もぉー
リン視点。
リンは、クーをお風呂に案内した後、リビングに戻ってきた。
キッチンでは、ジジとババが仲良く料理している。
ジジババは、2人とも68歳。
見た目は、4、50代くらいに見える。
年を重ねても、中が良い姿を見ると、私もこんなふうに年を重ねたいと感じる。
リンは思わず、笑みを浮かべる。
「ジジババは、仲が良いね。私もクーと・・・って、何言ってるんだよ、私。」
リンは1人で呟き、1人で突っ込みをいれる。
クーは優しい。
ちょっと性格がひねくれてるけど。
自分の大事な人には、とても優しいが、嫌いな人とは、とことん話さないし、ます関わらない。
自分が納得しないなら、何を言われても流されないし、自分を貫く。
そもそも、クーと仲良くしてるのは私だけ。
クラスで話してる姿は見たことないし、プライベートも誰かといるの見たことないし。
という私も一緒にいたり、少し話したりするだけだけど。
え?仲良いよね?
私の勘違いじゃないよね?
きっと私は大事にされてる。
普段のクーの接し方を見れば分かる!
クーが私の旦那だったら、私に甘々なのかな。
クーが私の旦那だったら、「リン。はい、あーん。」とご飯を食べさせてくれたり、人混みに入れば、黙って手を繋いでくれたり、夜には・・・、キャー、私何考えてるんだよ。
リンは顔を赤くする。
「あー、クーいないから暇だな。」
リンは、ボソッと呟きく。
「リン!蔵人くん、タオルとか分かった?」
「うん!シャンプーとかは私のやつ渡した。タオル、・・・渡すの忘れてた。ババ!タオルどこだっけ?」
「これ持っていってあげて。」
ババはどこからか出した新品バスタオルとフェイスタオルをリンに渡す。
「ありがとう。じゃ、置いてくるね。」
リンはバスタオルとフェイスタオルを持って脱衣場に行く。
「さすがに、まだ入ってるよね。ドア越しに声かけたら驚くかな?」
え?リン?どうしたの!?
とドアの向こうで慌てるクーの姿を想像する。
リンは、クーが驚く姿を想像して思わず笑ってしまう。
「さて、クーはどんな反応かな?」
リンは脱衣場のドアを開けた。
目の前には、濡れた素っ裸なクー。
クーは、体を鍛えているようで、普段のダボダボした制服や私服じゃ想像できない程の細マッチョ。
お姫様抱っこされた時に力が強いのは分かっていたけど、鍛えてたんだね。
腹筋は、1、2、3、4、5、6、7、8、数えられるくらい。
まるで、板チョコじゃん!
下半身は、パパのしか見たことないけど、こうなってるのか~
パパは、下向いてたけど、クーは上なんだね!
って、お風呂上がるの早くない!?
何で、もういるの!?
って私、どこ見て、何考えてんだ!
リンは顔に血が集まるのを感じる。
きっと顔、真っ赤だ。
そうだ、タオル渡さなきゃ!
「「・・・」」
リンは、慌ててバスタオルとフェイスタオルをクーに押し付ける。
早く戸閉めなきゃ!
クーが風邪ひいちゃうもんね!
リンは急いで廊下に出て、脱衣場のドアを閉めた。
何か何か言わなきゃ!
別にクーは悪くないじゃん、
急にドア開けた私が悪いんだから!
「急に開けてごめんね!見てないから安心して!じゃ、着替えたらリビング来てね!」
リンは真っ赤な顔でリビングに走っていく。
右足をケガしている事も忘れて。
リンがリビングに行くと、おばあちゃんがいて、リンの顔をジーっと見る。
「リン、熱あり?顔赤いよ?大丈夫?あと足大丈夫?」
リンは、ドキッとしながら
「大丈夫!モーマンタイだよ!」
おばあちゃんは、首をかしげながら、
「何で中国語?」
と言って、キッチンに行ってしまった。
「もぉー!」
リンはソファーでクッションを抱きしめ、バタバタするのだった。




