海に行こう!
クーとリンが恋人同士になった。
が、学校でのクーとリンの関係は変わらず、クーは相変わらず、前髪を下ろし、机に突っ伏して寝ているし、リンもアンナとカレンと話したりしていた。
帰りは、公園で二人は合流して一緒に帰っていた。
「来週から夏休みだね。どこか行こうよ。」
リンがクーに笑顔で言う。
「どこに行こうか。リンは行きたいところある?」
「海行きたいな。」
「海かぁ。いいね。海行くか。」
「うん!やったー!海ー海ー!」
「リン、はしゃぎ過ぎだって。」
「ねぇねぇ。週末空いてる?」
「空いてるけど、どうしたの?」
「私、新しい水着買いたいんだ。一緒に買いに行こうよ。」
「あ、え、わかった。」
クーの顔が赤くなる。
「私の水着姿を想像しちゃった?クーはエッチだなぁ。」
「い、いや、別に、想像してないし。」
「今度の休み、楽しみだね!私もクーに可愛いって思われる水着を選びたいな。」
「り、リンはどんな水着でも可愛いよ。きっと。」
「ありがとう。クー。」
二人は、キャッキャッと盛り上がっていた。
周りにいた散歩のご老人達は、
「若いっていいわね」
「私もあと50年若ければね」
なんて声が聞こえる始末。
まぁ、盛り上がってる2人は全く気付いて無いけど。
「なぁ、リン」
「ん?なに?」
「海に行くのは嬉しいんだけど、その、水着って、そんなに露出の多いやつじゃ、その、俺が困るんだけど」
「えー、クーが困るって、なんで?」
「いや、だって、その、リンが可愛いのは知ってるんだけど、そ、その、なんて言えば良いんだろ。とにかく、あんまり、露出が多いと、心配になるんだよ。」
「ふふ。心配って、私が何かされるんじゃないかって心配してるの?」
「そ、そうだよ。リンが可愛いから、その、変な奴に言い寄られたりしないかなって。」
「ふーん。クーって、意外と独占欲強いんだ。」
「そ、そうかも。」
「でも、大丈夫よ。私がクー以外の男の人に、興味示すわけないじゃない。」
「そ、そうだよな。」
「でも、クーがそう言うなら、あんまり露出の多い水着はやめておくね。」
「ほんと?ありがとう。」
「その代わり、クーもちゃんと私のこと見ててよね。」
「ああ、もちろん。」
「あと、一緒に水着選びに行こうね。」
「ああ、わかった。」
そして週末。
クーとリンは桜花駅で待ち合わせをし、近くのダポというスポーツ量販店に来た。
この日、休みだからかクーは前髪を上げている。
夏のシーズンという事もあり、ビキニにワンピース等の水着がズラリと並んでいる。
「可愛いのいっぱいある!テンション上がるね!」
「さすが夏だな。」
「どれにしようかな?」
リンは真剣に見ている。
クーは、そんなリンを見ながら、
何でも似合うでしょ!
と考えていた。
リンは、青に白いラインが入ったビキニと黄緑の胸にはフリル、下がショートパンツのようになっている水着、黒に紫のラインが入ったワンピース型の水着の3つを手に取る。
「試着してくるね!」
「うん。わかった。」
リンが試着室に入る。
クーが待っていると。
「おい!陰キャ!何してんだよ!お前が水着買いに来たのか?行く友だちなんていないだろ!」
絡んできたのはアキトだった。
後ろには、太陽と隼人がいて、「おい!やめろって!迷惑だろ!」等とアキトに言ってるが、聞く様子は無い。
「何だ?連れか?いつも冴木さんにちょっかい出してるのに、違う女かよ。良い身分だな。ついでだから俺たちも見てやるよ。」
「違う。関係ないだろ。向こう行けよ。」
クーがアキトを睨む。
こんな奴らに、リンの水着姿見せてたまるか!
とクーは思った。
「何だ?自信無いのか?はっ、まぁ、見なくてもわかるけどな。行こうぜ。」
アキトは、太陽と隼人に声をかけると、どこかに行ってしまった。
「何だ、あいつ。」
クーの眉間に皺が寄る。
「クー?大丈夫?」
リンが顔だけ出して、心配そうに声をかける。
「もう向こう行ったから大丈夫。」
「如月くん、クーへの当たりきついし、私の話も聞かないから苦手。最初はあんな感じじゃなかったのに。」
如月は、リンの事が好きだから空回りしてるんだよな。
リンは気づいてないけど。
今は俺の彼女だから、しっかり守らなきゃな。
とクーは思う。
「ねぇねぇ、水着着てみたから見て!」
リンがカーテンを開ける。
「!」
クーは固まる。
青に白いラインが入ったビキニを着たリンがいた。
胸の谷間が強調され、ビキニパンツから伸びる足も細くてきれいで、、非常に色っぽい。
もう何!?
そのお腹周り!
クビレすご!
おへそ可愛い過ぎ!
「どう?」
リンが不安そうに聞く。
似合わない訳がない!
が、クーは
「凄い可愛い。何かセクシーすぎる。似合うけど、この姿を見ながら遊べる余裕がないかな。ずっと見ちゃう。もっと露出抑えめでお願いします!」
「え、あ、うん。わかった。ちょっと攻めすぎたかな。」
リンが照れた顔でカーテンを閉めた。
クーは、
この後のリンの水着姿見たら、幸せ過ぎて、俺、死ぬ?
まぁ、悔いはない、・・・あるな。
可愛い水着のリンと海で遊びたい!
と頭の中はそんな感じ。
「クー。次の見て!」
リンが顔だけ出して、クーに話かける。
「うん。見せて。」
「ジャジャァーン!」
リンはカーテンを開ける。
「!」
固まるクー、再び。
「変かな?」
リンが顔を赤くしながらいう。
黒に紫のラインが入ったワンピース型の水着を着たリン。
ワンピース型の水着のため、リンのスタイルの良さが際立ち、胸の谷間は見えないものの、形の良さと程よい大きさの胸、スラッと伸びる足が神々しい。
背中はほとんど出ており、白く美しい肌がこれでもかと主張しているのもアクセントだ。
「・・・良い。」
クーが呟く。
本当に女神っているんだなと思う。
「そうかな?嬉しい。」
リンが恥ずかしそうにモジモジする。
クーは、
可愛い過ぎて死ぬ!
これ、今日、世界が滅ぶんじゃね?
遊ぶ前に俺死ぬ!
俺!冷静になれ!
今日は、水着を選びに来たんだろ!
「・・・リン、もう1つも着てみなよ。」
「そ、そうだね!」
リンはカーテンを閉めて、3つ目の水着を着始める。
クーは、深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
このままでは、下半身に血がたまって大変な事になる。
彼氏がこれじゃダメだ!
とクーは気合いを入れ直す。
「クー!どうかな?」
黄緑の胸にはフリル、下がショートパンツのようになっている水着を着たリン。
胸はフリルで隠れているため、色っぽさを抑え、ショートパンツ型の水着も程よく足を隠していて、さっきのセクシーさは無いが、色合いといい、とても良い。
「・・・可愛い。似合ってるよ。」
リンが顔を赤くする。
「ど、どれにしようかな。クーはどう思う?」
「今のやつが良い!とっても可愛い!他の男には見せたくないくらい!」
「でも、子供っぽくない?」
リンがセクシー水着の方を見る。
「そっちも好きだけど、・・・正直に言うけど、リンがそれ着たら、俺、多分、海まで持たない!多分、死ぬ!ドキドキし過ぎて遊べない!だから、今の可愛いのでお願いします!」
「あ、え、うん。わかった。じゃ、これにしよっと。」
リンはカーテンを閉めると、恥ずかしさのあまり、その場にしゃがみこむ。
クーも男なんだよね。
私の事、女性としてしっかり見てくれたんだ。
関係が深まったら、セクシーなの着ても良いかな。
クーの前だけ。
と思っていたのは余談である。
その後、リンが着替えてから、クーの水着も選んだ。
クーの水着は、黒いハーフパンツ型の水着で、合わせて黒いラッシュガードも選び、すぐ決まった。
男は、そんなもんだ。
クーとリンは買った水着を持って帰る。
「海、楽しみだね!」
と笑うリン。
「そうだな。楽しもうな。」
とクー。
こうして、待ちに待った夏休みに突入するのだった。




