第一話
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深層ダンジョン「アビス・ラビリンス」 第47層
「レオン、右からゴブリン・ジェネラル三体! 後ろにシャドウ・ストーカー二体!」
「了解! アルフ、援護頼む!」
俺は剣を構え、突っ込む。
アルフの声が背後から響く。
「――《炎獣召喚・フェンリル改》!」
ゴオオオオッ!!
巨大な炎の狼が現れ、敵陣を蹴散らす。
俺はそれに乗り、剣を一閃。
**【絶剣・雷鳴一閃】**
バチィィィィィン!!
雷光が走り、ゴブリンの首が五つ同時に宙を舞った。
残りのシャドウ・ストーカーは、ミリアの短剣で瞬殺。
ガルドの回復魔法が、万が一の傷、を即座に癒す。
完璧。
これが俺たちの日常だった。
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ボス部屋前。
宝箱が三つ。
いつものように、俺が開ける。
「レオン、気をつけろ。罠の気配が――」
「大丈夫だよ、アルフ。俺の【直感】が反応してない」
カチャリ。
宝箱を開けると、中から溢れんばかりの金貨と、虹色に輝く魔石。
さらに、伝説級の装備《龍鱗のマント》まで。
「やったぜ! これでまた強くなれる!」
ミリアが跳ねる。
ガルドが手を合わせる。
俺も笑った。
――が。
「……もう知らん」
低い、震える声。
振り返ると、アルフが杖を握りしめ、地面を見つめていた。
「アルフ?」
「……愛想尽きた。お前と組むのは、もう無理だ」
は?
「ギルドも辞める。さよなら、レオン」
アルフは踵を返し、ダンジョンの出口へ歩いていく。
背中が、妙に小さく見えた。
「ちょ、ちょっと待てよ!?」
ミリアが追いかけようとするが、俺は腕を上げて制した。
「……放っておけ」
「え、レオンさん!?」
「きっと疲れてるだけだ。明日には戻ってくる」
そう言ったけど、
胸の奥が、ズキンと痛んだ。
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ギルドホール・夜
退会届。
アルフの名前。
理由欄:**空白**
ギルドマスターのエリザ婆さんが、ため息をつく。
「レオン、あの子は本気だよ。何かあったの?」
「……さっぱり」
俺は正直に答えた。
確かに最近、アルフの機嫌が悪かった。
「レオン、もっと連携意識しろ」とか「俺の魔法を無駄にするな」とか。
でも、それって普通じゃね?
俺はいつも通り戦ってたし、
アルフの魔法だって、ちゃんと活かしてた
なにがどうなってんだ
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俺の部屋・深夜
ベッドに寝転がって、天井を見つめる。
ステータス画面を呼び出して、眺めてみる。
【スキル追加:孤独耐性(Lv1)】
【タイトル獲得:『一人旅の剣士』】
……は?
いつの間にこんなスキルついたんだ?
しかも、
【直感(Lv10)】がピコピコ光ってる。
『警告:大切なものを失う可能性あり』
「……うるせえよ」
俺はステータス画面を消した。
アルフは戻ってくる。
絶対に。
だから――




