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天使と悪魔の片翼の輪舞曲~One wing of them~  作者: 白築ノエル
5崩れる封印
98/113

98天界での戦い





 天界。

 今日も魔界への対抗力を磨いていた。

 そんなある日街の大広場5箇所に神代文字で構成された大魔法陣が広がった。

 直様天界騎士団の一部が出勤し、事の鎮圧に当たろうとしていた。


「ママ。あれなーに?」

「はい、そこの家族下がってねー」

「魔法陣は危険かもしれませんので皆さん下がってください」


 天界騎士団、その中でも若い衆が来ている。

 若い衆は大魔法陣を調べるが、神代文字の事を知らず調査は難航していた。

 そんな中現場を指揮していた若者は本を片手に大魔法陣と睨み合っている。


「うーん。この言語でもない……これでもない……。もしや魔界からの侵略!? 魔界の言語は……うーん。違うなぁ」

「隊長、また本とにらめっこですか?」

「まあね。僕はそれしか出来ないから」

「またまた~。隊長の悪い癖ですよ」

「そ、そうかな~。あはは……」


 他愛もない話をしていると大魔法陣が輝き出した。

 それに気がついた隊長は直ぐに警戒命令を出す。

 全員が大魔法陣の上から離れ警戒する。

 そして光が収まった時現れたのは。


「人間!? 何故こんな場所に大勢で?」


 そう思った時だった。

 天使たちにアサルトライフルの銃口が向けられた。

 直感がそれは危険だと訴えかける。


「防御魔法を展開するんだー!」


 隊長の声と銃声は同時だった。

 天界騎士団、一般天使達が撃ち抜かれていく。

 防御魔法を辛うじて展開出来た騎士も防御を砕かれ死んでいく。

 一般天使など魔法の行使すら出来ず蹂躙されて行った。


「制圧完了。はい。はい。了解、合流します」


 人間達は駆け足で去って行った。

 そして起き上がる天使が1人居た。


「な、なんとか助かりましたね……。本がなければ危なかった……」


 周りを見渡すと辺り一面血の海だった。

 大人から幼い子供まで皆死んでいた。


「あ……。あぁ……! そんな……」


 倒れている子供に手を伸ばす。

 子供は腹部が赤く染まっている。

 腹部に銃弾を浴びたようだ。

 子供は即死したのか開いたままの目を手で閉じる。


「ごめん……。僕が不甲斐ないばかりに」


 そう言うと1人生き残った隊長は王宮へと帰り急ぐのだった。





 パパパパとアサルトライフルが火を吹く。

 特殊弾により防御魔法を構築する魔力が分解される。

 

「ぎゃ」

「ぐあ」


 魔法の詠唱より早い銃撃はあっという間に派遣された天界騎士団を壊滅させ民間天使まで被害が拡大する。


「我の威を示せ、サンダーレイン!」


 王国軍に雷の雨が降る。

 天界騎士団の天使は脆弱な人間が防御魔法を使わずに受けたら一溜まりもないと革新したが、次の瞬間には自分の考えが間違っていたことに気がついたのだった。


「何!? 無傷? ぐわああ!」


 最後の1人が倒れ、逃げ遅れた天使達に銃口が向けられる。

 一般天使は命乞いをするが王国軍兵士は顔色1つ変えずに迫る。


「た、助け――」

「了解。射殺する」

「う、うわあああ!」

「きゃあああ!」


 逃げ回る天使達を背後から狙い撃つ。

 動く者が居なくなったのを確認するとアサルトライフルをおろす。

 その時空から多種多様の魔法が嵐のように降ってきたのだ。

 王国軍の居た場所には土埃が舞い上がる。

 それでも尚魔法を放ち続ける天界騎士団。

 狙いは後方で待機している騎士が攻撃魔法の詠唱を完了させるのが目的だった。


「退避―!」

「……我の威を示せ、グランドクロス!」


 十字の光が空から地面へと降ってくる。

 王国軍にグランドクロスの光が当たった瞬間光が弾けた。

 土埃が天高く舞い上がる。

 上空に居る天界騎士団の天使達はその光景に歓声を上げていた。


「さっすが先輩! これで人間なんて粉微塵だ!」

「まったく。あの本の虫が知らせてくれなければ被害が多くなるところだった」

「土埃が晴れます」

「……な!?」


 そこには無傷の王国軍の姿があった。

 天界騎士団は直様防御魔法を展開する。

 そこに銃撃が行われた。

 

「くっ!? 魔法が安定しない……!」

「すぐに下がれ! コイツは防御魔法を不安定にさせる効果があるようだ!」

「は、はい!」


 熟練度の低い天使達はアサルトライフルの射程から離脱する。

 残った天使は防御魔法に歪みはあるにしても形を維持していた。

 

「我の威を示せ、ホーミングレイ。……効果はないか」

「特殊弾効果なし。ロケットランチャーを用意!」


 兵士が立ち膝になりロケットランチャーを肩に構える。

 撃鉄を起こし、発射体制に入る。

 そして引き金を引く。

 

「何か飛んでくるぞ! 防御魔法を――ぐああああ!」


 ロケットランチャーの弾頭にも特殊弾同じ魔法式が刻まれており、相手の防御魔法の魔力を分解する作用がある。

 天界騎士団の天使の1人が爆発を受け地上に落ちる。


「散開するんだ!」


 天使達は一斉に翼を動かすと辺りに散らばった。

 ロケットランチャーやアサルトライフルの性質上真っ直ぐにしか飛ばないためバラバラに動かれると狙いが定めづらくなる。

 しかしそれは魔法がない前提の話だ。


「我の威を示せ、ホーミング」


 これはただの生活魔法だが自分が飛ばすものを対象を追尾するようになる。

 

 アサルトライフルとロケットランチャーに魔法陣が包む。

 王国軍兵士達が引き金を引くと銃弾が天使に向かって自動追尾を始める。

 もちろん防御魔法で防ぐが特殊弾の効果により魔力が分解され不安定になる。

 そこにロケットランチャーの弾頭が直撃し、防御を抜いてダメージが入ったのだ。

 

 次々に天界騎士団の天使達が落ちていく。

 それを見た天使達は一時撤退し、王宮に立て籠もる。

 いくら重火器が強かろうと弾がなくなればただの鈍器だ。

 だがそれは致命的なミスを犯している。

 後方で控える大型ゴーレム、デミ・ゴッドがただの飾りだと高を括っていたことである。


「アンカーを射出しなさい。神格攻撃魔法ミーティアライト発動!」


 デミ・ゴッドの背中からアンカーが射出される。

 センサーは天界騎士団が逃げ込んだ王宮をロックオンする。

 そして神格攻撃魔法ミーティアライトが発動した。

 王宮の9割を光へと変え残り1割を衝撃波で倒壊させた。


「ふん。この程度ね。ん? そこの兵士ちょっと来なさい」

「はっ! ガブリーラ女王陛下お呼びでしょうか」

「そこに隠れている天使にこれ(時限爆弾)これ(手紙)を渡しなさい」


 兵士達は隠れていた子供の天使に2つの土産を渡す。

 

「これをアリオス・レイ・トラウドに渡しなさい。逃げたら殺すわよ」

「ひっ! は、はい」


 そう言うと子供は王宮跡へと走っていく。

 子供を見送ったガブリーラはデミ・ゴッドに命令を下す。


「さあ帰りましょうね。少し残しておいて希望を与えてあげるのも絶望をより一層強くするのに必要だからね。アハハハ! 転移!」


 デミ・ゴッドは命令された通り5千の王国軍を1人残さず人界へと転移する。

 こうして天人戦争は人界の勝利で終わった。





 王宮跡、そこにはアリオスが瓦礫の下から出てくる姿があった。

 顔は怒りに染まっており人類に対して強い怒りを抱えている。


「報告します……。敵は王宮に攻撃魔法を行使後転移で人界に帰ったものだと思われます」

「何故だ! 何故人間は召喚の間以外の場所に現れた!」

「分かりません。大魔法陣を調べに行った騎士の報告では人間が使う文字以外の言語で構成された大魔法陣が合ったそうです」

「そのものを呼べ!」


 1人生き残った調査隊の隊長はアリオスの目の前に招集されていた。

 魔法で見た大魔法陣の一部を空中に書き出す。

 それを見たアリオスは呟く。


「神代文字だと……? まさかまた神が関わっているのか?」

「失礼します! 敵からの書状を持った子供が来ています」

「通せ」


 手紙とこれ(時限爆弾)を受け取ったアリオスはワナワナと怒りがこみ上げる

 受け取った手紙をビリビリに破り捨てるとこれ(時限爆弾)を見る。

 当然のことながらそんな物は天界にはないゆえにまじまじと見つめる。

 ただ時計の針が後10秒で重なる。


「……っ! これは!」


 焦ってこれ(時限爆弾)を投げるが針は重なり爆発する。

アリオスの右腕がちぎれ飛び、悲鳴が辺りから発する。


「ぐおおおお! 許さん……許さんぞ……人間!」


 血を流しながら憎悪を燃やすアリオスだった。




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