せ、せ、セクハラじゃ無いから!
クーは、帰り道に桜花公園を通る。
この公園には、野良猫か飼い猫か分からないが、人懐っこい猫がたくさんウロウロしている。
クーは動物好きで、たまに公園て猫と戯れている。
一度、その姿をリンに見られた事があるが気にしない。
ちょっと恥ずかしいけど。
クーは、公園の真ん中辺にあるベンチに座る。
すると、虎柄のポッチャリ猫が寄ってくる。
「お!今日は殿下じゃん!久しぶりだね。」
クーは殿下と言った猫に話しかけながら、背中を撫でる。
何か、雰囲気が王族っていう感じで、俺は勝手に殿下と呼んでいる。
殿下は、嫌がる事無く、撫でられていた。
あぁ、今日は色々あったけど、気分が良いな。
こんな気分のまま寝て、最高の1日を締め括りたいな。
なんてクーは思いながら、猫と戯れている。
その時、誰かに見られている気がした。
クーは猫を撫でながら、周囲を見る。
まぁ、俺の事見てるやつなんて、
こっちにスマホを向けて、笑顔で見ているリンがいた。
あ、いたわ。
しかも、笑顔なのに何か怒ってません?
カシャカシャ
リンのスマホから写真をとる音がした。
「!」
クーは、とっさの事に言葉が出ない。
「インサタで、写真拡散じゃ!この嘘つき!」
保健室行くって嘘ついたから怒っている?
俺みたいな陰キャ、ほっとけば良いよね?
つか、打ち上げどうした?
てか、拡散じゃってやめて!
俺のプライバシーが~!
クーは色々思うが、言葉にならず、若干パニック。
「一緒に頑張ったのに、勝手に帰るなんてひどくない?まぁ、そこの可愛い彼女がいれば、仕方ないかもしれないけど。」
リンは、殿下を指差す。
「オスかメスか分からないけどね。」
「確かに。私も分からないや。」
「打ち上げ行かないの?」
「クーが行くなら行く。」
「俺、クラスで浮いてるからいいよ。リンは行った方がいいんじゃない?」
「クーってクラスで浮いてる自覚あるんだ!」
「・・・まぁ、ね。」
「うーん。足痛いから私も行かない!」
「あ!足、大丈夫?」
クーが心配そうに言うと、リンは笑顔で答える。
「痛い!無理!送ってって!」
「痛いよね。お姫様抱っこでいい?」
「いや、お姫様抱っこは恥ずかしいよ・・・。途中までついてきてくれればいいから。」
リンが顔を赤くしながら慌てて答える。
「はいよ。痛かったら言って。抱っこして上げるから。」
「抱っこはいいから!」
クーは殿下を撫でながら
「殿下。また今度ね。」
と言うと、クーは立ち上がり、リンの方に来た。
「殿下、バイバイ。」
リンが殿下に手を振る。
そして、二人は歩き出すが、リンは足の痛みで歩くのもやっとだった。
「リン。ごめん。」
リンは、一瞬、何謝ってるの?と思ったが、クーはリンの右側に来ると、リンの右手を取ると自分の首に回し、左手でリンの左脇を抱えて支える。
「せ、せ、セクハラじゃ無いから!右足痛そうだから!俺に寄りかかれば良いじゃん!?」
リンはクーの顔を見ると、クーの顔は真っ赤だ。
「く、く、クー?落ち着いて!」
慌てるクーをリンは落ち着かそうとする。
リンはクーに支えて貰って歩くのが楽になった。
それにしても、クーって体ガッチリしてるなぁ。
いつもダボダボな服着てるから細く見えるのに、実はマッチョ?
なんて、リンは思う。
対してクーは
心臓の鼓動が凄い
早すぎる
リンの良い匂いも近すぎて鼻をくすぐる
理性がぶっ飛びそうになりながら、何とか浅い呼吸でリンの良い匂いをかがないようにするクー。
だって、今まで女の子と何て触れた事無いし、そりゃ、ドキドキするさ!
クーはリンを支えて桜花駅まで来た。
「クー。電車乗るから、ここまでで良いよ?ありがとう。」
「・・・」
クーは、リンにそう言われたが、タクシープールまで来た。
「て、て、てれてってってってー。親のカード~!リン。心配だから送るよ。親にも緊急時はカード使えって言われてるから。」
「え?良いよ!何とか帰れるって!」
「じゃ、救急車呼ぶよ?タクシーと救急車、どっちが良い?」
クーの顔は真剣だ。
「・・・分かったよ。タクシーでお願いします。」
こうして、クーとリンは二人でタクシーに乗り、リンの住んでる祖父母の家に向かうのだった。




