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とんでもないデブの先輩の話

作者: めちま

太っていると色々あるみたいです。

食う事が生きがいだそうです。

大学時代の先輩は超デブで、体重は165kgだと言うが、実際はもっとありそうだったので本当に165kgかと問うと、必ず物凄く切れる。

頑なに165kg以上は無いと言い張るが、身長は187cmで走る事ができないほどのデブだったのに165kgとは?

もしかしたら200kgの大台乗っているかもと思って、周りの人達も誰一人として165kgなんて軽い訳がないと思うほどその人は太っていたのだが、俺はその人の昼飯に初めて付き合った時に衝撃を受けた。

先輩の特徴としてレストランなどの店舗で食事をするのではなく、もっぱら自宅でテレビやゲームをしながら、或いは映画などを見ながら友人達と、ワイワイだらだら食事するのが常だった。

その先輩も学生だったので、休みの日に午前11時から午後2時位までとにかくだらだら食うのが好きで、俺も飯の買い出しに付き合わされた。

その際にはまず、マックでビックマックセットのポテトLサイズ、ドリンクはコーラLサイズにチキンナゲットと、単品でチーズバーガー10個とアップルパイも10個。

その後、牛丼チェーン店で牛丼のメガ3つ、その時は隣接するイオンでコーラの1.5リットルを1本買ってそろそろ帰るのかなと思ったら、肉が食いたいと言って豚バラスライスを3千円位と牛ステーキ2kgほど購入していた。

そもそも牛丼は肉では?と思ったが本人曰く違うらしいので、俺は先輩に


「野菜食わないんですか?」


って聞いたら


「そりゃあお前健康面を考えたら当然食わなきゃならんだろ~」


と言って笑っていた。

そう言ってポテトサラダを買ってたのだが、その足で揚げ物のコーナーでコロッケやかき揚げを買っていた。

それも数種類を3個から7個ほどずつ。

俺は意味が分からずに困惑していたのだが、そこで何となく理解した。

本物のデブになると、コロッケやかき揚げの天ぷらなど、野菜を使った揚げ物は全て野菜に分類されるらしい。

確かに野菜と言えばそうだろうが、通常はサラダとかそう言った物を指すと思うのだが違うらしい。

そして、メンチカツや揚げウインナーみたいな物も買って、更に寿司の大盛パックを3つほど買っていた。

もうそれを見ているだけで胸焼けするほどだった。

よくそんな食生活でやっていけるなあと思いきや、この先輩の親が金持ちで、何かとベンツとか高級車を買ってもらったりしてるような人だったので、食費は毎回確実に数万円を超えるのだが、これらを一度に全部食う。

それで昼食なんだけど、そこからほんの2時間ほどしたら腹が空いたって言って夕食を食い、そして寝る前に夜食を食うのだが、それもマック等のファーストフードを買って、それを腹一杯食ってからそのまま眠くなって寝てしまうらしい。

それって血糖値爆上がりして眠気に耐えられずに寝ているのでは?

ってそれ糖尿では?と思うが、最早ここまでくるとこちらとしてはどうする事もできないし、本人がそれで良いと思っているんなら勝手にすれば良いと思った。

そんな先輩は、名前を大谷と言うのだが、大谷の大を王と掛けて、さらにイケメンで童顔デブだったので王子と呼ばれていた。

顔もハーフのイケメンっぽくて、髪も茶髪にしていたので良く外国人に間違われるほどの美形だったが、滅茶苦茶太ってて物凄く勿体なかった気がした。

そんな王子先輩だったが、実は物凄く頭が良くて、何でもっと上に行かないのかと思うぐらいだった。

そして、この王子先輩はとある事をやらかす。

とある商業施設で、お気に入りのアイドルがイベントすると言うので、俺も半ば強引に誘われたのだが、お前の好きな食べ物何でも買って良いという奢りだったので、俺は有難くアイドルのイベントへ付いて行った。

全く知らないご当地アイドルで、そっち方面に全く興味の無かった俺はさっぱり理解できなかったが、王子先輩はご満悦だった。

そんなイベントも終わり、それじゃあ何か食べる物を買って帰るかと言う事になったのだが、その商業施設の一部に改修工事が入っていた。

結構大掛かりなものであったが、そこを通り抜けるとスーパーのエリアに出るのだが、俺は普通に通っていたのだが、先輩が悲鳴を上げた。


「ウワー!助けてくれー!」


一体何だと思ったのだが、王子先輩が太りすぎてて、目測を誤って工事最中の仕切り壁の手前のポールか何かを蹴っ飛ばしてしまい、その圧力が強くて立て看板が倒れてきてしまっていた。

そして、そのまま太りすぎた腹が邪魔して看板を押しのけようとして、今度は腹で看板を押してしまったら、その看板がその先にある足場を組むための脚立に当たった。

そしたらその上の簡易的な足場も崩れ、どんどんドミノ倒しの様に色んな物が音を立てて崩れ落ちてしまう。

その中に、階段を上って上の階から途中に設置するであろうガラス板まで徐々にずれて落ちてきてしまった。

そして、それはアルミか何かのフレームにはまっていて、それがどんどん流れるように王子先輩に向かって落ちてくる。


「ギャー!助けてー!痛い!痛い!死んじゃうー!」


王子先輩の絶叫がこだまする中、あまりにも色んな物が崩れてきて誰も助けに入れない。

最早ガラスもバキバキと音を立てて、王子先輩の体めがけて無数に降り注いでくる。

そして、足場の一番主だった鉄柱まで王子先輩の体に倒れてきた。

辺り一面地獄絵図となり、ありとあらゆる物が破壊されてしまっていた。

まるで爆心地のような状況となり酷い有様であった。

すべてガラスと言うガラスは粉々になり、足場の鉄柱も折れてしまい、王子先輩は無傷。

俺は、全て強固な脂肪に包まれた、無敵の防御力を持つ王子先輩の凄さを目の当たりにした。

王子先輩は、怖かったと涙目になっていたが、誰が見てもほぼ命は助からないであろうと予測する惨状の中心で、無傷の超太った男とかどういう状況だよと思うのだが、すぐに落ち着きを取り戻した王子先輩は、そのまま服を手でパッパと払ってから


「さあ飯を食うぞ!」


と言う感じでスーパーのエリアに直行していく。

改修工事をしていた業者から、その後どういったやり取りがあったかは聞いていないが、どんな事も全く意に介さない王子先輩は、やはりただ者じゃなかった。

そんな先輩も、今では父親の会社を継いで順調らしい。



この先輩は、今でも太っています。

そして、頑なに痩せようとはしません。

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