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天使と悪魔の片翼の輪舞曲~One wing of them~  作者: 白築ノエル
2人間の街と学園
16/113

16汽車に乗ったらハイジャックにあった





 爆裂ハンバーグ店を出た後、自分が統治する街へと移動するために最寄りの駅に来ていた。

 車を貨物車に積むと、自分たちも汽車に乗り込んだ。


「いや~! 爆裂ハンバーグ美味しかったです! こう、肉の旨さが口の中で破裂してとても美味しかったよぉ」

「それは良かった。気に入ってもらえて何よりだ!」

「それはそうと、そっちの街まで何時間かかるんだ?」

「そうだね。4時間ほどかな」

「4時間か。俺は少し寝る。変な真似したら……」

「やらないよ。信じてくれ」


 汽車が動き出し、徐々にスピードを上げていく。

 走り出してから20分程経ち、エルシアもウトウトしてきた頃、トンネルの入口に差し掛かった。


「平和ですね。そう思いません?」

「アンソニー官僚の平和は常に私達が守り抜きます」

「俺は銃さえ撃てればいいや」


 カツン、カツン。

 車両の天井からそんな音が聞こえてきた。


「ん? 落石かな?」

「汽車の振動で細かいのが落ちてきたのでしょう」

「そろそろ次の駅に到着しますね。その時に報告しましょうか」


 そう言うと汽車の速度が落ちてきた。

 不意に窓の外を見たアレスが異変に気がつく。


「おい、なんだありゃあ?」


 その声にカレンとアンソニーも窓の外を見る。

 そこには20両の車が丘の上から汽車に並走して走っていた。

 その車両の荷台にはバリスタが付いていた。


「いけない! 伏せて!」


 咄嗟にファルトとエルシアを抱えて車両の床に伏せる

 それと同時に車両の窓を突き破り、ロープの繋がったバリスタの矢が飛んできたのだ。


「っ! おい! 何すんだ!」

「敵襲だよ! 伏せてなさい! アレス、銃撃を許可する!」

「了解。しゃーぶっ放すぜ!」


 20両の車列から続々と正体不明な男たちが滑車を使い汽車の車両に乗り込んでくる。

 アレスはアンソニーが居る車両のみに接近してくる男たちを銃撃している。


「シルヒハッセの旦那! 数が多すぎる! おい、カレン! 両脇からくるぞ」

「わかってるわよ!」


 カレンも抜剣し、後ろから入ってきた男たちを斬りつける。

 前から入ってくる敵にはアレスが銃撃で食い止めた。

 車両からの乗り込みが終わったのかロープが切られ汽車が何故か加速した。


「なんだ? 加速した?」

「車掌は何をしているんでしょうか。もうすぐ次の駅なのに加速するなんて」

「車両と機関部とは壁があり繋がっていない。襲撃者達にそうそう乗っ取られるわけが……っ! まさか!」

「どうしました?」

「先程の天井から聞こえた音です! あれはトンネルの上から飛び乗って移動していった足音ですよ!」


 それにはカレンも驚き、アレスはどうするんだと言った表情だ。


「兎に角アレスは機関部の確保を。カレンはこの車両の死守を」

「だがよー、カレンだけで前と後ろ防げるか?」

「この狭い車両の中では、申し訳ありませんが少々厳しいかもしれません」

「それなら私も移動しながら……」

「結局それだと最後シルヒハッセの旦那と俺かカレンの2人になるぜ?」


 数で押されたら1人では防ぎきれないと言う。

 そこに声がかかった。


「それじゃ俺たちの出番じゃね?」

「ファルト! これは遊びじゃないんだぞ!?」

「わーってるよ。これでもあの時は手加減しつつ逃げ回ったんだぜ? 手加減しなければ俺たちに敵は居ないぜ」

「私も戦うよ! ファルトばっかりに無理はさせないからね!」

「エルシア! 攻撃魔法も武器もないのにどうやって戦うと……」


 エルシアはカレンに剣を構える様に言うと、エモート防御魔法を発動させる。

 一瞬何故防御魔法を発動させるのかと3人は疑問に思ったが、カレンが咄嗟にエルシアが振り下ろした腕に合わせ剣を振るう。

 するとカキーンと金属の剣から音がなった。


「なに?」

「カレン、今何故剣を振るった? そして何で音が?」

「私自身も良くわからないのですが、エルシアさんが腕を振り下ろそうとした瞬間に直感的に腕が動きました。そうしたら何かが当たる感触が……」

「それがエルシアの魔法だ」


 ファルトがそう言うとエルシアが説明を始めた。


 自分の魔法を説明し終えたエルシアは不可視だから初見では避けれないだろうと自慢していた。


「なるほど。つまりエルシアは防御魔法を使いながらも攻撃できるのですね」

「はい! 人相手に使うの今回が初めてですけど」

「ふむ……。よし、君たち2人には先頭の汽車にいる賊を討伐してもらう。危なくなったら戻ってくるように! いいね?」

「わかりました! では行ってきます!」

「ちょっくら行ってくるわ」


 エルシアとファルトは先頭汽車へ向かっていった。


「私も悪い大人ですかね?」

「アンソニー官僚一体何を?」

「いやね。今回こうして私が乗っている汽車がハイジャックされた訳だけど、これを何もせずに放っておいたら世論から何を言われるか分からないし、最悪エデルガーデンの駅に突っ込まれたら私も困る」

「つまりエルシアとファルトは都合がいい駒ってわけだ」

「そうなるっと言ったら悪い大人だ。自分たちは安全な後方で傍観しているだけでいいんですから」


 そう言うとアンソニーは椅子に座った。

 既に先頭の汽車からは戦闘音が聞こえてきている。


「嫌ですね……」

「アンソニー官僚……」





「我の威を示せ! シャドウクロウ!」

「我の威を示せ、プロテクション=エモートセイバー!」

「ぎゃあ!」

「片方の女が奇妙な魔法を使うぞ! 気をつけろ!」


 乗っている乗客に当たらないように最善の注意を払いつつ進んでいく。

 そんな中黒服の相手は構いもなく剣を振り回したり魔法を撃ち込んで来る。


「きゃあああ!」

「死にたくない! 死にたくない!」


 乗客は混乱を始め汽車の中が混沌としてきた。

 エルシアはセイバーと通常防御を切り替えながら対応している。

 ファルトと言えば速度が早い魔法をエルシアの後ろでキープしつつ、黒服達が出てくる刹那を狙っていた。


「糞! 防御魔法が硬え! 我の威を……あぐっ」

「お、おい! 誰か応援呼んでこい!」

「今扉に向かったら狙い撃ちされるだろ!」


 2人の元に黒服達の声が聞こえてくる。

 何か騒いでいるようだ。


「前に出るね?」

「今のうちだな」


 2人が汽車の中を駆け抜ける。

 黒服達は言い争いをやめ、急いで攻撃に移った。

 しかし時既に遅し。

 既にファルトとエルシアの攻撃の間合いだった。


「我の威を示せ! ウインド・ストーム!」

「我の威を示せ! プロテクション=エモートセイバー!」


 2人の攻撃に切り裂かれ、この汽車の黒服達は殲滅した。

 そして次の汽車へと移動する。


「あれだけ騒いだんだ、待ち伏せがあるかもしれないな。気をつけろよ」

「うん。我の威を示せ、スフィアシールド」


 2人を覆うように防御魔法が発動する。

 その状態で汽車を移動すると、案の定待ち伏せをされていた。

 汽車のドア入った所の客席に2人、奥の方に5人。


「我の威を示せ! ライトニングウェーブ!」

「我の威を示せ! ウォーターストーム!」

「我の威を示せ! ファイヤーボール!」


 2人を守るスフィアシールドに水が掛かり、そこに電気が流れたがそれだけでは防御魔法はびくともしない。

 もちろんファイヤーボールも効果がない。

しかし黒服達はそれを継続して魔法を発動させ続けた。


「何やってるんだろーね?」

「わからん。やけになったんじゃね?」

「うぉおおおお! 組織バンザーイ!」

「バンザーイ!」


 その瞬間爆発が起きた。

 防御魔法にもヒビが入るほどの衝撃だった。

 エルシアとファルトは知らないが、大量の水が電気によって電気分解され水素が発生していた。

 そこにファイヤーボールが当たり水素爆発を起こしたのだ。


「うわわ!? び、びっくりした!」

「なんだ? ファイヤーボールにしては火力がでかすぎる」

「今だ! 斬り込め!」

「我の威を示せ! プロテクション!」


 前方に防御魔法を張る

 エルシアはなるべく横にいた黒服を見ないようにしていた。


「ぐっちゃぐちゃだな」

「ファルト! 気にしてるんだから言わないでよー!」

「すまんすまん。おっと、我の威を示せ、ウォーターソー」

「いやあああ! ファルト! それエグい!」


 色々有りながらも先頭汽車へと徐々に移動していったのだった。






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