表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔ガールズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

親愛なるシスターミラへと綴るお手紙

作者: 狐と蝙蝠

背景いかがお過ごしでしょうか.

 なんて文字を書くのすら十年ぶりな私にきちんとしたフォーマットの手紙なんて書けるわけもねえのでした.今から好きなことを言いたいだけ書きます.


好きでした.華麗に助けに来てくれるあなたのことが.


好きでした.何度も必死になって救いに行く姿が.


あなたは自分のことなんて顧みず私をみんなを救おうとしてくださいました.北の勇者は目の前のことのみでいっぱいで東の聖女は保身のことで精一杯.西の剣士は魔物を倒すことに夢中で南の賢者に至っては苦しむ民をみてケラケラと笑うのみ.神は我々を見限ってしまわれたのだ.そうとさえ思いました.神は我らに死ねとそうおっしゃっているのだと.けれどあなたは違った.あなただけは違った.私たちの村が山賊に襲われ私はここで犯されて死ぬのだとそう覚悟したときあなたがライフルをもって単身で山賊を打倒してきたときのことは決して忘れません.

あなたは自分に弾が被弾することなど気にも留めず.ただ私たちを救い出すために道を切り開きそして守り抜いてくださいました.

…すいません.悲しくて涙で手紙がにじんでしまいました.本当にうれしかったんです.だからこそ死んで欲しくなかった.死ぬべきではなかった.風の便りで聞きました.勇者は魔王に奇襲を撃たれて死亡.聖女は御乱心.剣士はいまや人殺しとして民から恐れられています.賢者は行方不明らしいです.まあ彼に関してはいてもいなくても変わらなかったでしょう.

…神は我々を見捨ててしまわれました.村の神父に言われました.神の声が聞こえなくなったと.治癒魔法が扱えなくなってしまったと.魔物の数は増え,死傷者が増え始めました.治癒魔法が使えない私たちは日に日に数を減らしています.我々は死ぬべきなのでしょう.死ぬ以外選択肢はないのでしょう.


だけど諦められないのです.あなたのせいで.あなたがまぶしすぎるから.あなたのような人がいるとしってしまったから.だから諦められないのです.どうして死んでしまったのですか.

にくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくい


失礼とりみだしました.もう駄目ですね.あなたのことを考えると胸が苦しくなります.ああ貴方がいてくれたらな.好きでした.

死のうと思います.いないのにいると願ってしまうのがこんなにつらいとは思わなかった.


敬具

村娘イーサ

供養です.ある世界を生きた彼女に私から手紙を送ります.死んでいい人ではなかった.

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ