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01:再会

挿絵(By みてみん)


 夏休みが終わりを迎え、始業式から再び始まったいつもの高校生活。


 長い休みの間に経験した非日常の数々から一転して、平凡で平和な日常生活が戻ってきたはずだった。


 だがその平凡な日常生活はある日を境に再び大きく形を変えた。


 その原因は俺のクラスに突然やってきた転校生にあった。


 空を思わせる水色の長い髪が窓から差し込む日差しで輝き、宝石のように透き通った青と(みどり)のオッドアイが印象的だった。ふっくらとした唇は潤んでいて柔らかそうで、絵に描いたような整った顔立ちの日本人離れした超絶美少女の登場に、クラスの男子一同は歓喜の声を上げて彼女の転校を迎え入れた。


「はじめまして。わたしの名前は雨宮(あまみや)メアです」


 教壇に立つ彼女は自己紹介をして頭を下げる。


 いや、お前ってそんな名前だったか? とそんな疑問がふと湧き上がってくる。


 何故だろう、俺はこの転校生を知っている気がした……気のせいにしてははっきりしている。遠い何処かで彼女と会ったようにしか思えなかった。


 自己紹介によると転校生は海の向こうの遠い国に住んでいたそうで、色々と訳があって日本のこの街に引っ越してきたそうだ。外国から来た美少女転校生の登場にクラスメイトは湧き上がる。


 自己紹介を終えた転校生は一番後ろの空いていた席に座った。そこはちょうど俺の隣の席で、机へ鞄をかけた後にぼそりと何かを呟いた。


『ほあいんでぃめ……』


 そう言って机に視線を落としながら大きなため息をつく少女。


 周りの生徒達は彼女が以前に住んでいた海の向こうの遠い国の言葉だと思っただろう。でもそうじゃなかった。そして俺にはその言葉の意味が分かった。分かってしまった。


【どうしてこんな目に】


 彼女はそう言ったのだ。


 それは英語でもなくロシア語でもなく、ポルトガル語でもアラビア語でもない。


 そもそもこの世界の言葉ではなかったのだ。それでも俺はこの世界の言葉ではないそれを知っていた。


 そして隣の席に座る彼女をじっと見ていて、俺は何故彼女を知っているような気がしていたのか、ようやくその理由に気が付いた。

 

 俺は遠い異世界で彼女と出会っていた。

 そこは剣と魔法の世界、俺は夏休みの間に()()()()()して、転移した先で救った世界で俺は彼女と出会っていた。そしてそれは世界を救う勇者と、勇者を支えるヒロインのような関係ではない。


 俺達は――勇者と魔王として出会っていた。

『隣の席の転校生が異世界の言葉でデレてくる!』の一話をお読みくださってありがとうございます。完結まで毎日更新していきますので、面白いと思って頂けたら、ブックマーク・評価をしてもらえると嬉しいです。励みになります。

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