プロローグ☆*
「えっ………?どうして………?」
白い子猫を抱えたまま力なく座り込むリリアの周りには、彼女の瞳の色と同じピンクサファイアの色の眩いオーラがバリアとなり、彼女を包み込んでいた。
彼女の側には、魔物であったであろうものが星屑のように砕け散っている。
自分の身に何が起こったか全くわからないリリアは、今日の出来事をぼんやり思い返していた。
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ここはスターライト王国。
緑豊かで年中過ごしやすく、穏やかで平和な国だ。
星の加護があり、この国に住むほとんどの人々が4歳までに魔力を発動し、魔法を使うことができる。
加護を受けている星により、得意な魔法や纏うオーラの色が異なっている。
オーラは魔力の強さによって色の濃さが異なり、オーラの色が濃いほどより魔力が強いとされている。
一般的なのはマーズ、マーキュリー、ジュピターの加護だ。
マーズの加護は火属性。
火を操る魔法に長けていて赤いオーラを纏う。
主に街の鍛冶屋や、料理人などがこの魔法を使えることが多い。
マーキュリーの加護は水属性。
水を操る魔法に長けていてブルーのオーラを纏う。
主に漁師や商人たちがこの魔法を使えることが多い。
ジュピターの加護は木属性。
植物を操る魔法に長けていてグリーンのオーラを纏う。
主に農家がこの魔法を使えることが多い。
魔力が弱い国民たちは、魔法を活かし仕事のサポートとして日常的に役立てていることが多い。
貴族など魔力が強かった者たちは、その魔力を活かし国の騎士団や魔法師団に所属し、国を守るために活躍している。
また、稀にビーナスの加護を持つ者もいる。
ビーナスの加護は光属性。
回復・治癒魔法に長けていてオレンジのオーラを纏う。
ビーナスの加護を持っている国民は、15%ほどしかおらず、回復魔法が使える者は少ないため、主に神官や騎士団の治癒士として活躍する者が多い。
そしてそのビーナスよりも貴重な加護がムーンだ。
ムーンの加護は月属性。
全属性の魔法が使え、オパールのような白く輝くオーラを纏っている。
ムーンの加護を持っている人は国民のほんのわずかしかおらず、未だ力の全ては解明されていない。
強大な力ゆえにまだまだ未知数なところが多い魔力なのだ。
現在スターライト王国で、ムーンの加護を持っているのは確か…
ああ、そうだ。『氷の魔法師団長』と呼ばれるあの方だけだったはず……。