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姫君は魔王を所望する



「魔王様、どうかわたくしと

結婚してくださいませんか?」


誰もが見惚れるほどの綺麗なカーテシーを見せた

令嬢は、顔を上げてエメラルドの瞳を玉座に向ける。


白く儚げな美しい顔に微笑みをたたえた令嬢の

プラチナブロンドの髪が一房零れ落ちた。

傾国の美姫と呼ばれるその美貌はデタラメではない。

淡いピンクのドレスを纏った令嬢は精霊のように

神秘的であった。


「……アルフィリアの姫君が

わざわざこの魔王城に出向き、

わたしに求婚するとは」


黒髪に鋭い赤い瞳を持つ男はバカにするように

鼻で笑う。耳の後ろからぐにゃりと

曲がった髪と同色のツノが覗く。

黒い騎士服姿の男は魔王であった。

端正な顔立ちの魔王と、令嬢が見つめ合う様は

まるで絵画のようであり護衛の1人は

ほうっと息を漏らした。


令嬢の名はミレイユ・ロゼ・アルフィリア。

アルフィリア王国の唯一の姫君であった。


そんな彼女がなぜ、自分に結婚を申し込むのか。

理由は一つしかないだろう。

アルフィリアは魔国と友好関係を結びたいのだ。

友好関係を結ぶことにより

魔族と人間の争いを避けたい。

そう考えているのだろう。


しかしミレイユから発せられた言葉は

予想外のものであった。


「わたくし……ずっと、伝説の魔王様に

お会いしたかったんです!!」


「は?」


魔王ディオンは間の抜けた声を漏らした。

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