表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/33

恋のキューピッドは突然に

次の日、昨日のアキトとのトラブルの事を考えて、クーは図書館に行くのをやめ、公園で勉強することにした。


クーは勉強道具を持ち、公園に向かった。


公園は、休みという事もあって、家族連れが多かった。


クーは東屋の机に参考書を広げ、勉強を始める。


一時間くらい集中していたが、キリが良くなったところで、目をつむって背伸びする。


「あー、疲れた。体、カチカチだよ。」


クーが目を開けると、目の前にリンがいて、本を読んでいた。


今日のリンの格好は、黒いワンピースに白いジャケット姿、髪は後頭部の上でポニーテールにしていて、とても可愛い。


「・・・可愛い。」


クーが思わず、言葉をこぼす。


「ありがとう、クー。おはよう!全然、気づかなかったね。集中してた証拠だね!」


リンが笑顔で言う。


「あ、え、おはよう。今日は図書館に行かないの?」


「うん。昨日の事があるからね。アンナとカレンも家でやるってさ。」


「そうなんだね。って、そういえば、いつから居たの?声掛けてくれればいいのに。」


「いつ気付くかなって、何となく待ってたんだよ!全然、気付かなかったけど!」


リンの笑顔が怖い。


「何かごめん。」


クーは思わず、謝る。


「まぁ、いいけどね。・・・可愛いって言ってくれたし。」


「ん?今なんて?」


「何でもないよ。そういえば、昨日はごめんね。何か迷惑かけちゃって。」


「リンが謝る必要は無いよ。あの野郎がいけないだけだから。」


「昨日、あの後、どうしたの?」


リンは、クーが公園で犬を連れた美女と話をしていたのは知っていたが、あえて聞いてみる。


「公園にいたよ。行くところなかったし。」


「ふーん。1人で?」


「まぁ、そうかな。」


リンは


昨日、女性と会っていた事を隠してる?


実は彼女?


と思う。


「本当に誰とも会わなかった?神様に誓う?」


「ど、ど、どうしたの急に。神様に誓ってもいいか、と思ったけど、前にいた迷い犬の飼い主さんには会ったよ。だから誰にも会ってない事はないね。」


リンは、


あれ?隠さない?


やましい事はない?


てか、私達、お付き合いしてないから、クーに彼女がいても、別にやましくないか。


何で私、クーに彼女がいるか気になるんだろ?


モヤモヤする。


と思う。


「この前のお姉さんね。綺麗な人だよね。」


「まぁね。」


クーの表情が曇る。


「ごめん。聞いちゃまずかったよね。私がズカズカ聞いて良い事じゃなかったよ。」


リンは笑いながら言ったが、ひきつっていた。


クーは、


リンが俺の事を気にしてる?


まさか焼きもち?


リンって、俺の事好きなのか?


と思う。


二人はしばらく黙っていた。


「ワン!」


「こら、吠えないの!」


柴崎すみれだった。


「昨日はどうも。」


「こんにちわ。」


クーとリンがあいさつする。


「あ、今日は彼女も一緒だね。ってまだ付き合ってないか。」


「ち、ちょっと。リンに迷惑なんでやめてください!」


クーがとっさに言う。


「え?」


リンの思考が止まる。


私はクーの彼女になれる?ってこと?


私はクーの彼女になりたい?


うん。なりたい。


クーの優しいところが好き。


何も言わずに、私を助けてくれるクーが好き。


私、このお姉さんに嫉妬してたんだ。


クーも私の事を思ってる。


私がクーの彼女に見られて迷惑な訳がない。


私、クーの彼女になりたい。


クーの特別に。


「・・・迷惑じゃないよ。」


「あ、リン。ごめんね。そんなつも、」


「迷惑じゃない!」


「え?」


「私は、クーの彼女になりたい!クーの事が大好きなの!他の女人と話してるクーを見ると、胸がモヤモヤするの!嫌なの!私、クーが好き!」


リンが叫ぶ。


「あらあら、お邪魔虫は退散するかな。がんばれ!若人!」


「ワン!」


柴崎すみれは走ってどこかに行ってしまう。


「リン。今の本当?」


「本当。」


「俺なんかが好きなの?」


「好き。大好き。」


「俺、陰キャだよ?」


「関係ない。クーは私に優しい。」


「俺、リンに釣り合わないよ?」


「そんな事、誰が決めたの?私はクーが良い。」


クーは、息を吸った。


「俺もリンが好きだ!明るいところも、何も言わずにそばにいてくれる優しいところ。顔も可愛い。全部が好きだ。俺は、ひねくれ者だし、陰キャだし、友達いないし。自慢するところなんて一個もないけど。世界で一番、リンが好きだ。俺もリンが良い!付き合って下さい。」


「うん。」


リンは満面の笑みで答える。


「あ、でも、浮気したら許さないから!」


「するわけないだろ。」


「フフフ。これからよろしくね。クー。」


「こちらこそ。よろしく。」


2人の顔は、真っ赤で、幸せそうに笑い合っていた。


こうして、陽キャのリンと陰キャのクーが付き合う事になったのだ。


「犬のお姉さん、ありがと。」


リンは小さい声でお礼をいうのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ