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・・・俺は、冴木さんのために・・・

リンは、図書館前でアンナ達と合流した。


「リン、なんか、今日、気合い入ってない?まぁ、クラスのイケメン達いるからね!」


アンナがリンに笑顔で言う。


「別にいつも通りだよ!変な事言わないで!」


リンが言い返す。


「まあまあ。リンもお年頃だから!」


カレンが言うと、


「カレン!おばあちゃんか!」


とリンが言い返す。


「さて、皆、図書館入ろうぜ。」


太陽が言うと、皆、ぞろぞろと図書館の中に入っていく。


図書館の中は、本を読む人、勉強する人等がまばらに机に座っていた。


その中に、前髪を上げたクーもいる事にリンは気づいた。


奥の方に空いている8人掛けの机を見つけ、リン達がそれぞれ座る。


リン達は、机に座ると荷物を机に広げる。


が、リンはポシェットを置いて気付く。


勉強道具無いじゃん!


「やっぱり、リン、勉強道具持ってきてないよね。ポシェットだけだし。」


カレンが苦笑いしながら言った。


「あー、やっちゃった。」


リンも苦笑いする。


「今日、リンは先生だから良いよ!さぁ、どんと来い!」


アンナが笑いながら言うと、


「どんと来いって、相撲じゃないんだから。」


とリンが返す。


「さぁ、図書館だし、静かにやるぞ。」


という太陽。


案外、常識人。


そして、勉強を始める。


二時間くらい集中してやっていたが、不意に集中力が切れた。


「あー疲れた。」


カレンが呟く。


「ちょっと休憩しよう。」


リンがそう言うと、皆がそれぞれ体を伸ばしたりして、体をほぐす。


「ねぇねぇ。あの男の子、かっこいいよね。けっこうイケメン。絵になるわ。」


アンナがクーを見ながら言うと、隼人が


「ああいう人が好み?」


と聞き、


「まぁね。イケメンは良いよね。絵になる。」


とアンナが返す。


「確かにカッコいいよね。私、声掛けてくるよ。」



とリンは席を立ち、クーのところへ歩いて行く。


「え?」


皆、頭の中は?が止まらない。


皆、リンの行動を見て、唖然としていたが、リンはクーだと分かってるから気にしていない。


「ヤッホー。クーも来てたんだね。勉強?」


クーがリンの方に向くと。


「まあね。アパートに1人でいるより、図書館の方が集中できるからね。リンは皆で来たんだな。」


と返す。


「アンナとカレンがヤバいんだよ。赤点まずいじゃん?夏休みに補修じゃ、かわいそう。」


「そっか。俺に気にせず、勉強してな。」


「ねぇねぇ。クーを見たアンナがカッコいいって言ってたよ。モテモテだね!」


「い、いや、カッコいいなんて、違うから。リンは、き、今日の服似合ってるよ。」


クーが顔を赤くして答える。


「ありがとう。じゃ、私戻るから。またね。」


リンは、満面の笑みで手を振りながら、席に戻っていく。


クーがリン達の机を見ると、アキトがこちらを見ていた。


というか睨んでる。


クーは、アキトがリンが好きで、自分に嫉妬していると感じる。


が、クーは気にしない。


だって、リンが誰に声を掛けても、それほリンの自由だから。


アキトの嫌いだし、無視を貫くクー。


リンが席に戻ると、アキトが


「あれ、誰?知り合い?」


「あれ?皆、あれが誰か分かってない?影山くんだよ。前髪上げてるから分からないか。」


「え!?」


リン以外、皆が大きな声で叫ぶと、図書館の周りにいる人達に睨まれる。


「皆、声大きいよ!迷惑だから!」


リンが皆を落ち着かせる。


「あれ、影山だったんだ。全然分からなかった。」


「イケメン陰キャじゃん!」


アンナとカレンが言う。


「あいつ、うちらの話、盗み聞きしたな。ここまで来るなんて、ストーカーかよ。」


アキトが苦虫を噛んだような顔で言う。


「違うよ。影山くんは休みの日に図書館で勉強するのは、いつも通りだよ。」


リンが慌てて、否定した。


「アキト、考えすぎだぞ?」


「いくら、お前が冴木さんに気に掛けてても、今のはダメだろ。明らかにストーカーじゃないだろ?」


太陽と隼人がアキトに言ったが、


「いや、あいつが盗み聞きしたのが悪い。俺、影山を追い出してくる。冴木さんをストーカーするなんて許せねぇよ。」


アキトは、2人の注意を聞かない。


「え?やめてよ。クー、何もしてないじゃん。」


リンも止めようとしたが、アキトは足早にクーに近っいて怒鳴る。


「おい、何でお前がいるんだよ!冴木さんにストーカーしてるだろ!早く出て行け!」


「・・・」


クーは、何も答えず、無視した。


「聞いてんのか!早く出て行けよ!この陰キャが!」


アキトは、クーの前の机に出されていた参考書やノートを右手で払いのけ、床に落とした。


周囲の視線が二人に注がれる。


図書館の女性職員さんがクーとアキトに近づくと、


「騒ぐなら帰ってください!迷惑です!」


と注意した。


クーは、女性職員さんに頭を下げると、床に散らばった参考書等を拾い、トートバッグに入れると、足早に図書館を出ていった。


「あなたも騒ぐなら帰ってください!」


「すみません。」


アキトが謝ると、女性職員はカウンターに戻って行った。


アキトがリン達のところに戻ると、


「アキトやりすぎだぞ。」


「あいつ何もしてないじゃん。」


太陽と隼人がアキトに言う。


「あいつ、うちらが図書館にいるの知ってて来たんだから、注意するのは当たり前だろ。冴木さんがストーカーされてるんだぞ。」


アキトは反省するどころか、自分が正しいと言い返す。


「クーは、いつも図書館で勉強してるし、今日だって先に来てたんだから、そんな訳無いじゃん。私、クーを追い出してなんて頼んでないよ!」


リンが声を荒げて言う。


「今日は、勉強やめよ。」


「そうだね。これ以上は無理だよね。」


カレンとアンナがそう言うと、皆が荷物を片付けて、静かに図書館を出た。


「・・・俺は、冴木さんのためな・・・」


アキトは、皆に聞こえないような声で呟いた。

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― 新着の感想 ―
>「あれ?皆、あれが誰か分かってない?クーだよ。前髪上げてるから分からないか。」 >「え!?」 なんで皆はクーが影山だと分かったんだろ? リレーの時にリンが影山をクーと呼んで応援したから? このシーン…
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