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第一章

5月の暖かな陽射しと爽やかな風の中、

『益戸スプリング・フェスティバル』が開幕!

アヤカ達カフェ・ヴェルデの目玉は

特製のハニーレモネード!

お天気にも恵まれ楽しんでいたら、

突然目の前に倒れ込んできた人が!

慌てて助け起こそうとすると、え・・・血!?

「・・・ハ・・・二・・・モ・・・・・」

え!?何て!?

ハニーレモネード??

この悲劇にフェスティバルは大混乱!

またしても事件に巻き込まれたアヤカ達。

みんなで楽しんでいたイベントを

メチャクチャにするなんて絶対に許せない!

様々な人々の思惑が渦巻く中で見つけた悪意と、

隠された悲劇の真実?

そしてアヤカに訪れた出会いと別れ!?

【主な登場人物】


鈴井アヤカ・・・・・・カフェ・ヴェルデのオーナー

平原ミナ・・・・・・・カフェ・ヴェルデの

           パティシエ

神宮寺チカ・・・・・・カフェ・ヴェルデの

           スタッフ、アヤカの妹

柏原教授・・・・・・・千花大学園芸科の教授

庄治マコト・・・・・・千花大学園芸科の准教授

鈴井ショウコ・・・・・アヤカ、チカの母、

           歯科医院経営

阿部ユキコ・・・・・・益戸タウン社編集長

上川ナオキ・・・・・・益戸市役所生活安心課課長

上川カヤコ・・・・・・ナオキの妻

大塚イサオ・・・・・・益戸市役所生活安心課部長

山村ミツコ・・・・・・益戸市役所の庶務課勤務

山中ユウイチロウ・・・益戸副市長

松永シゲル・・・・・・益戸副市長 秘書

古賀ユウジ ・・・・・・スパイスツリー 店主

古賀モナ・・・・・・・ユウジの妻

高崎テツオ・・・・・・ 石井豆腐店 店主

高崎シズオ・・・・・・テツオの息子

井川ジュン・・・・・・イタリアン料理店、

           ル・アズールオーナーシェフ

沼田タケシ・・・・・・クラブ「シュバリエ」経営者

平塚ユウセイ・・・・・クラブ「シュバリエ」

           スタッフ

羽鳥コウサク・・・・・ミズキ銀行益戸支店長

泊里カイリ・・・・・・ミズキ銀行益戸支店営業

一之瀬警部補・・・・・益戸署捜査課の警部補

久保刑事・・・・・・・益戸署捜査課の刑事



【エピローグ】

はぁ、はぁ、はぁ・・・。

激しい息遣いが聞こえてくる。

それは自分のすぐ前を走る彼女の口から漏れていた。

原生林がまだ残る深い森の中は闇夜に包まれ、

頭上の枝の隙間から差し込む

冴え冴えとした青い月明かりだけが頼り。

足元では小枝がパキパキと音を立て、

夜露に濡れた草で足が滑りそうになる。

私達は何も楽しくランニングしているわけではない。

時々振り返る彼女の顔は、恐怖に歪んでいた。

彼女は黒いワンピースを翻しながら、

必死に逃げていく。

・・・そう、私から。

不本意ながら、

私達は逃げる者と追う者の関係になっている。

・・・止まって!

お願い、話を聞いてほしい。

話せばわかるから!

もう少し、もう少しで彼女の肩に手が届く。

そうすれば・・・!

大きく手を伸ばした。

その時、

パーーーーッ!!!

突然、甲高いクラクション音が辺りに鳴り響いた。

眩しい!!

目が眩み、思わず足を止めた瞬間、

目の前を走っていた彼女は、

よろけるように森から道路へ飛び出していた。

強烈な光が彼女を包み込み、

黒いシルエットへと変えていく。

キキィーー!!

ドンッッ!!

・・・嫌な音がした。

一瞬、時が止まったかのように、

静寂な森に戻った。

数秒、、、経っただろうか。

誰かの声が聞こえ、目が正常に戻ると、

すぐ先に黒い軽自動車が止まっているのに気づいた。

・・・バタン!!

両扉から転がるように人が出てきた。

「・・・マズイ!人だぞ!?人を轢いた!?」

「大変!どうしよう!!」

反射的に身を縮めて木の陰に隠れた。

「急にいきなり飛び出してきたんだ!」

「早く!電話!救急車!!」

誰か二人の焦った声が森に響き渡る。

こっそり首を伸ばしてみる。

車のライトに照らされて、

道路に横たわる彼女の姿と、

若そうな男女の姿が見えた。

他には車も人も通りかからない。

黒いワンピースを纏った彼女は

ピクリとも動いていなかった。

うめき声も聞こえない。

・・・どうしよう!助けないと!

立ち上がろうとしたけれど、

ガクガクと足が震えて力が入らない。

「ヤバい!コイツ、全然動かねーぞ!?」

「この人、急に飛び出してきたよね!?

ねえ!アタシたち悪くないよね!?」

闇夜に言い争いが木霊する。

・・・私も、手伝わないと、で、電話して・・・。

ポケットの携帯電話を握ったが、

気づけばまたうっそうとした森の中を

疾走していた。

今度は独りきり。

足は鉛のように重い。

何度も足を取られそうになった。

でも足を止めるわけにはいかない。

・・・早く、早くここから離れなければ!

それだけを考え続けた。

暗い方へ、闇の中へ。

夢中で森の中を走り続けた。

・・・そうだ。

さっきの車の二人組に自分の姿を見られただろうか?

恐怖と絶望が波のように襲ってきた。

・・・ううん、彼女のほうを見ていたし、

自分は見られていないはずだ。

・・・彼女はどうしただろうか。

生きているのか?

彼らに何か話しただろうか?

私の名を?

・・・あの事を?

それとも・・・もしかして・・・死んだ?

・・・そう、だったら・・・、、、

だったらそのほうがいい。



【第一章】

「・・・さ来週はきっと暑くなると思うから、

コレが一番いいんじゃない?」

アヤカの持つグラスの氷がカランと

涼やかな音を立てる。

「そうね。じゃあやっぱりコレで」

ミナが微笑んだ。

「わたしも賛成!

このハニーレモネード、

暑い時にピッタリじゃない?

ハチミツも程良い甘さで。

レモンもハチミツも身体にイイし、

小さい子供達でも飲みやすいと思う」

チカは手にしたグラスを高く持ち上げた。

テーブルにはハニーレモネードのグラス、

そしていくつかの焼き菓子が並んでいた。

ハニーレモネードはミナが何度も試作を重ねた、

特製のハニーレモネードシロップを

ミネラルウォーターで割ったものだ。

レモンの果汁をベースに柑橘系の果汁を二種類加え、

ハチミツのまろやかさな甘み、

程よい酸味と爽やかな風味が喉を通り過ぎる。

意外かもしれないが、

益戸はレモンの生産地でもある。

特産といえば梨が有名だが、

市内には傾斜を利用したレモン畑があちこちにあり、

街にはそのレモンや柑橘系の果実を利用した

レモンスタンドの店もある。

まだまだ生産量は少ないものの、

益戸市は檸檬を特産物にしようと、

力をいれているところなのである。

「じゃあ、ウチのメインは

このハニーレモネードは決まりでいいわね?

飲み物は・・・一種類にする?ミナ」

「そうね・・・ハニーレモネードシロップは

まだまだ沢山作るつもりだから、

炭酸水と割ってハニーレモネードソーダに

してもいいし、冷たい紅茶と割って、

ハニーレモネードティーとかも

いいんじゃないかと思ってる」

「あ、どっちもいいわね!

すっごく暑い時のソーダ割りは人気出そうだし、

紅茶派のお客様は、

アイスティーのほうを好むかもしれない」

「じゃあ、どっちも試してみる?」

ミナがほほ笑みながら立ち上がった。


カフェ・ヴェルデは、只今朝のミーティング中。

開店前のこの時間は、

カフェ・ヴェルデのスタッフ三人にとって

とても大切な時間だ。

まだ誰もいないカフェフロアで、

三人で本日の予定の確認や、

今後のアフタヌーンティの企画、

ミナの新作スイーツの試食会など、

カフェ・ヴェルデの

大事なことを決める時間なのだ。

そして、忙しい一日に立ち向かうための、

ホッとする憩いと準備の時間。

今議題に上がっているのは、

5月一週目に行われる

『益戸スプリング・フェスティバル』のこと。

カフェ・ヴェルデの最寄りの駅、

益戸駅周辺で行われる年に一度の春のお祭りだ。

三日間の予定で、駅前は歩行者天国になり、

大きな特設ステージも設営される。

ステージではお笑い芸人のライブを始め、

地域の学校の吹奏学部の演奏、

市民同好会のコーラスやフラダンスの発表会、

大太鼓の演舞、さらに落語なども披露される。

パレードも行われ、鼓笛隊やブラスバンド、

サンバ隊も道路を練り歩き、

ロードサイドではテントを張られ、

飲食店も多く立ち並ぶ。

地元だけではなく近隣の街の店が、

この時とばかりは空の下に集結し、

それぞれ自慢の品を振る舞う。

ゴールデンウィークの時期ということもあり、

毎年かなりの人出になる。

今回、カフェ・ヴェルデは初出店となる。


都心に近い人気のベッドタウン、益戸駅の近く、

白い壁に緑色の屋根の白い洋館、

『カフェ・ヴェルデ』のオーナーの

鈴井アヤカは35才。

地元情報誌の編集者を経て、去年、

一念発起で夢だったこのカフェをオープンした。

毎日バタバタと店の切り盛りをしながら、

それでも充実した日々を過ごしている。

平原ミナはアヤカと同じ年の幼馴染で、

カフェ・ヴェルデ専属のパティシエだ。

都内の某有名リストランテで働いていたが、

その安定した地位を捨て、

アヤカについて来てくれた。

カフェ・ヴェルデに来てからの

ミナの厨房の女王様っぷりは凄まじく、

日々新しい傑作スイーツが生まれて続けている。

神宮寺チカはアヤカの5才下の妹で30才。

優しい夫、通称ミッキー(本名はミキヒコ)と、

可愛い娘のアンに恵まれて、

幸せいっぱいの主婦兼カフェ・ヴェルデのスタッフ。

入った当時は接客業のみであったが、

今やカフェの知識も豊富になり、

珈琲ラテアートなどもこなし、

カフェ・ヴェルデの重要な戦力となっていた。

この三人でのフォーメーションは盤石なものとなり、チカもいなくては困る存在になっている。

「うん、じゃあ、ドリンクは

ハニーレモネードとハニーレモネードティーで

決まりね。

あとは、アイス珈琲も加えて、と、

ミナ?スイーツはどれにする?」

「そうね・・・・」

ミナは顎に指を当て、テーブルに置かれた

魅惑的なスイーツ達をじっくり見渡す。

元々美人のミナだが、最近私生活に変化があり、

なんというか、女性らしいツヤ感(?)が加わり、

しっとりした美しさが増した気がする。

ほぼノーメイクなのになぁ・・・。

・・・まあ、それは置いておいて。

「ハニーレモネードに合わせるなら、

重みのあるチョコレート系とかじゃなくて、

軽い甘さのスイーツ・・・かなと思う」

すると、チカが身を乗り出してお菓子の中から

一つをヒョイと摘んだ。

「ミナちゃんの新作のお菓子、

全部美味しいけどさ、私はコレがいいと思うな」

テーブルに並べられた、

数々のミナ渾身のスイーツ。

美味しいものしかないのだけれど、

初夏の青空の下、一応テントの屋根はあるものの、

食中毒や痛みに最大限の配慮をしなければならない。

その為、生クリームの使用などは使うのは、

なるべく避けたい。

つまり、焼き菓子メインの

カフェ・ヴェルデの得意技ってことなんだけど。

チカが手にしたのは、"マドレーヌ・シトロン"。

たっぷりのバターと

ハニーレモネードのシロップを練り込み、

刻んだハチミツ漬けのレモンを載せた

甘酸っぱいシェル型のマドレーヌ。

酸味と甘味がちょうどいいバランスだ。

「モグ・・・モグ・・・うん!

やっぱりコレ!

大人はもちろんだし、レモンでも酸っぱ過ぎないから

アンみたいな子供でも好きだと思うよ?

それに、このシェル型っていうのが

可愛いじゃない?」

「でも・・・お祭り向きかしら?

なんかもっとポップなのを考え直したほうが・・・」

ミナが首を傾げる。

「コレもいいわよね」

アヤカが手にしたのは"プラムスクエアケーキ"

大きな鉄板で薄く焼いたバターケーキに

大きなブラムを均等に置き、

ピスタチオを散らして正方形に切ったものだ。

「シンプルなバターケーキが

口の中でホロホロと崩れて、

柔らかいプラムの甘酸っぱさと、

食感のあるピスタチオがイイ感じね。

色合いもパープルとグリーンでキレイだし。

・・・私はコレが好きだな」

「ありがと。

最後に少し澄ましバターを塗って、

しっとりと仕上げたの。

シュガーパウダーを振りかければ、

もっと見栄えもいいんだけど・・・、

外で提供するとしたら、

暑さで溶けてしまいそうだから

・・・いらないわよね?

実はね、私もこのプラムが一番オススメなの。

あ、そうそう!久保さんもね、

このプラムスクエアケーキ、

紅茶と合わせると最高って・・・っと・・・」

慌てて口を抑えたミナだったが、もう遅い。

ミナのふいに漏らした言葉に

鈴井姉妹の耳がピクリと動く。

そう。

今ミナは絶賛、恋愛進行中。

お相手はアヤカとチカも良く知る

益戸警察署捜査課の久保刑事。

昔の刑事ドラマにでてくるようなタイプとは

真逆の人で、

いつもピシッとしたスーツを着こなし、

颯爽と物腰柔らかで、

更に現代の価値観にかなり理解ある人物。

バツイチのミナとのお付き合いも、

柔軟な考え方で自然体だ。

二人は遡ること3ヶ月程前から、

お付き合いをしている。

それ以前もミナと久保刑事は食事やカフェに

二人で出掛けたりしていて気が合っていたのだが、

久保刑事の奇妙なアプローチにより、

とうとう本格的(?)に交際を始めた。

ミナは心の内をあまり言わないタイプだ。

アヤカとチカは長い付き合いだからわかるが、

特にロマンスの類には、

あまり突っ込まないほうが良い。

姉妹揃って聞きたいことは山程あるけれど、

ここはそっと見守ろうと決めている。

でも、もの凄く気になることは確か。

まだ苗字で呼んでたのは、なんかミナらしいケド。

久保さんはミナのこと、何て呼んでいるのかしら?

呼び捨てで、ミナかな?

それともミナのほうが年上だから、さん付け?

もしかして、ミーちゃん?

それともまだ平原さんなのだろうか?

ミナも今は私達二人の前だから、

"久保さん"と読んでいるけど、

本当はどうなのかしら?

あれ!?・・・久保さんって下の名前何だっけ?

・・・あーー!気になる!

色々気になる!!

「そうなんだ、じゃあコレは決まりだね」

アヤカの心の葛藤をよそに、

チカが賛成の声を上げていた。

「グルメな久保さんが称賛したんなら、

ぜひ出さなきゃね。

じゃあ、この二つにしようよ。

通常営業と同時進行で準備しなきゃだから、

あまり種類を多くしても大変だし。

そうよね、姉さん?それでいい?」

うーん・・・、

やっぱり路面店を出すのなら、

目を惹くものにしたいわね。

今までカフェ・ヴェルデに訪れたことがない人も、

スプリング・フェスティバルを通して、

興味を持ってくれるかもしれない。

そうしたら新たな集客にも繋がるかもしれないし。

店のオーナーとしてはこういう戦略も

考えなければならないのよね。

カフェの経営は楽しい事が多い反面、

数多くの店の中から生き残りを賭ける

サバイブでもあるのだ。

カフェ・ヴェルデは幸いにも黒字で

且つ利益が出ていて

今のところ順調な経営を続けているけれど、

5年先、ううん、1年先に何があるかもわからない。

現状にあぐらを掻くマネはしたくない。

今に満足しないで、新しいチャレンジも試みている。

経営は生き物ようなものかもしれない。

常に変わっていく。

それは人の好みや時代など様々な理由はあるけれど、

進化しなければ取り残されてしまう。

もちろん変わらないモノも大事にしたい。

そう、このカフェ・ヴェルデもね。

アヤカはつと顔を上げた。

ココは元々アヤカとチカの亡き祖父母の家だった。

眼科医だった祖父は、自宅兼医院としていたが、

アヤカはそれをリノベーションし、

屋根は緑色に、外壁は白にし、

内装は黄緑と白のストライプの壁紙になった。

部屋を区切る壁を壊し、

家を支えていたいくつかの支柱も無くなった。

面影はほぼ無くなったが、

祖母が大事にしていた

よく磨き込まれた木製の柱時計は未だ健在で、

カフェ・ヴェルデで今も昔も変わらず、

チクタクと日々時を刻んでいる。

新しいモノと古いモノ。

うまく融合すれば、それは新たな魅力となるはず。

店名の"ヴェルデ"という名前も、

祖母ミドリの名前からフランス風を名付けた。

・・・おばあちゃんはどう思ってるのかな。

自宅を改造してカフェにしたことを。

怒ってはいないと思うケド。

私達姉妹にとても優しかったから。

・・・・・・・・・・・・・・・。

「姉さん?・・・姉さんってば!」

チカの呼びかけにアヤカはハッと現実に戻った。

いけない、いけない。

ノスタルジーに浸るところだった。

今は大事な店の会議中!

「そ、そうね、私も賛成!

じゃあ、お菓子はえーと、マドレーヌ・シトロンと

プラムスクエアケーキの二種類にしましょう。

イエローとパープルの色がキレイよね?

チカの言うように、確かに種類が多すぎても

普段の営業に支障が出るしね。

ミナは?この二つでいい?」

「もちろん。

私は全部オススメしたいくらいだから」

するとチカがパチンと手を合わせる。

「あ、ねえ、ミナちゃん。

他のは次回のアフタヌーンティーに入れない?

軽やかなお菓子が多いから、

テーマにちょうど合うと思うんだけど。

ほら、"メイ・アフタヌーンティー"に」

「そうね・・・それもいいかもね」

そう、ゴールデンウィーク後には

カフェ・ヴェルデの恒例になった

アフタヌーンティーイベントが控えている。

今回は5月の爽やかな気候に合わせた

アフタヌーンティーということで、

爽やかなメニューにしようと考えていた。

それにしても、5月はかなり忙しくなりそうね。

うーん、、そろそろパートさんかバイトを

本格的に考えなきゃダメかも。

アヤカはチラっと柱時計を見るとそろそろ10時。

「まあ、それはまた話すとして。

・・・そろそろ開店時間になるわね。

二人とも、準備はいい?」

「いいわ」

「いいよ!」

ミナとチカ、二人の声が重なった。

アヤカが立ち上がった。

「じゃあ、本日のカフェ・ヴェルデ、開店です!」


「いらっしゃいませ!」

「本日のオススメは、

コチラの新作"レモンカードタルト"になります」

午前11時のカフェ・ヴェルデのいつも通りの風景。

カラン、カランと玄関のドアベルが鳴るたびに、

お客様が次々と来店する。

「本日のスコーンは・・・」

「珈琲とアイスティーは・・・・」

焼き立てのお菓子の香り漂うカウンターでは、

言葉が飛び交い、

すでにフロアの8割が埋まり、

アヤカとチカは目の回るような忙しさの渦中にいた。

「ハイ、コレ!

レモンカードタルトの追加よ。

私はこれからスープの仕上げがあるから」

ミナが粗熱のとれたレモンカードタルトを

乗せた皿を、厨房から作業台を繋ぐ窓へ滑らせた。

香ばしいタルトの風味と、

フワッと甘酸っぱい香りがアヤカの鼻孔をくすぐる。

「オーケー!」

その時、またドアが開き、

つむじ風のように足早に店内に入ってきたのは、

益戸シティリビングという地元紙の編集長である

阿部ユキコだ。

グベージュのパンツスーツに身を包み、

足元は白のスニーカーというアクティブなコーデだ。

首元にはカラフルなミニスカーフを

ちょこんと巻いて華やかさを加えていた。

「ハイ、元気!?」

「ユキコさん!お久しぶりですね!」

アヤカの元上司であり、

アヤカが仕事を辞めてからも、

時々カフェ・ヴェルデに来てくれている。

というのもユキコさんも

カフェ好き、スイーツ好き、

そしてミナの作るお菓子の大ファンなのだ。

「暑いわねー!なんかもう夏みたいよ。

喉乾いちゃってさー、

なんか冷たいのとオススメの美味しいのお願い!!」

ハンカチを扇子替わりにして、

ユキコさんは顔をパタパタと仰いでいる。

確かに4月下旬なのに、

太陽が輝き過ぎるほどの陽射しを投げかけている。

それが証拠に、朝から暖かい飲み物と同じ位に、

冷たいアイス珈琲やアイスティーが出ていた。

「じゃあ、アイス珈琲とレモンカードタルトは

いかがですか?」

「レモンカード?それって何?」

アヤカはトングを持ちながら説明した。

「レモンカードは、イギリス生まれのクリーム

なんです。フルーツバターとも言うんですけど、

レモン果汁に卵、バター、砂糖で作るんです。

こっくりした甘みとレモンの爽やかな風味が

特徴で、パンにそのまま塗っても美味しいんです」

「へ〜〜!それをタルトに?」

「ええ。タルト生地に流し込んで、

アクセントにピスタチオと

ほんのちょっぴり岩塩を散らしました」

「やだ、美味しそう!

あ、コレね!

彩りも綺麗だわ〜〜。

もちろんミナさんの作るモノだから、

絶対美味しいに決まってるけどね。

じゃあ、それとアイス珈琲もお願い。

あ、支払いはポイポイでね!」

「畏まりました」

ちなみに本日のアイス珈琲は、

萩原珈琲のサマーブレンド。

萩原珈琲は、およそ100年前に神戸に創業した

当時としては画期的な炭火焙煎の老舗店である。

今でも焙煎士と呼ばれる人の手で、

日々の温度や湿度で調整しながら、

素晴らしい珈琲豆を卸している。

サマーブレンドは、

サッパリしたフルーティな酸味がある珈琲なので、

本日のアイス珈琲にしてみた。

喉越しを通り抜ける爽やかさが格別だ。

ユキコさんに注文の品を届けた後、

しばらくはお客様の対応で、アヤカは忙殺された。


「アヤカさん、終わりましたよ」

「あ、お疲れ様です」

その声に、エスプレッソマシンに

コーヒー豆を補充していたアヤカは

笑顔で振り返った。

カフェ入り口ドアに佇む人物は、

千花大学園芸科の庄治マコト准教授。

「准・・・、庄治さん!

冷たいアイス珈琲淹れますから、

こちらで休憩してください」

「いつもありがとうございます。

でも、僕、今日は土起こしをして

足元が泥だらけなので・・・

このまま帰ろうかと・・・」

アウトドア系のカーキ色のシャカシャカパーカーに、

黒いデニム、そして足元はいつもの黒い長靴。

アヤカが上から下まで眺めると、

バツが悪そうに、

カリカリとつば広ハット越しに頭を掻く准教授。

「じゃあ、靴だけ履き替えてこれますか?」

「あ、そうですね」

こんな会話も慣れてきた。

アヤカと准教授が知り合って、

そろそろ1年半が経つ。

キッカケは、このカフェ・ヴェルデ自慢の

イングリッシュガーデン。

庄治准教授にの設計により造られ、

更に准教授の研究テーマのローズマリーを

この庭で生育しているので、

時折庭のメンテナンスも兼ねて来てくれる。

アドバイスを貰いつつ、カフェ・ヴェルデの庭も、

最初の頃よりもアップデートしている。

そして、お互いの呼び方も。

「准教授」「鈴井さん」というのが

長らくの呼び方だったのだが、

アヤカの提案により、

親しくなってからかなり経つし、堅苦しいし、

妹は名前呼びだし、

という理由をツラツラと並べあげた結果、

お互い名前で話すことになったのだ。

自分的にはかなり勇気がいった提案だったのだが、

准教授はあっさりと

「わかりました」

と言ったのだ。

拍子抜けしたアヤカだったが、

これでまた少しは距離が縮まったかと思っている。

「うーん・・・やっとと言うか、

まぁよくやったけどさ、

姉さんは『アヤカさん』で、

准教授のことは『庄治さん』って、

ヘンじゃない?ソコは名前じゃないの?」

「いきなり・・・名前は無理だよ・・・」

「・・・先は長そう」

大きく息をついたチカの最後の一言は気になるが、

それでもこれは大きな一歩には違いない。

だって、不定期だけど、

デートらしきものはしているし、

好意的なものは感じるし、

本格的(?)なお付き合いには

20代のように気軽に進めないものだ。

准教授は足元を清潔なスニーカーに履き替え、

パーカーを脱いでHanesの黒いTシャツ姿で

戻ってきた。

「お疲れ様でした!

庄治さん、アイス珈琲とレモンカードタルトを

用意したので、召し上がってくださいね?」

着替えて戻ってきた准教授は、それなりに見える。

ううん、むしろアリ!

かなりアリ!

普段から土起こしや自然と戯れているせいで、

准教授、意外と細マッチョなのだ。

(あ、見たことはないわよ?)

「レモンカード?それは何ですか?」

・・・えーと、デジャヴ?


その後、准教授はユキコさんの手招きにより、

一緒に話し込んでいたみたいだが、

30分程で准教授は帰ってしまった。

(あ〜〜あ、も少し話したかったな・・・)

やっとお客様が途切れ、一息ついた時、

ユキコさんがヒラヒラと手招きしているのに

気がついた。

「チカ、ちょっとユキコさんとこ、

行ってもいい?ほら、例の取材・・・」

「うん、いいよ。

お客様も落ち着いてるし、

こっちは大丈夫だから、行ってきて!」

アヤカはエプロンを外し、

スタッフ用のコーヒーサーバーから

熱い珈琲を二つ淹れて、

カフェフロアに足を向けた。

ユキコさんは窓際のソファ席に座り、

カーテン越しに差し込む淡い陽射しを背に受けて、

タブレットや手帳をテーブルに広げていた。

暑かったのだろう、

上着はソファに掛けてある。

細めに開けた窓から、爽やかな風が吹き抜け、

レースのカーテンが軽やかに踊っていた。

窓越しに見えるイングリッシュガーデンは、

春先の花の盛りが終わり、

今は鮮やかなグリーンが伸び伸びと

勢力を伸ばしている。

アクセントに可愛らしい白いスズランが

明るさを添えていた。

これから気温がもっと上がれば、

小バラも咲き始め、

赤や黄色の多彩なカラーで庭を彩るだろう。

アヤカが近づいていくと、ユキコさんが顔を上げた。

テーブルを見ると、

レモンカードタルトやアイス珈琲は

すでに平らげた後。

「もう大丈夫?

あ、さっきのレモンカードタルト、

すっごい美味しかったわよ!

トロっとしたレモンカードクリームがサイコーね!!

そうそう!

さっきセンセイと話してたんだけど、

来月イタリアに行くみたいね」

「庄司さん・・・准教授がそう言ってたんですか?」

私、聞いてない!

アヤカはマグカップをコトンとテーブルに置いた。

「あら、そうなの?

なんだか長期で行くみたいよ?

あ、珈琲ありがとね!」

ユキコさんが嬉しそうに珈琲を口にする。

「長年の夢だったみたいね?

いいわよねー、イタリア!

私も行ってみたいわぁ・・・・・」

確かに准教授の研究テーマであるローズマリーは、

地中海沿岸が原産だと聞いていた。

古代ローマ時代どころか、

エジプト文明からローズマリーは、

使用されていたという文献もあるそうだ。

ローズマリーは、とても不思議で

神秘的な植物だと准教授は言う。

「ローズマリーは、古代では記憶力を高めたり、

食べ物を腐敗させない防腐剤の効果もあり、

神からの贈り物と言われていたんです。

日本には江戸時代くらいに入って来たみたいですが、

欧州では料理に用いるのはもちろん、

アロマテラピー、化粧品、医療品にまで

多岐に渡ります。

昔から人々の生活に深く関わってきた

スゴイ植物なんです!」

准教授の熱弁は時々聞いていたが、

・・・そうか、うん、良かった。

良かったケド・・・。

「アヤカ?どうしたの?

取材、まだ後にしたほうがいい?

私はココで仕事してるからまだいいわよ?」

「いいえ、大丈夫です。やりましょう」

そう、今日ユキコさんが

カフェ・ヴェルデに来たのは仕事のため。

先日、スプリングフェスティバルに

初出店するカフェ・ヴェルデを取材したいと

連絡は受けていたのだ。

准教授のことは、後で考えよう。

ユキコさんがボイスレコーダーのスイッチを入れる。

「・・・じゃあ、早速始めるわね。

まず今年の益戸スプリングフェスティバルに

カフェ・ヴェルデが初参加することについて

なんだけど、どお?

その事について率直な気持ちを聞きたいわ」

取材が始まった。

二年ほど前は自分もやっていたことで、

聞かれる立場になるとは思いもよらなかったけど。

なんだか不思議な気分だ。

「そうですね、とても光栄です。

カフェ・ヴェルデがオープンしてから

もうすぐ1年ですけど、

フェスティバルに参加させて頂くということで、

この益戸の地域の一員として認めてもらい、

迎えて頂けたことを感じています。

そしてカフェ・ヴェルデも

フェスティバルで地域に貢献出来ることを

嬉しく思います」

「差し支えなかったら、

フェスティバルには何を出すか聞いても?」

「大丈夫です。

カフェ・ヴェルデでは、

ハニーレモネードとハニーレモネードティー、

それとアイス珈琲と、

スイーツを用意させて頂きます」

「へーー・・・このレモンカードタルトも?

これ、あとで買って帰りたいんだけど、

まだあるかしら?」

ユキコさんはすでに空になった皿を見つめた。

「ええ、今日からの新作なので、

これからどんどん焼いて行きますよ。

ユキコさん用にいくつか取っておきましょうか?

いくつ?4個?了解です!

あと、このタルトは

お持ち帰りくらいなら大丈夫なんですけど、

フェスティバルの時期は暑くなるから、

コレだと中のフィリングがゆるくなっちゃうんです。

なので、イベント用には別のものを考えました。

スイーツは焼き菓子を二種類用意します」

「焼き菓子はどうゆうの?」

「あ、良ければ試食してみます?

今朝、ちょうど用意したものがあるんです」

「悪いわけないでしょ!もちろん、頂くわ。

私、なんかいい時に来たわね!」

ユキコさんが笑う。

アヤカはカウンターに逆戻りし、

朝に試食した焼き菓子の残りを皿に盛りつけた。

「ユキコさんに感想を聞いてね」

ミナの伝言を預かりながら、

ユキコさんに食べてもらうと、

笑顔と最上の褒め言葉を頂いた。

(よし!ミナに報告しなくっちゃね!)

それから20分ほどインタビューが続き、終了した。

ユキコさんが大きなトートバッグに、

パソコンやレコーダーを仕舞い始めた。

「・・・じゃあ、カフェ・ヴェルデのことは

来月初めの益戸シティリビングに載せるわね」

やった!

ちょうどスプリングフェスティバル直前の

掲載だから、

きっと沢山の人がカフェ・ヴェルデのことを

目にしてくれる。

「フェスティバルに新しいお店が増えれば

市民はウェルカムだし、

カフェ・ヴェルデも新規のお客さんを掴めるわね」

ニヤリ。

「あ、それとその制服?

いいわね、初夏の爽やかな感じで」

アヤカが今着ているのは、

春と初夏の制服として選んだものだ。

『cnen』の水色と白のストライプの

スキッパーブラウスに、

『UNIQLO』のベージュのパラシュートパンツ。

パンツは風通しもよく、動きやすいし、

濡れても乾きやすい。

ちなみに選んだのは、

お洒落センスに定評があるチカ。

プチプラなコーデもチカにかかれば、

お洒落に見えちゃうんだから、不思議だわ。

これにカフェ・ヴェルデのイメージカラーの

緑のギャルソンエプロンをしていた。

さらにチカ手作りの水色のシュシュで

髪をまとめている。

ちなみにシュシュはミナもお揃いなのよね。

「春といっても今年は暑くなるみたいだから、

爽やかな雰囲気にしようと思ったんです」

「なるほどね。

でも、そういうのって大事よね。

接客してもらう方としては、

店の清潔感ってかなりのポイントなのよね。

美味しいモノはもちろん人を惹きつけるけど、

雰囲気の良い店ってまた来たいって思うじゃない?

そういうのも大事」

「そうですね。

見栄を張るわけじゃありませんけど、

ウチではお客様にはリラックスして

楽しんで欲しいと思ってるので、

なるべく気分が良いように心掛けてます」

「エライ!

アヤカはカフェ経営の何たるかをわかってるわね。

・・・じゃあ、ありがとね!」

「いえ、こちらこそありがとうございました」

立ち上がったユキコさんを出口まで見送る。

レモンカードタルトを詰めた箱を渡し、

試食用のお菓子と珈琲代のお金を払うという

ユキコさんと押し問答していると、

「姉さん!」

アヤカが振り返ると、

チカが小さな黒板とイーゼルを抱えていた。

「ミナちゃんがランチメニューの用意が出来たって!

そろそろコレ、外に出してくるね」

「あ、お願いね!」

「なあに?それ」

ユキコさんがメガネを押し上げながら

黒板に顔を近づけると、チカが説明し始めた。

「今月から始めたランチメニューなんです!

お好きなキッシュかパイを選んでもらって、

スープ、飲み物、これは珈琲か紅茶、

ホットかアイスかは選べます。

それとフルーツコンポートが付きます。

スープは週替わりなんですよ。

ちなみに本日のスープは、

そら豆とエビのポタージュで、

ミナちゃんの自信作です!

コンポートも季節ごとに変わる予定なんです」

「ヤダ、美味しそう!!

・・・へ〜〜知らなかったわぁ〜!

今度絶対食べに来るわね!

じゃあ、今度はスプリングフェスティバルで

会いましょう!」

そう言って再び風のように

ユキコさんは帰っていった。


5月に入ると気温はぐんぐんと上がり続け、

初夏を通り越して、

すでに夏の様相を醸し出していた。

朝の9時過ぎ、

アヤカは車のハンドルを握りながら、

スローペースで新坂戸川沿いの道を走らせていた。

時折、花火のような破裂音が空に響いていた。

そう、今日はスプリング・フェスティバルの

1日目の金曜日の祝日。

これから3日間、益戸は楽しいイベントで

街全体が盛り上がることだろう。

フェスティバルの間は

カフェ・ヴェルデは閉めているので、

このイベントに全力を向けられる。

信号待ち中、ふと上を見上げると、

フロントガラス越しに青々とした葉が繁り、

木々の間から眩しい陽光が降り注いでいた。

天気予報でも雨は降らないって言ってたし。

今日はいい一日になりそうね!


益戸スプリング・フェスティバルの間は、

駅前を中心に

朝10時から18時まで歩行者天国になっている。

出店の営業は11時から16時まで。

カフェ・ヴェルデのテントは、

益戸駅前のバスロータリーから伸びる中央大通りと、

図書館や銀行が入るビルの交差する

道のすぐ横に構えることになった。

フェスティバルの初日は

お天気にも恵まれたおかげで、

大勢の人で賑わっている。

駅前ロータリーに設置された

フェスティバルのステージでは、

各自の趣きを凝らしたパフォーマンスが行われ、

歓声や拍手が聞こえてくる。

人々がそぞろ歩く道のあちこちでは、

アクロバット芸人や

バルーンアートアーティスト達が人々を盛り上げ、

大人も子供も祭りの雰囲気や

穏やかな気候を楽しむかのように、

笑顔に溢れていた。

もちろん個性あふれるグルメも

フェスティバルの重要な楽しみだ。

(もちろん私も!)

市から提供されたテントは

鉄パイプとベージュの帆布の無機質なモノなので、

各店では、意趣を凝らした飾り付けで、

オリジナリティを出していた。

カフェ・ヴェルデはテント内のテーブルに、

白地に金の刺繍を施したテーブルランナーを敷き、

フェイクのグリーンや白い花を飾り、

カフェ・ヴェルデ自慢のイングリッシュガーデンの

雰囲気が伝わるようにしている。

テーブルにデンと構えた

一番目立つガラスのドリンクサーバーは、

ハニーレモネード用にレンタルしたもの。

ミネラルウォーターに、

レモンやライム、ミントを浮かべ、

ハーバルウォーターにしてみた。

陽を浴びてグリーンやイエローの色彩が

キラキラと輝き、初夏の雰囲気を醸し出していた。

このハーバルウォーターを、

氷とハニーレモネードシロップを入れた

テイクアウト用カップに注ぎ、提供するつもり。

その横の銀色のバケツには、

アイス珈琲とアイスティーを入れたボトルが

水氷に浸かり、涼しげな演出をしていた。

そして真ん中には・・・

「サマーケーキピックを3つですね、

ありがとうございます!」

そう、マドレーヌシトロンとプラムスクエアケーキ、

二つのケーキを一個づつピックに刺して、

ピックケーキとして用意したのだ。

コレなら、食べ歩きもしやすく手も汚れない。

しかも、二種類どっちも味わってもらえる。

そう、これは私のアイデアなの!

「いいわね、お祭り気分が上がるわ」

と、ミナ。

「フルーツ串みたいな感じで可愛い!

手も汚れないし、映えるよね!」

チカも賛成してくれた。

その横には、自慢のスコーンやクッキーが

お土産用として木の籠に並べてある。

さらに器用なチカが、

"カフェ・ヴェルデ"とプレートを付けた、

ハート型の大きなアイビーリーフを作成していた。

「コレをイーゼルに置いてっと・・・・、

この前でハニーレモネードや

サマーピックケーキを持って、

写真を撮ってもらうようにするの。

素敵な映え写真が撮れるし、

店の宣伝にもなるじゃない?」

うーん、さすがチカ。

私よりもやり手かも。


「ハニーレモネードお二つですね!」

元気な声が響いている。

これは深田エナ。

「どうぞ。

気を付けてお持ちくださいね」

おっとりした物言いなのは池ノ上マイ。

二人とも聖マリアンヌ女子大の生徒達だ。

彼女達にスプリング・フェスティバルの間、

カフェ・ヴェルデでアルバイトをしてもらっていた。

そう、あの事件("秋のアフタヌーンティーは葬送曲とともに"参照)で知り合って以来、

彼女達とアヤカ達は交流を持っている。

今回は人手が足りないと知ると、

アルバイトを買って出てくれたのだ。

この申し出はとても有り難かった。

しかもエナとマイは益戸の養護施設、

『こばとの家』へ時々カフェ・ヴェルデの

焼き菓子を届けて貰っている。

以前はアヤカ、ミナ、チカが仕事帰りに交代で、

カフェ・ヴェルデでその日に残ったお菓子を

届けにこばとの家へ行っていた。

けれど事情を知った深田エナと池ノ上マイが、

ボランティアでこばとの家の子供たちに

音楽を教えに行っていたので、

「ついでですから」と

配達も引き受けてくれるようになっていた。

それに実は今回のスプリングフェスティバルに、

こばとの家の子たちが

初めてパレードに出場するのである。

それも深田エナと池ノ上マイがきっかけだった。

「エナさんとマイさん達から

音家を教えて頂くようになってからというもの、

このフェスティバルに参加するために

頑張ってきたんですよ。

子供たちもパレードで演奏するのを

楽しみにしていましてね」

そう言ったのは、

アヤカの横の簡易イスにチョコンと座る

グレイヘアの上品な老婦人。

この人はこばとの家の園長の北里さん。

これから始まるパレードの付き添いで

やってきたのだ。

フェスティバルの間、

カフェ・ヴェルデは閉めてあるので、

こばとの家の子供たちの為に、

着替えなどの場所として提供していた。

店ではミナが子供たちを見守りながら、

せっせと作業しているはずだ。

「これ、とても美味しいですわね。

今日はとても暑いから、

このレモンで元気が出そう」

園長先生がハニーレモネードティーを啜る。

ちなみに本日の園長先生は、

オリーブ色のシボが寄った半袖カットソーに、

同じ素材のマーメイド型のロングスカートを着用。

頭にちょこんとミニサイズの可愛らしい帽子を

グレイヘアに留め、

首にはジャラジャラと沢山のネックレスを

下げていた。

手にはおもちゃのような煌びやかなステッキ。

どうやらこばとの子のパレードに合わせた

服装らしいが、

何だろ?魔女かな??

「子供達も今頃ハニーレモネードを

飲んでいると思います。

暑さにはレモンですよね」

「本当にご親切に。

いつもお菓子まで頂いているのに、

こんなことまでして頂いて」

「これもご縁だと思ってますし、

私達も出来ることを協力できればなと

考えているんです。

・・・お菓子も、

喜んで貰えているんならいいんですけど」

「もちろんですわ。

毎回カフェ・ヴェルデさんのお菓子を

楽しみにしてるんです。

私共では、なかなかお菓子まで作ることに

手が回らなくて。

売っている既製品もとても美味しいですけど、

やはり出来立てはまた違いますものね。

お味もですが、香りや、人の手が感じられますもの」

「そう言って頂けると、こちらも嬉しいです」

「今回のパレード参加も子供たちから

出てみたいと話が出たんです。

・・・中にはパレードに出て、

自分の境遇を知られるのが

恥ずかしいと言う子もいたんですが、

音楽の練習するうちにやっぱり出てみたいと」

「そうなんですか」

すると園長先生がふっと顔を曇らせた。

「子どもたちが自分から言ってくれたのは

嬉しかったのですが・・・、

"こばとの家"も市や国からの援助だけでなく、

鈴井さん達や色々な皆様の沢山のご厚意に

支えられているのを年長組の子達は

もう理解しているんです。

私達が今回のパレードに出ることで

感謝をしめせれば・・・と話してくれたんですが、

少し、やるせなくて・・・ね」

「・・・・・・・・・・・・・」

「その言葉を

強制させてしまっているのではないかしら、

と思ったりもしますけどね」

自分も時々、

こばとの家にお菓子を届けに行っているから、

この園長先生やスタッフの人達の

子どもたちを見る目がとても優しいことは

分かっているつもり。

様々な理由でこばとの家にいるのだろうけど、

子供達もいいコばかりで、

アヤカもいつもホンワリとした気持ちで

帰ってきている。

でも、それは"与える者"としての

奢りなのかもしれないとふと思ったりする

時もある。

「それでもこのフェスティバルで

子どもたちがこの非日常を楽しんでくれれば

いいと思っていますわ。

お天気もいいし、

こんなに楽しい雰囲気なんですものね」

「・・・そうですね。

あの、衣装も子供達、皆で作ったんですってね?

サクラさんから聞きました。

園長先生が着ていらっしゃるのもそうですか?」

アヤカが言った。

「ええ。

サクラさんを始め、

聖マリア女子大学の児童学部の皆さんが

お手伝いしてくれて。

子供たちと一緒に衣装を作るのは、

不慣れなもので時間はかかりましたけど、

辛抱強く寄り添ってくれて。

子供でも難しくないように、

糸や針やミシンを使わず、

接着剤やホチキスで作成したんです。

サクラさん達、今もカフェ・ヴェルデさんで

着替えを手伝ってくれているんです。

そうしたら

『園長先生は先にゆっくり行ってて!』って、

子供達が。

お陰で私は先にパレードの下見ができましたわ」

北里さんが笑う。

岡本サクラは、

カフェ・ヴェルデのお隣に住む、

長谷川ヨウコさんと同居する、

お手伝いさん兼親友の岡本キクさんの孫娘。

ヨウコさんも本当の孫娘のように可愛がっていて、

年代も超えて仲が良く、時々三人一緒に、

カフェ・ヴェルデにも来てくれていた。

聖マリア女子大学の児童学部に在籍し、

大学のカリキュラムの一環として、

こばとの家のサポートもしていた。

今回こばとの家の子どもたちがパレードに

出ると聞いて、アヤカはサクラに

どういう衣装かを聞いたことがある。

「どういうのにしたかですって?

ふふ、当日までナイショです!」

そう言って教えてはくれなかった。

すると突然、深田エナが小さく声を上げた。

焦ったように腕時計を見る。

「アヤカさん、すいません!

そろそろパレードの準備に

カフェ・ヴェルデに行ってきます!

じゃあ園長先生、パレードの出発場所で!

・・・マイ、行くよ!?」

「あ、もうそんな時間!

じゃあ、後はお願いします」

池の上マイも慌ててエプロンを外しながら言った。

「オーケー!頑張ってきてね!!」

「はーーい!!(✕2)」

アヤカが言うが早く、

そのまま二人は駆け出していく。

・・・若さってスゴイ。


カフェ・ヴェルデのテントの前は、

パレードの通り道になっている。

午後2時から始まり、今、目の前は、

益戸小学校のバトントワリングの女の子達が、

可愛らしいチアの衣装で

元気よくパフォーマンスを繰り広げている。

空高くバトンを投げてクルッと回って

キャッチしたり、側転を決めてみたり。

その次は地元の空手のチームかな?

道着を着た少年少女、

さらに中学生や高校生くらいの子供達が

空手の型を決めながら歩いている。

時折止まって、板を割るパフォーマンスもあり、

その度に観客から拍手が贈られていた。

しかし、やはりというか、今日は陽射しも強く、

気温がぐんぐんと上がっていた。

日傘や帽子などで対策はしている人が多い中でも、

熱中症になるんじゃないかというほどの暑さで、

観客の手には冷たいビールや、

ペットボトルの飲み物。

カフェ・ヴェルデのハニーレモネードも

よく売れていた。

・・・あ、でも、

そろそろレモネードシロップが無くなりそう!

ケーキピックもだわ!

補充するために、アヤカは後ろに置いてある

保冷箱の蓋を慌てて開けたが、

・・・あら、コッチもあと少ししかない。

「ねえ、チカ。店に戻って追加分を

取って来たいんだけど、店、一人で任せてもいい?」

「いいわよ!でも早く帰って来てね!

もうすぐ、こばとの家の子達のパレードが

始まるし、その後はアンの幼稚園の生徒たちが

引っ張る山車もあるのよ!

・・・絶対写真を撮らなきゃ!!」

「あれ?確かミッキーがビデオを回してるんじゃ

なかったっけ?」

「ミッキーはアンや幼稚園の付き添いだから、

園児全体の動画を撮ってるの。

他にも何人かの保護者がいるんだけどね。

だから、アンの写真は私がしっかり撮らなくちゃ!」

チカがチラと傍らに置いてある

高そうなカメラに目をやる。

「わかった!急いで行ってくるね」

「よろしくね!

あ、でも姉さん、暑いからあまり走らないでね!」

「オーケー!!」

背中にチカの言葉を浴びながらも、

駆け出そうとしたその時、

「あ、姉さん!もう来ちゃった!!

こばとの子達よ!」

チカの声に身体を捻りながら遠くに目を凝らした。

先頭は・・・あら!

最年少の子たちかしら?

「見てよ、姉さん!可愛いじゃない!!」

チカが指差す先には、

男の子と女の子二人が、

黄色の花を逆さまにしたような

可愛らしいスモッグに緑色のスパッツを履いて、

明らかに自分たちよりも大きな旗を、

一生懸命掲げて歩いていた。

その旗には手書きらしい花と鳩の絵が描かれていた。

曲は・・・えーと、、、何だっけ?

映画の曲よね?

明るい曲ながらも、ノスタルジックさと、

少し物悲しさを感じるメロディだ。

「あれ、確か"オーバー・ザ・レインボー"よね?」

チカが重そうにカメラを構えていた。

確か、映画オズの魔法使いの曲だっけ。

そっか、だからね!

聞いたことあると思ってた。

パレードの年少の女の子達は、

物語の主人公らしい

青いワンピースにエプロンドレスを身につけ、

少し年長の女の子はピンク色のヒラヒラとした

良い"魔法使い"の格好をしていた。

男の子は麦わら帽子を被ったカカシや、

ブリキのロボット、ライオンの格好をしていた。

そして深田レナと池ノ上マイが

バイオリンを弾きながら最後尾にいた。

確か二人ともピアノ専攻のはずだけど・・・・

バイオリンも弾けるのね。

音大生の二人がこばとの家のパレードの

合奏の屋台骨を支えていた。

二人は黒のTシャツに黒のパンツを身に着け、

黒子に徹していたが、

優美に演奏する姿は、

素人には醸し出せない雰囲気を漂わせている。

うーーん、、、さすがよね。

堂々としたこばとの家のパレードは、

沿道の人々を楽しませ、演奏に合わせて

手拍子が贈られていた。

チカも望遠レンズを巧みに操りながら、

何枚もシャッターを切っている。

ここには笑顔と平和しかなかった。

そう、、、ここまでは。


・・・あれ?

アヤカはこばとの家のパレードの向こう側の

人混みに知り合いを見つけていた。

あの人・・・益戸市役所の上川さんだ!!

上川さんは益戸市役所生活安心課の課長さんで、

このスプリングフェスティバルの運営責任者だ。

2月のスプリングフェスティバルの

初会合以来、何度か顔を合わせていた。

今日は会場の見回りや、

出店しているテントを回っているはず。

ベージュのつば広ハットをかぶり、

"益戸市役所"と描かれたスタッフ用の

緑色のベストを着ていた。

ウチに挨拶に来たのかしら?

それにしては・・・何かオカシイわね。

歩き方が何か変。

酔っ払ったように、なんかフラフラしてる。

真面目な人だし、仕事中だから、

お酒なんて飲むわけはなさそうだし。

・・・もしかしたら暑さで熱中症気味なのかな?

アヤカは振り返った。

「ねえ、チカ。

ほら、あそこに市役所の上川さんがいるの。

ウチに来たのかしらね?

でもなんか、体調が悪そうなのよね・・・。

・・・お水、用意しとく?」

そうこうしているうちに、

上川さんは道路に入り込み、

こばとの家の子達のパレードに

どんどん近づいていた。

・・・危ない!

このままじゃ子供たちにぶつかっちゃう!!

「ホントだ!

ふらふらしちゃって、・・・変だよね?」

チカもカメラを下ろして異変に気付いていた。

パレードを見ていた観客達も、

乱入としか見えない上川さんを指差し、

ザワザワと騒ぎ出している。

パレードの先頭横で付き添いをしていた

北里さんが異変に気付き、

ステッキを掲げて

こばとの家の行進をストップさせた。

子供たちは不安そうに上川さんを見つめ、

園長先生は子供たちを守るように、

冷静な面持ちでスッと一歩前に出た。

「・・・上川さん?大丈夫ですか?」

園長先生は異変を感じ取ったのか、

緊張した声だった。

しかし上川さんは返事もせず、

こばとの家のパレードを掠めるように、

無言でフラフラと道路を横断した。

そしてカフェ・ヴェルデのテントの前まで

危なっかしく辿り着く。

アヤカがテントから一歩踏み出す。

「あの、上川さん?

気分が悪いんですか?

良かったらこっちで少し休んで・・・」

上川さんがゆっくりと右手を伸ばした。

テントの支柱を掴もうとしたようだが、

誤ってウォーターサーバーに手が当たる。

バランスを崩し、

ウォーターサーバーはテーブルから滑り落ち、

派手な音を立てて

無残にも地面に砕け散った。

さらに上川さんも受け身も取らず、

顔から倒れ込んでしまった。

キャーーー!!

誰かの悲鳴が上がる。

割れたウォーターサーバーから

水が波紋のように広がり、

倒れた上川さんの身体を濡らしていく。

「だ、大丈夫ですか!?ケガは!?」

一瞬フリーズしていたアヤカだったが、

慌てて割れたガラスを避けて膝をつき、

何とか上川さんを助け起こそうとした。

重い!

完全に気を失っているようだ。

膝からジワジワと冷たい水が染み込んでくるのを

感じながら、何とか仰向けにしようして、

身体の下に手を入れると、

・・・何これ?

身体の左脇な付着した赤い染みに気づいた。

アヤカの手にも付いていた。

染みは上川さんが着ていたベストの下からで、

ワイシャツがみるみるうちに赤く染まる。

・・・うっ!

突然、覚えのある、鉄のような匂いが

アヤカの鼻をついた。

これは・・・血?

アヤカがベストをめくってみるど、

ベストに隠れて気づかなかったが

シャツが裂けていた。

え?

手に何かが当たる。

何これ・・・木のような棒?

ここから血が溢れて・・・

握ろうとして気がついた。

いや、これ!ナイフの柄だ!!

もしかして・・・上川さん、刺されてるの!?

何で!?

と、とにかく止血しなきゃ!

身体が震えだすのを懸命に堪えながら、

アヤカは上川さんの身体を傷口を上にして

何とか起こし、

急いで自分のエプロンの紐をいて、

ナイフの周りに押し付けた。

「チカ!子供たちを、こばとの子達を下がらせて!!

店に連れてって!」

自分の声が上擦っているのがわかる。

「姉さん?どうしたの!?

上川さん、熱中症なの!?救急車呼ぶ?」

チカはおしぼりを持って、こちらに来ようとしていた。

ダメ!!

こんなの、チカにも子供たちにも見せられない!

「来ないで!いいから言う通りにして!

園長さんとここから離れて・・・お願いだから!!」

アヤカの鬼気迫る迫力に、

チカは一瞬ビクッと立ち止まったが、

何かを察したのか道に飛び出し、

急いで子供たちをまとめている。

園長先生や深田さん達もいるから大丈夫だろう。

もうパレードは全て完全に止まり、

皆がコチラを見てザワついていた。

「どうしたのかしら?」 

「熱中症?」

「あれ、スタッフの人?」

アヤカが上川さんの顔色を伺うと、

真っ青を通り越して土気色、

目は開いてはいるが、

何も見ていないように虚ろだった。

エプロンがみるみるうちにどす黒く染まっていく。

アヤカの懸命の処置にもかかわらず、

傷口から血が溢れ、

身体を伝って血が滴り落ち、

ハーバルウォーターの海に

赤い染みがジワジワと広がっていく。

「か、上川さん?し、しっかりして!?

聞こえます!?

す、すぐ助けが来ますから!

上川さん!!上川さん!!!」

怖いのを必死に抑え、声を掛け続けるものの、

・・・どうしよう!

血が止まらない!

・・・このままじゃ!!

その時、上川さんの目がカッと大きく開き、

目に光が宿った。

ゆっくりと口を動かすが、よく聞こえない。

え?何?

「上川さん!?何?何ですか!?

なんか言いたいんですか!?」

アヤカは耳を上川さんの口に近づける。

「・・・ハ・・・ニ・・・モ・・・」

は?

ハニーレモネード??

今!?何で!?

「・・・ハ・・・モ・・・」

するとようやく二人の警護スタッフが

救急箱らしきものを抱えて駆けつけてきた。

「どうしたんですか!?」

「大丈夫ですか!?救護人ですか!?」

アヤカは説明しようとしたが、

声が、言葉が、なかなか出てこない。

心臓がバクバクと激しく動き、汗が吹き出していた。

アヤカがかろうじて伝えられたのが、

「あの、あの、この人刺されてるんです。

ナ、ナイフで!!

血、血が止まらなくて・・・。

あ、あの、救急車、そ、それと、警察も!!」

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