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第二話 終わりのはじまり2

わたくしはミリエラ=シュヴァイザー。しがない子爵家の長女であり、少し前にに十七歳の誕生日をむかえた。


母を亡くし、悲しみに暮れた十歳の誕生日、わたくしは母の棺を埋めた墓地に大量の植物を生やした。


わたくしの中をぐるぐると回っていたのは魔力で、草花を生やしたのは魔法・・・のはずだ。



確証がないのは、領地にある魔法に関する数少ない文献を読んだ中に、植物に関する魔法は一切記載されておらず、父もそんな魔法は聞いた事がないらしい。


あの後、わたくしが植物を生やした事は、一旦は内密にしようと父と話し合った。

お金もコネもない我が家では、魔法使いとしての特別な教育は受けられないし、ましてや聞いたこともない植物に関する魔法だなんて、王国がどう出るか判らないから、わたくしと、家族と領民の為にと、父に説得され、一度は了承した。


だが、すぐにそんな事は言っていられなくなった。

続く原因不明の不作。増え続ける病。


わたくしに魔法の素養があるのなら、あの日草花を生やしたように作物を成長させて収穫を上げられる。母のように回復魔法が使えれば、領民の病を治せる。

幼いわたくしは夢中だった。


領地にある魔法に関する文献をすべて読み、母の手記を参考に試行錯誤して、独学で魔法を身に付けた。


もちろん最初はまったく上手くいかなかった。

自分の身体の中にある魔力を感じたり、魔法を発動させるためにコントロールする事をたったひとりで覚えるのは本当に大変だった。それだけに数年は費やした。


数年間、習得できるかどうかもわからない魔法にばかり望みをかけるわけにもいかず、わたくしはハーブの栽培を始めた。

ハーブはそれだけではお腹が膨れるわけではないから、あまり育てられてはいなかったが、ハーブは種類を選べば痩せた土地でも簡単に増やす事ができる。というか、庭の隅に自生して、周辺をハーブだらけにする種類もある。

それに薬草としての効果もある。


わたくしの長年の研究で、蒸留して精油を抽出すれば、高い効果が得られる。


最初は控えめに屋敷の裏庭や花壇の一角で行っていたハーブ栽培は、薬として領民に重宝されるようになると遠慮がなくなり、屋敷の敷地内に植えまくった。

さらに民にもその使い方なんかを広めたから、この領地ではほぼどこの家にも、何かしらのハーブが植えられるようになった。


生活に役立つと判ると、領民は進んで育ててくれるし、森で珍しいハーブを採ってきてくれたりもする。


色んな試行錯誤を続け、七年かけてわたくしは作物を育てる魔法を完成させた。



原理は結構簡単で、作物を植える地面、大地には、魔力とも呼べない、魔力の基となる、魔素という微細な粒子が含まれている。それが良い状態で満ちていると作物の生育が良く、魔素が少なくなると作物の育ちが悪くなる。

わたくしは自分の内にある魔力を魔素へと分解し、畑に蒔く事で領地の作物を育てた。


原理としては簡単だが、その加減が難しく、強すぎる魔力にあたると作物は枯れてしまうし、魔素が足りないと作物が育たない。

魔力を使い続け、自分の中にある魔力が枯渇すればその場で卒倒してしまう。

父や弟に泣かれたのも一度や二度ではない。


それでもどうにかしたいという気持ちは止められなかった。


七年という歳月をかけて魔法を完成させ、魔力を増やして領地の畑に魔素を満たしていった。


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