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何でこんなところに?

リンと影山蔵人が週に一回くらい昼ごはんを一緒に食べるようになって、1ヶ月が過ぎ、6月になろうとしていた。


気温も上がり、夏が近づいているのが分かる。


そんな5月末の土曜日。


リンは、桜花駅近くの図書館に来ていた。


リンが図書館に来た理由は、・・・勉強をするためだ。


実は、リンのおじいちゃんおばあちゃんの家には、エアコンが無い。


そう。


暑くて勉強に集中できないのだ。


リンは思う。


実家のリビング、マジ天国。と。


こうして、リンは暑さに勝てず、図書館に来たのである。


リンの私服はちょっとギャルっぽく、一見すると、バカに見える。


が、実はリンは努力家で、勉強をしっかりしている秀才なのだ。


リンが図書館に入ると、リンと同じように勉強をしに来た人が等間隔で座っていた。


窓際の角の席が空いていたので、リンはそこに座り、カバンから教科書や参考書を出して勉強を始める。


すると、右後ろに気配を感じ振り向くと、そこには前髪を上げて後ろに流す感じの髪型で、目が鋭い、不良系の男性が立っていた。


男性の顔をよく見ると、まつげが長く、若干、おでこにニキビががあるものの顔は整っていてイケメンだ。


リンは、男性がじっと睨んでくるので、体がこわばる。


「あ、ごめん。隣の椅子に荷物置いてて。勉強の邪魔しちゃったね。」


リンは、男性の声を聞いて、どこかで聞いた事あるなと思う。


「ん?どこかで会った気が・・・」


「え?あ、今日、前髪上げてるの忘れてた。ごめん。ごめん。」


と、男性は前髪を前に下ろすと、影山蔵人だった。


「あ、あ、あー!ウソー!何でこんなところに!」


普段の影山蔵人の姿から、図書館で勉強するような人には見えなかったので、思わず叫ぶ。


「ちょ、声、大きいって!」


周りの利用者の目が二人を睨み付けていた。


それはまさしく


黙れ!バカップル!


と言わんとばかりに。


「「すいません。」」


リンと影山蔵人は頭を下げた。


頭を上げると、影山蔵人は椅子の上のカバンを手に取ろうとしたところ、リンにカバンを押さえられた。


そして、リンはカバンののってる椅子をポンポンと叩き、影山蔵人に座るように指を指す。


影山蔵人は、リンの動きの意味が分からず、くびを傾げる。


「俺、そっち行くよ?」


「違うよ。ここに座って勉強すればいいでしょ?どうぞ。」


リンは、そういうと自分の勉強に戻る。


影山蔵人は、少し悩んだが、リンの言葉に甘え、前髪を上げながら椅子に座り、カバンから教科書と参考書を出して勉強を始める。


リンは、チラッと影山蔵人の横顔を見ると、何かイケメンだなぁと思う。


イケメンで優しい、動物好き。


陰キャだけど。


リンは、自分が影山蔵人の事を考えてる事に気付き、何だか恥ずかしくなり、顔を赤くする。


影山蔵人がリンの目線に気付き、目が合う。


「あれ?顔赤いよ?熱あるんじゃない?」


リンは、ドキッとする。


誰のせいじゃ!ギャップ凄すぎ!そりゃ、意識しちゃうでしょ!


心の中で叫んだ。


「・・・大丈夫。」


リンは勉強に戻る。


影山蔵人は、リンの横顔をマジマジ見た。


「・・・可愛い・・・」


「・・・え?何か言った?」


リンは影山蔵人の声が小さくて聞こえず、聞き返す。


「い、いや、何も。」


影山蔵人は勉強に戻りました、リンも勉強に戻る。


影山蔵人は


気づかれなくて良かった~

心の声、ダダ漏れじゃん!


と心の中で、自分に突っ込みを入れた。


その後、二人は集中して勉強を進めた。


周りからみれば、カップルが一緒に勉強していると見られる光景だが、二人は気づかない。


夕方になり、二人は椅子の上で背伸びした。


「さて、帰るか。」


「俺も。」


二人は荷物をカバンにしまうと、一緒に図書館を出る。


「影山君、よく図書館使うの?」


「うん。土日は自宅のエアコン使わないようにしてるんだ。電気代高くなるから。」


「なるほど。今度、一緒になった時も一緒になった時勉強しよ。仲間ができたみたいで何か良かった。」


「まぁ、良いよ。」


「やった。明日も来る?」


「その予定だよ。」


「じゃ、私も来るね!また明日!バイバイ!」


リンは手を振りながら走って行った。


影山蔵人は、リンに手を降り返しながら見送る。


「俺、何か幸せだなぁ。」


影山蔵人はボソッと呟いた。



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