昼ごはん
ビーチバレーが終わると、皆、動いたこともあり、お腹ペコペコ。
海の家に戻ると、タープが張ってあるバーベキュースペースが準備され、そこには串に刺さったバーベキュー肉、貝、野菜が用意されていた。
「お昼、用意しといたよ。」
とおばちゃんが言う。
「「ありがとうございます!」」
皆は、お腹が空きすぎて大喜び。
「あと炭に火をつければ良いからね。」
とおばちゃん。
「さて、やりますか!」
とリンが気合いが入った顔をする。
凛々しくてカッコいい。
こんな一面あったんだとクーは思う。
「えっと、炭置けば良い?」
とカレンが炭を一個一個並べていく。
「クーも手伝って!」
とリン。
クーは頷くと、カレンと一緒に炭を並べる。
炭を一面に並べたクーは、
「こんな感じ?」
とリンに聞くと、
「もっと山にしちゃっていいよ。それじゃ、炭に火がつかないかな。」
とリンが答える。
リン曰く、着火材を下に置いて火をつけると火が上に昇るから山でいいそうだ。
クーは炭の準備が終わると着火材に火をつける。
すると、すぐに火がつき、炭に火が当たる。
なんか甲高いような音がしながら、火が広がり、上がっていた白い煙も少なくなって、炭が赤くなっていく。
「クー!うちわで仰いで!今がチャンス!」
「え?あ、はい。」
すクーはうちわをパタパタすると、炭が赤くなり、火が上がった。
ちょっと感動。
焚き火にはリラックス効果があると言うが、本当だと思う。
あー落ち着く。
「さて、バーベキュー始めようー」
と有紗。
「「おー」」
続くリン、アンナ、カレン。
クーが何も言わないでいると、四人から
言わなきゃ、ご飯ないよ?
みたいな目線が刺さる。
「お、おー」
とクーが呟き、バーベキューが始まった。
バーベキューが始まると、皆は笑顔でうまい、うまいと食べている。
皆、仲良いなぁ
とクーは思った。
バーベキューなんていつぶりだろ?
小学校かな。
あの時は楽しかったな。
友達にも気を許せたし。
だけど、いつの間にか関わらなくなった。
全部、自分が悪いのは分かってる。
ただの八つ当たりだった。
だけど、あの時は受け入れられなかった。
皆の言葉痛かった。
中学は1人が当たり前。
修学旅行も行かなかった。
「何、楽しんでんの?また裏切られるよ?」
そう言うのは、黒い自分。
「そ、そんな事、」
「また繰り返すよ。自分が一番分かってるでしょ?」
自分と向かい合う。
「俺は何でここに?」
クーは頭を抱える。
「、ー、ク、クー!」
目の前には、金色に輝く女神、笑顔のリンがいた。
「ぼーっとしてどうしたの?あ!私に見とれちゃった?」
クーは黙って状況を整理する。
「・・・」
「って何か言ってよ!恥ずかしいじゃん!」
リンの顔が赤くなる。
「また裏切られるかもよ?後悔しない?」
と黒いクー。
黒いクーは無表情だった。
これ、昔の俺だ。
周りを皆、敵だと考えてた頃の。
「・・・大丈夫。それも含めて俺が好きなんだよ。今まで辛かったよな。」
と小声で呟くと、黒いクーは笑顔になると消えていく。
「?」
首を傾げるリン。
あ、俺、幸せだな。
クーは思う。
大丈夫。
俺は大丈夫だ。。
と。
「・・・ありがとう。」
クーはか小声で言うとうつ向く。
「え?何?」
クーは顔を上げて笑顔でリンに伝えたい。
溢れる気持ちを。
「大好きだ。」
「んー!」
リンは顔を赤くして黙る。
クーも顔が真っ赤だ。
「あー、またイチャイチャしてるー」
「場をわきまえたまえ。」
とアンナとカレン。
「まぁまぁー日本の少子化問題に貢献してもらわなきゃいけないからーからかっちゃダメだよー」
と有紗。
「ち、違うから!」
リンがワチャワチャし、それを見ながら苦笑いなクー。
この後、楽しい昼ごはんを食べた皆だった。
「ちょっとトイレ。」
クーはトイレに行く。
「来て良かったな。」
とクーは呟く。
手を洗って、トイレを出ると、
「あれ?影山くん?」
振り向くと、そこにいたのは中学の同級生の緑山さやかだった。




