若いって良いね。
クーとリンは、リンのおじいちゃんとおばあちゃんと一緒に体育祭の打ち上げをした。
たわいもない話ばかりだったが、1人暮らしのクーには、久々の家族団欒みたいな感じで、心が暖かい気がした。
「ちょっとトイレ。」
リンが席を外した。
「蔵人くん。リンの事好きだろ?」
リンのおじいちゃんが、ビールを飲みながらクーに向かって言った。
「え?あ、え?」
「悪い悪い。困らせる気は無かったんだ。で、どうなんだ?」
クーは顔を赤くした。
知り合いがいない高校に入学して、最初は友達なんていらないと思っていた。
ちょっとしたきっかけで、リンと話さしたりするようになった。
多分、仲は良いと思う。
リンは、明るくて可愛いくて優しい。
俺はリンが好きだ。
だけど、リンは?
陽キャなリンが俺をどう思ってる?
陰キャの俺なんて、気持ち悪いんじゃないか?
ここでおじいちゃんにリンが好きだって言ったら、今の関係が壊れるんじゃないか?
クーは黙って考えていた。
「はっはっは。蔵人くん。君は良いやつだな!今、リンで頭がいっぱいだな!」
「あなた、酔っぱらい過ぎよ?蔵人くんが困っちゃうでしょ?」
リンのおばあちゃんがおじいちゃんに注意する。
「だってさ。若いって良いね。」
「・・・はい。」
すると、リンのおじいちゃんが口を開く。
「若人に一つアドバイスしよう。相手の気持ちばかり考えたら、マイナスの事ばかり思いつく。まだ、告白もしてないし、スタートもしてないのにだ。大事なのは、好きな女性を幸せにしたいもそうだが、自分が幸せになるためにどうするか。そして、好きな女性が自分以外の男と付き合っていた姿を想像した時、それが嫌だと思うなら一歩前に踏み出すべきだな。まぁ、蔵人君の気持ちが大事って事さ。ワガママになって良いのさ。まぁ、悩みすぎても良い事無いから、決心したらアタックすると良いぞ。」
「あなた絡みすぎ!」
リンのおばあちゃんが注意するところを見て、クーは苦笑いを浮かべる。
クーは考えた。
リンが自分以外の男と付き合い、幸せそうに笑っている姿を。
リンが幸せなら良いと思う。
けど、このイラッとする気持ちは?
何で俺じゃないんだろうって、少しは思ったよな。
普段、仲良くしてもらってるから?
リンは陽キャで友達は沢山いる。
俺は逆の陰キャ。
釣り合うわけない。
だけど、スッキリしない。
諦めたくないのか?
こんな俺が?
そんな事を考えていると、リンが戻ってきた。
「おじいちゃん!なんか飲み過ぎじゃない?蔵人君、絡まれたでしょ?ごめんね。」
「大丈夫だよ。」
その後、食事を終え、打ち上げは終わった。
クーとリンは、リビングで話した後、クーは客間、リンは自分の部屋で就寝した。
クーは寝ながら、リンの事を考えていて、頭がいっぱいだったが、しばらくすると寝てしまう
翌朝、クーは、おじいちゃんに学校まで車で送ってもい、リンは病院へ行ったのだった。




