐ。
これも楽しいって心から思ってるんだろうな)
「ねぇ、あれ……」
桃花がふと指を指すとそこには小さな子供が階段の下で泣いているのを見つける。
「あれ、迷子か?」
「わかんない、でも泣いてるところをみるとそうかも知れない。
わたしちょっと見てくる」
「おっおい」
桃花はそう言うと小さな子供のところへと駆けていく。
「ねぇ、迷子になっちゃったの?」
「ひっくひっく……おがあざああん」
「困ったな……どうしようお兄ちゃん」
泣き続ける子供に困惑する桃花、俺は迷子センターに連れて行くのが無難だと思った。
「迷子センターに届出よう、そうすればアナウンスで呼びかけてもらえるはずだ」
「そっそうだね」
そう言って桃花は子供の頭に手を載せて撫でる。
「ほら、いい子いい子だからね。
お姉ちゃんと一緒にお母さん探してあげるからねー」
「おっおう、お兄さんも一緒に探してやるからな」
そう言って俺はしゃがんで背中を子供に向ける。
「うぅ、おがあざん……ひっく、一緒にさがじでぐれるの?」
「もちろんさ、だから泣くな? 男の子だろ?」
「うん……」
そう言って子供は俺の背中にしがみつくとしっかりと支えておんぶをする。
「とりあえず迷子センターだ……って場所わかんのか?」
「わたしちょっと聞いてくる!」
そう言って桃花は走っていった、それから数分後――
「お待たせ!」
「どうだった?」
「迷子センターは各階に一箇所ずつあるみたい、ここは二階だからここをつきあたりまっすぐ行くとあるみたい」
そう言って桃花の指を指す方向に俺たちは歩き出す、しかし――
「あれ? おい、あれ見ろよ」
「なに?」
俺はふと一階を見下ろした、ここのモールは中心部が吹き抜けとなっておりすぐ下の階が見えるような構造になっている。
そこで俺が見たものとは――
「一馬―! どこに行ったのー?」
母親だろうか? 誰かを探しているようにも見えた。
「ねぇ、あれって……」
「母親かも知れない、行ってみよう」
そう言って俺たちは一階まで降りるとちょうど母親らしき人の元へとたどり着いた。
「あ、あの」
「もしかしてこの子のお母さんですか?」
俺と桃花は母親らしき人と思われる女性に声をかけた。
「かず――え? かっ一馬!」
どうやら予想は当たったみたいで俺はすぐに子供を背中から下ろすとはしゃぐように母親と抱き合った。
「もぉ、どこに行ってたのよ一馬」
「おがあざあああん」
「わざわざ、本当にありがとうございます。
少し目を離したばっかりにご迷惑を――」
「あぁ、いえいえ。
おかまいなくです、それよりも良かったね一馬ちゃん」
「次からははぐれないようにな」
「お兄ちゃん、お姉ちゃんありがとう!」
子供と母親は俺たちに礼を言うと仲良く手をつなぎながら店の奥へと消えていった。
「意外だな」
「なにが?」
「なにがってお前がこうやって小さい子供の世話をするなんてさ」
「わっわたしだって困った人を放っておけない性格なんだから仕方がないでしょ?
それにお兄ちゃんだって」
「俺か? 俺も同じだよ。
でも普段お兄ちゃんって言いながら甘えてくるお前しか見たことなかったからな、それこそ意外だった」
(さすがは姉妹だな、困ってる人は放っておけない――っか)
俺は凛花と桃花の姉妹が考えなどの違いがあれどそう言った新しい一面を見れたことにとても充実感を覚えた一日だった。
そして後日談――
「はぁ、いい湯だ」
お風呂に入るとなぜか開放感があらわれて気持ちが安らぐ。
「桃花がお姉ちゃん……か」
なぜか笑いがこみ上げてくる、ギャップありすぎるからだ。
(とてもじゃないがキャラじゃないな)
っと言いつつもやっぱり笑ってしまう俺だったが――
「お兄ちゃん! 今日はいっぱい汗かいちゃったし背中流してあげるよー」
そう言って急に風呂に入ってくる桃花。
「ちょっ! お前どっから入ってきた!」
「んー? 管理人さんに鍵借りてきて入った」
「はぁ!? お……お前その格好」
「水着だから恥ずかしくないよー?」
「ってそんな問題じゃねーよ!」
俺は思いっきり口元まで浴槽に浸かった。
「問題ないよ、お兄ちゃんの背中を流すと言う大義名分があるんだから!」
「いいから……」
「――え?」
「いいから出て行けぇええええ!」
俺は彼女の首根っこを掴むと外へ放り出した。
PS、父さんへ、俺のこの騒がしい日々はまだまだ続きそうです。
みなさんお久しぶりです、さてさて今回の新作「北條院凛花の恋と意地の挑戦状!」楽しんでいただけたでしょうか?
新作でもある「北條院凛花の挑戦状!」のサブショートストーリー(SSS)として各ヒロインにスポットをあててのデート編として今回投稿させていただきました。
また、本編は80%ほど仕上がっておりますのでしばらくの間ですが楽しみに待っていただければと思います。
そしてその新作の最初の紹介はメインヒロインの「北條院凛花」の妹である「北條院桃花」にスポットをあてました。
これからこちらの作品にも目を通して頂いた上でどのような性格をしているのか、どのような形で主人公のことを振り向かせようとしているのかを知っていただければ嬉しいです。
それでは長くなりましたがこれからもこの作品をよろしくお願いいたします。