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3-閑話


「えー、俺たちもついにAランク冒険者となったわけなんだが、ここでひとつ重要な案件がある」

「重要な?」

「案件?」

「そう、お前だココ!」


 首を傾げるココに、俺はビシッと指を指す。


「あ、あたしっすか?」

「そうだ。わからないようならAランク冒険者の扱いを思い出せ」

「え、えーっと実質最高ランクで、ギルドの代表としても扱われて……あっ」

「気づいたか。そう、俺たちは貴族としても扱われる」


 まぁ、貴族といっても下位も下位。最低ランクで一代限りの爵位だ。

だが、貴族である以上名乗らねばならないものがある。


「そう、苗字だ。ココ、お前は家名を決めなければならない」

「え、だったらサクヤさんも……ってそういえばモチヅキって苗字がありましたね」

「そう言うこと。ニーナは俺の奴隷だからそもそも冒険者資格を持ってないし、家名を決める必要があるのはお前だけだ」

「えー……いきなりそんなこと言われても困るっすよ……」

「俺もどうでもいいじゃんって思ったけど、いつもの受付のお姉さんから早めに決めて書類を提出してくださいって言われちゃったからなぁ」


 ココは平民の出なので家名がない。

なので今決めなきゃならないんだが……。


「あ、そうだじゃあサクヤさんと同じにしましょう。ココノエ・モチヅキってことで――」

「それはダメだまずいやめろ」

「えー、なんでっすか?」

「なんでってお前、同じ苗字にしたら結婚したみたいだろうが!」

「へっ? あ、ああ、あー! やっぱなし、今のなしで!!」


 ま、まぁ平民同士の結婚だったら苗字ないからな、まぁしょうがないよ。うん。


「じゃ、じゃあどうしましょうか……? とくにこれといって思い浮かばないんすよねぇ」

「好きな偉人とかいないの?」

「偉人っすか……そうっすねぇやっぱりあたしの名前の由来になった妖狐族のココノエ様っすかねぇ」


 ふむ、ココノエ、ココノエかぁ。

そもそもこの名前ってやっぱ日本の地名から来てるのか?

いや、もしくは……。


「なぁココ、そのココノエ様って尻尾が九本あったりしない?」

「あれ? 話しましたっけ、そうっすよ」


 ……なるほど、やっぱ九尾の妖狐か。

まさか九尾の妖狐がこの世界に召喚されていたとは驚きだが……それなら。


「タマモとかどうよ?」

「タマモ? どう言う意味っすか?」

「俺の世界で有名な九尾の妖狐だよ。白面金毛九尾の狐とも言われている」


 ……あー、でも悪い妖怪だからなぁ。やっぱ別の名前に。


「いいっすねぇ! ココノエ・タマモ! 響きがいい感じっす!」

「そ、そう? でもまだ別の名前も――」

「いいえこれで行きます。ココノエ・タマモ。じゃあ書類登録してくるっすねー!」


 ああ、うん。

まぁ、本人がいいならいいか。

どうでもいいけどココノエ・タマモって響きが苗字と名前逆に感じるなぁ。



 

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