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運命の交差点

入学式から一週間が経った。


リンの高校生活は充実していた。


金曜日の六時間目の体育のあと、リンは体育倉庫でボールを片付けていた。


この日は、帰りのホームルームが無く、片付けが終われば、帰れる日だった。


薄暗い倉庫でリンは作業を進め、


「もうちょっとで終わりかな」


と呟いた。


突然、「バァーン!」という大きな音。


強風にあおられたのか、鉄製の扉が勢いよく閉まり、倉庫内は真っ暗になった。


リンは驚き、思わず「ひゃーっ!」と声を上げた。



心臓がバクバクと鳴る中、リンは手探りで扉に向かう。


しかし、扉はがっちりと閉まっており、びくともしない。


「まさか…。」


リンは冷や汗をかきながら、もう一度扉を力いっぱい押してみるが、やはり開かない。


「誰かー!助けてー!」

リンは必死に声を張り上げた。


しかし、返事はない。体育倉庫は学校の一番奥にあり、今、ここにいる人はリンしかいない。


「まさか、閉じ込められた…?」


恐怖がリンを襲う。


窓はなく、鉄製の扉は外からしか開けることができない。土日は学校が休みなので、月曜日まで誰も来ないかもしれない。


「どうしよう、どうしよう…」


リンはパニックになり、体育倉庫の中を何度も歩き回る。暗闇の中で、自分の心臓の音だけが大きく響く。


「誰か…誰か助けて…」


リンは震える声で呟いた。


しかし、返事はない。体育倉庫は静まりかえり、リンの絶望感は募るばかりだった。


目からは涙が溢れてくる。


ガチャ


あんな頑丈だった扉が開いた。


リンが見ると、そこにいたのは・・・影山蔵人、陰キャだった。


「え!?影山くん!?」


影山蔵人はリンを見ながら言う。


「下校時間過ぎてるよ。早く帰りな。」


振り向いて、立ち去る影山蔵人。


「えー、なんでそんなこと言うの!この状況だよ!?影山くん、先生じゃないし、自分もそうだよ?もっと驚くべきだよ!って話聞けえぇぇー!」


影山蔵人は何も答えずに言ってしまった。


「私を探してくれてたのかな?まぁ、助かって良かった。」


リンは呟くと、教室に戻り、荷物を持つと帰宅したのだった。


リンの中で影山蔵人の存在が印象に残った瞬間だった。


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